皆さんは、ご両親と絶縁したことがありますか?
少し生々しい話ですが、実は筆者は過去に両親と絶縁したことがあります。今回は、筆者が毒親と絶縁した理由とともに、絶縁される親の特徴について解説します。
「もしかして私も毒親……?」と心配な方は、ぜひ最後までお読みください。
子にとって、親との絶縁は非常に覚悟のいる決断です。特に自分の年齢が若いと、親との絶縁が「人生最大の決断」になる可能性もあります。
筆者は、中学生くらいから実家暮らしに息苦しさを覚えていました。母親も母親で問題がありましたが、一番の問題は父親でした。支配的で高圧的な暴君だったのです。
そんなわけで、高校生にもなると筆者は家に近づかなくなり、友達の家や当時交際していた子の家などを転々としていたのでした。
同級生が将来のことを考える頃、筆者は「とにかく実家を出たい」しか頭にありませんでした。進路や将来のことなどより、とにかく両親から離れることが最優先だったのです。
そうして高校卒業とともに、筆者は地元とずいぶん離れた地にある会社に就職し、寮に入って働き始めました。こうしてようやく、両親と離れることができたのです。
あの時、筆者は「とにかく親と離れたい」という一心で、就業内容や社風などをまったく考慮せず、地元からできるだけ離れた場所にある会社──というだけで就職を決めました。
この決断が後の人生を大きく左右するだろうことは容易に想像できましたが、そうだとしても当時の筆者にとって「親から離れること」にはそれほどの価値があったのです。
筆者が親と距離を置いたり、やがて絶縁したりした原因はいろいろありますが、大きく3つの原因に分けられます。
そういえば、「親と絶縁しました」という人にはあまり出会ったことがありませんが、数人は筆者と似た境遇の人が過去にいました。
彼らが親と離婚した原因も、おおむね次の3つに集約されているようでした。
1.“親の威厳”をはき違えている
2.自分自身を客観的に見られない
3.認知が歪んでいる
順に解説します。
筆者の父はどうやら「父親の威厳」を重視していたようです。昭和の人間ですから、当時はそういう父親が珍しくありませんでした。
とはいえ、筆者の父はどうも親の威厳をはき違えており、
・家庭内を思い通りにコントロールすること
・恐怖政治で家族を支配すること
・誰にも逆らわせないこと
・子どもを自分の思い通りにコントロールすること
・子どもに言うことを聞かせること
がポリシーのようでした(少なくとも筆者にはそう見えました)。
現代であれば明らかにハラスメント認定事案です。
支配的で、間違った父親像を盲信してしまっていることを自覚していないのが厄介です。
暴力的で支配的な親から離れるために絶縁したという方は、筆者も何人か知っています。
もし、親からDVまがいのことをされているなら、内閣府の男女共同参画局や、各自治体の行政窓口に相談しましょう。
暴力などの具体的な事件性がある場合は、警察に通報しても構いません。
親に暴力を受けている方は必ず社会が守ってくれるので、然るべき機関を頼ってください。
・参考文献:男女共同参画局 児童相談所虐待対応ダイヤル 189
・参考文献:DV相談+(プラス)
・参考文献:24時間子供SOSダイヤル
・参考文献:こどもの人権110番
・参考文献:チャイルドライン
子から絶縁される親は、ほぼ100%の割合で「自分が正しい」と思っています。
先述した「親の威厳」をはき違えたり、常識をアップデートできなかったり、原因はさまざまですが、特に多いのが「自分の感情を上手にコントロールできないから」です。
たとえば、子に間違いを指摘されても、自分の過ちを認められない親が典型的です。
間違いを認めるのがさも重罪かのように、
「誰に向かって口を聞いている」「子どもの癖に偉そうなことを言うな」「お前は屁理屈だ」
と、論点をすり替えながらこちらを責めてくる傾向があります。
こういうタイプはそもそも精神的に未熟なので、自分の「怒り」や「不満」や「処罰欲求」を自分で処理することができません。
あるいは、自分の無知さを自覚することもできなければ、それが恥ずかしいことだとも感じないようです。
正直、こういうタイプは救いようがないので、子どもだけでなくあらゆる人たちから見捨てられても仕方ないと個人的には思います。
つまり、子からすると「絶縁が最適解」ということです。
筆者の母が特にそうなのですが、どうも「事実を事実として認識できない脳みそ」を持っているようです。
たとえば、「2階の電気を全部つけておいて」と言われ、言われた通りにすると、「2階の電気全部消してって言ったでしょ!」と後から言ってくること。
他にも、「玉ねぎ買ってきて」と言われたので玉ねぎを買ってくると、「長ねぎって言ったのに。ちゃんと人の話を聞きなさい」と言われるなど……。
筆者はとにかく子どもの頃からこんな調子で、言われた通りに正しいことをすると叱られるという理不尽な世界で生きてきました。
しかし、どうやら母には悪意があるわけではありません。「事実を事実として認識できない脳」を持っているだけなのです。
結果、筆者は「母を相手にしない」「母の言うことを真に受けない」ようになりました。
対策の仕方は色々あると思いますが、「相手にしない」というのはかなり効果的でした。
子どもに絶縁されないためには、子どもに甘えないことです。
子に絶縁される親は、どうも「子ども」や「親という立場」に甘えているのを自覚していない人が多いようです。
それもそのはず、それを自覚できれば毒親めいた行動などしないはずですから、そもそも「子どもに愛されるセンスを持って生まれてこなかった」ということなのかもしれません。
厳しい言い方ではありますが、悲しいことに親子にも相性があります。いくら血を分けていても、お互い人間である以上、合う合わないは大なり小なりあるものです。
絶縁してゾーンニングするのがベストな場合もあります。
ただ、あまり悲観はしないでください。
なぜなら、親と子はやはりどこまでいっても親と子だからです。
「親の心子知らず」という言葉があるように、子もやがて人の親になればこそ理解できる「親の心」があります。
かつて「二度と許すまい」と両親と絶縁した筆者ですが、現在は和解しました。長男はすっかりお爺ちゃん子、お婆ちゃん子です。
月に1~2度は家族で筆者の両親宅を訪ね、食事会をするほどにまで関係が回復しました。
しかし、筆者は彼らを許したわけではありません。過去にされたことを許すことは、これからもないでしょう。
ただ、だからといって彼らを憎み続ける必要もなければ恨み続ける必要もないと気付いたのは、やはり「親の心」を知ったからでしょうか。
もしまた毒親ムーブをされるとしても、今の筆者であれば未然にそれを防ぐことができますし、彼らを退治することもできます。
何なら近所のコンビニにアイスクリームを買いにいくくらいの感覚でサラッと彼らと再び縁を切ることもできます。
筆者の人生において、彼らと二度と関わりを持たないようにするのは簡単です。なぜなら、既に彼らとの関係を捨てた身ですから。
それでも筆者が彼らと関わり続けるのは、育ててくれた恩や、嫌な記憶とは別の嬉しかった思い出や楽しかった思い出もあるからです。
結局、親子の確執や心の傷を解消してくれるのは「時間」しかないのかもしれません。
であれば、恨みつらみで心を消耗し、親を呪いながら生きるのではなく、運命に抗わず、ただただ流れるようにしたたかに生きるのがいいのかもしれません。
Written by はるお