女装する男子の切ない気持ちとは?

男子が女装する理由を「男という役割からの解放」だという識者がいます。男装する女子は「女としての役割から解放」されたいので、男装している、と、こういうことのようです。

ここでは、女装男子を含め、いわゆるLGBT(性的マイノリティ)の男子のホンネについて見ていこうと思います。

潜在的「女装男子」は増えている?

仕事柄、LGBTの方々を含め、多くの人にお会いして、話をお聞きしていますが、ここのところ、というか、もう何年も前から、「バイセクシャルの男子は、我々が思っているより多いのかもしれない」と感じます。

バイセクシャルの人って、外見からはわからないこともあります。というか、外見からバイとわからない男子のほうが多いように感じます。
たとえばイカツイ、いかにも男の中の男、という人がバイセクシャルだったりします。

ホントにごく普通の大学生が、じつはバイセクシャルだということもあります。女子にはおそらく、到底想像できないかもしれませんが、こういう事実があります。

セックスレス問題に関するコラムが、最近ネット上にたくさん掲載されていますが、そのほとんどの記事で触れていないのが、この「バイセクシャルの男子について」です。

セックスレスカップルの彼氏は、じつはバイセクシャルではないか? これって、非常にデリケートなことですし、場合によっては差別的な表現と捉えられかねないので、多くの媒体ではこうは書かないのだろうと思います。

でも差別もなにも、ホントにバイセクシャルで、どちらかといえば男どうしでエッチを楽しむほうが好きだという男子はれっきとして存在します。存在するものを、あたかもなかったことにしちゃうかのように「書かない」というほうが差別だと思いませんか?

性的な嗜好だけとは限らないけれど

外見からはどう見ても「バイセクシャルではない」「ゲイではない」という男子の中にも、じつは夜になると、その手の集まりに女装して参加することが「ストレス解消」だと言う人がいます。

ふつうにスーツを着て、ネクタイを締めて19時くらいまでふつうの会社で仕事をして、それから女装の集まりに参加するそうです。

その人は言います。

「ホントは24時間、女として生きることができたら、これほどうれしいことはない」と。あるいは「スカートを穿いて、ヒールの高い靴を履いて、お化粧をしたら、女子の気持ちがすごくよくわかる」と。

前者の発言は、性的な嗜好と結びついていますが、後者の発言は、性的な嗜好だけを表している発言ではないとも捉えることができますよね。

でも、あくまでも個人的な考えとして、女装する男子の中にある「女になることにあこがれている気持ち」を、ちゃんと受け止めてあげないと失礼かもしれないと思います。

幼いころから、自分が男であることに違和感を覚えてきた人もいれば、高校生のころ先輩男子にイチャイチャされているうちにバイセクシャルやゲイに目覚めた男子だっています。

女子向けにBL系(いわゆるボーイズラブ)のマンガやエッチな動画がたくさん出回っている時代ですから、そういうことを知っている女子は、知っていると思います。どういう経緯をたどって、女装に目覚めたのかは、人それぞれです。

男子は「男として生きていることに」疲れている

今の世の中、男子は「男として生きていること」に疲れていたりもします。

女子は、場合によっては「お勉強なんか、そこそこしておけばいいのよ、実家から通える範囲にある、適当な大学に行って、4年間遊べばいいの」なんて親に言われることがあっても、男はきっとそうはいかないのです。

ウソかマコトか疑いつつも「高偏差値・高学歴・いい会社に就職」という概念にずっと追われます。

社会に出れば、女子は場合によっては「出産まで会社勤めする」でOKであっても、男子は「就職は一生のもの」と、重たくとらえる傾向が今でもあります。

さらに結婚したら、夫は「妻や子どもを経済的に不自由させてはいけない」し、「妻をほどよく褒めないと、妻は機嫌を損ねる」でしょ?「男をやる(演じる)」って、ホント、疲れることなんですよねぇ。

こういう傾向って今のところ、強くなる気配はあっても、この日本から消えそうな気配はまったくないので、女装男子は、きっと増えるのです。

そして女装する勇気のない、いわゆる「潜在的女装男子」も増えているのです。女装する趣味のないバイセクシャルやゲイの男子だって増えていると、取材を通して感じます。

だから、女装男子の心の中にある性的嗜好を、もっともっと多くの人が認める世の中になればいいのに、と思います。男子の女装の本質は、女子にとってのコスプレと同じ、とか、女装と性癖は関係ない、なんていう、かる~い話では、きっとないと思うんです。

 

Written by ひとみしょう

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