世界的スターに見るメンヘラとは「過去に生きている」ということ【ひとみしょうの余談ですみません】

メンヘラとは今更言うまでもなく、精神的に不安定な状態の人や、心に病を抱えた人のことですね。俗に「病んでいる人」とも言われますよね。

そのメンヘラに対して、どうすればメンヘラを卒業できるかといったことが、ネットに出ていますね。例えば、「自分に向き合う」「日々を充実させる」といった方法が書かれています。が、メンヘラさんにとって、それらは「したくてもできないこと」であり「したくても体がどうしても言うことを聞いてくれないからできないこと」ですよね。

もっといえば、「そんなこと分かってる!」ですよね? 自分と向き合うことによってメンヘラを卒業できることくらい分かってる、でもどうしてもそれができない、だから誰かどうにかして!

これがメンヘラさんの本音ではないかと僕は考えています。さて今回は、メンヘラとは過去に生きているということ、と題して、メンヘラについてお話したいと思います。

過去に生きているのがメンヘラの特徴

過去に生きているのがメンヘラの特徴

例えばメンヘラの特徴に、淋しがり屋というのがありますね。具体的にいうと、理由もなくただ漠然と淋しい、という状態。仮に彼氏がいてもなぜか淋しいという状態。この漠然とした淋しさは、あなたが過去に生きているから生まれます。過去に生きるとは、過去に起きたある出来事に、あなたの心がこだわっているということです。

いわゆる毒親に苦しんでその結果メンヘラになった人は、幼少期の親と自分の関係に、今でも心を奪われているということです。今、あなたは大人なのだから、親と十分に距離をおいて、親の干渉などから逃げようと思えばいくらでも逃げることが可能ですね。そういう選択肢も(理論上は)ありますよね。でもメンヘラさんは、ある意味では優しいんでしょうね。その歳になってもまだ、物理的・心的に、親と近い距離にいて、親について葛藤します。

あるいは嫉妬の感情について。メンヘラさんはSNSに、他者に対する誹謗中傷を書き込みますね。書き込まないまでも「こいつ死ね」などと腹の中で思いますね。これをある思想家は、嫉妬故だ、と断言します。「わたしがいるべき場所にお前がいることが許せない」「わたしが発言したかったことを、お前は堂々とSNSに書きやがって、許せない」こういう気持ちがメンヘラさんを更にメンヘラにさせると、その思想家は言います。

つまり、メンヘラさんは過去に生きているのです。この場合の過去とは、「なんらかのきっかけがあればそうなっていた自分」つまり、「本当の自分」は、メンヘラではなく、SNSで活躍する誰かみたいにもっと自由に生きているはずだ、と思っているということです。

本当の自分とは、あなたが過去に、自分の心の中に作りあげた自分のことです。過去に「こうありたい」と願った故に生まれた理想の自己像が「本当の自分」でしょ? つまりあなたは、常に自分の過去と対話しているから病むのです。

世界的スターが教えるメンヘラさんがメンヘラになった理由

世界的スターが教えるメンヘラさんがメンヘラになった理由

200年以上前にメンヘラだった人、というか病んでいた人に、キルケゴールという哲学者がいます。彼は毒親に育てられ、親との関係にかなり葛藤した人です。葛藤故、いわゆる引きこもりになり、人はなぜ引きこもるのか、について徹底的に考えた人です。更にいえば病んでいた故、結婚に失敗し、生涯独身だった人です。

今の日本においては、全く有名ではないキルケゴールですが、過去には世界的にキルケゴールブームが起きたなど、いわば世界の哲学界の大スターです。

そのキルケゴールがいうメンヘラになる理由とは……いくつかありますが、1つは「隠すからメンヘラになる」ということ。例えば、親との関係が上手くいっていないこと(いっていなかったこと)を、世間に対して隠そうとするから、余計にドツボにハマる。元カレのことが今でも好きな、その好きさ加減を周囲の人に隠そうとするから、余計メンヘラになる。もっといえば、メンヘラであることを隠そうとするから、余計事態が泥沼化する……ということです。

隠すのは、キルケゴールによると、自尊心故です。「わたしがメンヘラだということが世間にバレたら恥ずかしい」こう思うから、メンヘラであることを人は隠そうとします。毒親に育てられたことを隠そうとします。あるいは、恋愛依存症であることを隠そうとします。

メンヘラを卒業する方法とは?

メンヘラを卒業する方法とは?

隠そうとすればするほど、あなたの心は、あなたがこだわっている過去に縛りつけられます。隠すという行為は、「それをより強く意識する」ということだから、隠そうとすればするほど、人は過去に生きるようになり、今を今として楽しめなくなります――キルケゴールは、こう言います。

ということは、メンヘラを卒業する方法とは、まず1つには、隠さない、ということです。毒親に育てられたことをオープンにする! 例えば「わたしの親って、本当に毒親でさぁ」と、友だちに言う。「わたしなんか淋しくて、恋愛依存症なんだよね」と言う!

これが1つの卒業する方法です。言えない場合は自分なりに、今を感じる工夫をしてみることです。メンヘラさんの心は、過去のどこかに縛りつけられています。つまり、ただ今この瞬間を感じられていない、ということ。

過去とは、言葉を使って考えること全てが過去です。例えば「明日も仕事か。メンヘラのわたしに今の職場の人間関係はキツイな」と、明日のことを心配するのも、実は過去に生きているということなんです。メンヘラじゃない人は「明日は明日の風が吹くから、明日のことは明日考えよう」と思って、おいしいものを食べて、お風呂に入って寝ます。

ただ今この瞬間を「過去」にするのではなく、「今」として生きようと思えば、「感じること」を大事にすることです。例えば、花鳥風月を愛でること。あるいは、直感にしたがって生きること。あるいは「なんとなくやってみたい」と思った気持ちにしたがって、それをやってみること。

なぜなら「今」って、感じるしかないからです。「今」って、「いま」と口にしたそばから過去になるでしょ? つまり、言葉にできないものが「今」なんです。だからそれは五感で感じるしかないのです。だから、花鳥風月を愛でるとか、今直感したことにしたがって生きるしかないのです。

<まとめ>メンヘラとは? あるいはメンヘラのメリットとは?

メンヘラさんって、すごく真面目だと僕は思います。真面目だからメンヘラになったのだと思います。また、人一倍優しいから、過去に起きた出来事を簡単に切って捨てられないからメンヘラになったのだと思います。

真面目さも、優しさも、善く生きる上で絶対に必要な要素ですよね。

世間の多くの人(非メンヘラさんたち)は、その真面目さと優しさの「ちょうどいい分量」を「なぜか」知っているんですよ。誰に教わったわけでもなく、なぜか知っている。だから病むことなく「普通に」暮らしています。

でもわたしたち病んでいる人は、その「ちょうどいい分量」が分からないんですよね。何十年と生きてきても分からない。だから、真面目に考えすぎたり、優しくしすぎたりして、その結果メンヘラになり「メンヘラとは?」と、真剣に考えるようになるのです。

つまりメンヘラとは、人生をマイナスから生き始めることを余儀なくされた人、ということです。「普通の人」は、ゼロ地点から人生を始めます。でもわたしたちメンヘラはマイナスから始めて、努力してやっとゼロ地点に「戻れる」のです。

これには1つメリットがあります。普通の人が決して理解することのない(見ることのできない)心のあり方を理解することができる(見ることができる)というメリットです。そのメリットが生きるような職業についていただきたいと思います。お互い頑張っていきましょう!

Written by ひとみしょう

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