「え、部署異動ですか?」突如告げられた部署異動。何の準備も心構えもないのに、一体どうすればいいのか見当がつかない。
今回はそんな方に向けて「部署異動は拒否できるか? 希望の部署に異動するためにすべきこと3つ」をご紹介いたします。
たとえば総務部から営業部へ、所属している部署から動くことを『部署異動』と言います。
ある日突然別の部署への異動を言い渡されたらどんな気持ちになるでしょう。前向きに捉えられる人は少なく、戸惑いを感じることが多いのではないでしょうか。
今回は、部署異動のあれこれについて見ていきます。
部署異動の理由というのは一つだけではありません。
誰かが退職するからとか、もしくは能力を見込まれたポジティブなものあれば、人間関係のいざこざや左遷の意味が込められたものだったり、いろいろな思惑が交差しています。時には社内政治など関わりたくないような理由だったりもします。
だけどそれでも従わないといけないのが辛いところ。異動先でのアレコレを考えると胃が痛くなるという方もいらっしゃるかもしれませんね。
社員が希望した部署異動であれば文句や不満を言う人はいません。全員が希望の部署へ異動できればよいですが、キャパの問題や社員の能力など、さまざまな理由からすべてが叶うということはまずないでしょう。
部署異動には、社員と会社の思惑のズレも多々あるということを覚えておかなければなりません。
会社というのは常に人の流れに動きがあり、そんな会社側の思惑もあって部署異動は発生します。
部署異動を命じられたら、どんな狙いや目的があるのかを勘ぐってしまうかもしれません。ポジティブなことであればいいですが、ネガティブな理由だったらと考えると新しい部署へ行くのが怖くなってしまいますね。
部署異動の多くは、以下に挙げる理由で行われています。
社員の育成というのはどの会社でもやらなければならないことです。これを目的に部署異動を行う会社も多くあります。
一つの仕事に特化したプロフェッショナルな人材は大切ですが、さまざまな経験をしてオールラウンドに活躍できる人材は重宝されます。部署異動を経験すると上の立場になった時に部署間を調整する役割を果たすこともできます。
能力はあるはずなのに、現在の部署では思うようにその力を発揮できていない社員のために部署異動させるということもあります。
会社は常に適材適所を考え、どの人材をどこに配置すれば円滑な運営が行えるかを考えています。もちろん会社はボランティアではありませんから、不要な人材を見直すために異動させることもあります。
部署に新しい人材を入れ、その人が持つ経験やノウハウを伝えることで組織を活性化させるという目的で部署異動が行われることもあります。異動する本人だけでなく、異動先の社員の人材教育にもつながります。
また、新規事業を立ち上げて新たな事業展開を行い、組織を活性化させる場合にも部署異動が行われることがあります。
単純に、退職や産休などで欠員が出る場合にも部署異動は行われます。
人材が豊富で社員が異動しても仕事に支障をきたさない部署から、という場合もありますし、異動先の部署で必要とされる人材を全部署から選定して打診される場合もあり、この場合はネガティブなものではなくチャンスと捉えることができます。
現在所属している部署に満足していない、もしくはどこか別の部署へ行きたいという場合、希望する部署への異動願いというのは可能なのでしょうか。
それが叶うかどうかはさておき、異動願い自体は可能です。では希望を叶えるにはどうすればいいのでしょうか。
希望の部署への異動が叶うかどうかは、現在の部署でどれぐらいの成果を出すことができたかが影響してきます。成果を出す社員の希望は叶えようと考える会社は多いですし、そう思わせる成果を出すためには、まず今の業務に集中することが大事です。
業務をおろそかにしている部下が異動を希望しても、ただのわがままだと捉えられてしまうでしょう。
社内公募で優秀な人材を集める会社も増えてきています。希望の部署が社内公募を行っていないか常に情報収集をして、公募があればすぐ応募するということも希望の異動を叶える手段です。
人気の部署の場合だと応募者が殺到して試験や面接が行われることもあります。それに向けた勉強も少しずつ取り組んでおくと良いかもしれませんね。
上司に異動を希望する理由をしっかり伝えることも大切です。
部下が何も言わずいきなり異動願いを提出したとすると、理由がわからないほとんどの上司が部下に対して悪いイメージを持ってしまいます。心無い上司だと異動願いを握りつぶすかもしれません。
事前に、異動したい明確な理由、上司が納得できる理由を伝えておけば、希望する部署異動の力になってくれるかもしれません。
自分から希望して部署を異動する場合も、会社から言われて異動する場合も、部署異動に際して気を付けたいポイントというものがあります。これらをしっかり押さえてスムーズな部署異動を実現しましょう。
部署異動の前には、異動先の部署の情報収集は必須です。
どのような業務が行われているのか、業務の中でどのようなスキルが役立つかなど仕事に関することはもちろん、上司や部下になる人がどのような人であるか(人となりやこれまでのキャリアなど)調べられるだけ調べておきましょう。
情報収集のためには日頃からほかの部署の人と交流しておきたいですね。
異動が決まったら、今までいた部署と新しい部署にしっかりと挨拶しましょう。
今までいた部署では上司や同僚など社内の人はもちろん、お世話になった取引先の方にも異動を伝え挨拶しましょう。直接挨拶に行くことが難しい場合は電話やメールでの連絡でもよいと思います。
新しい部署では最初の印象が大切です。これから共に働く上司や同僚、取引先の方やお客さんにしっかり挨拶をするようにしましょう。
部署異動はみんなの希望通りにいくというわけではありません。思いがけないタイミングで言い渡されたり、嫌な部署への異動になって会社が嫌になる人も少なくありません。
嫌な部署への異動は拒否しても良いのでしょうか? もし異動を拒否できるとしたら、どのような理由であれば拒否が認められるのでしょうか?
原則として、会社から言い渡された部署異動などの人事は拒否することができません。
労働契約書(労働条件通知書)や就業規則には「業務の都合により、出張、配置転換、転勤を命じることがある」などの規定が設けられており、入社時に誓約書を交わしているケースがほとんどです。
異動があることを納得して入社したことになっているので、原則として拒否できない点には一定の合理性があるといえます。
しかし、社員にも事情があります。どうにもできない正当な理由があれば拒否することはできます。もちろん異動先の部署が嫌だ、上司が嫌いなどは正当な理由にはなりません。
では正当な理由とは、具体的にどのような理由のことを言うのでしょうか?
柔軟な働き方ができるように勤務地や職種を限定して雇用する会社が増えていますが、それでも部署異動を会社から言い渡されることがあります。
雇用契約書で勤務地や職種が限定されている場合には、会社からの部署異動の願いがあっても契約上の正当な理由でこれを拒否することができます。
育児や介護のために今の生活スタイルを変えることができないので部署異動が難しいという人も多いでしょう。
会社側は、このような家庭の事情がある社員に対しては人事配置について配慮しなければならないことになっており、部署異動をしなくて済むようにしてもらうことができます。これは十分に正当な理由となります。
正当な理由があれば部署異動は拒否することができますが、そんな理由なんてないという人の方がきっと多いでしょう。
嫌な部署への異動を命じられると、会社を辞めてしまいたいと思う人もいるかもしれませんが、その前に少し考えてみてください。嫌な部署でも上手く働くことができる場合もあります。
ここからは、嫌な部署に部署異動された時にやるべきことを4つ紹介していきます。
まずは、嫌な理由を冷静に考え直してみましょう。
原因は人それぞれで、何か一つの理由で嫌なわけではなく、複数の原因が混ざり合っている場合もあります。自分が嫌だと思う理由を分析してみることで、それが実は解決できることであったり、ただの思い込みだとわかったりする可能性もあります。
本当に譲れない理由であればまた違う視点から考え直すようにしましょう。
仕事の内容が難しそうとか、業務がハードであるという理由で部署異動が嫌なのであれば、これはスキルアップのチャンスと発想を転換させることも大事です。
新しい部署ではこれまでと違う仕事を経験することができます。仕事の幅を広げ、スキルアップができれば、これからの仕事とその評価をより良いものにできるはずです。
部署が変わるということは、仕事の内容や環境が大きく変わるので今後のキャリアを見直す必要もあります。
現在の部署でどうキャリアアップしていくか、人生の設計図を思い描いていたならば、新しい目標、ゴールを設定しましょう。その設計図によりプライベートも大きく変わってきます。
嫌な部署でも異動を前向きなものと捉え、キャリアの見直しをするようにしたいですね。
どうして嫌な部署に異動を命じられたのか、その理由を考える必要もあります。
会社が部署異動を命じる主な理由は、社員の育成・適性の見直し・組織の活性化・欠員です。会社によってはキャリアアップのために、入社から○年で異動するという決まりがある場合もあります。
理由を考えることは、部署異動をネガティブなものからポジティブなものへと変えてくれるかもしれません。
突然言い渡される異動命令に困惑しているのはあなただけではありません。会社勤めの人の一定数が異動を命じられた経験があり、そのときにみんな同じ気持ちになっているはず。
でも、多くの人はそれを乗り越えキャリアアップにつなげることができています。嫌だ嫌だと考えるだけでなく、冷静に異動を命じられた理由を考えたり、今後のキャリアを見直すことで、異動を前向きなものと捉えることができるはずです。
Written by KOIGAKU