近頃、“モラルハラスメント”という言葉を耳にする機会が増えたと感じている人は多いのではないでしょうか。
とはいえ、この“モラルハラスメント”がどんなハラスメントなのかというと、具体的にはあまり知られていないというのが現状です。
そこで今回は、あなたにも決して他人事ではない“モラルハラスメント”について徹底解説していきます!
“セクハラ”、“パワハラ”に並ぶハラスメントのひとつとして知られている“モラハラ=モラルハラスメント”。
この“モラルハラスメント”をひとことで言い表すならば、ズバリ「精神的暴力」です。
肉体的な暴力こそないものの、精神的に相手をとことんまで追い詰め、疲弊させてゆくのがこの“モラルハラスメント”。
具体的な内容としては、“無視”、“不機嫌な態度”、“差別的な対応”、“誹謗中傷”、“過剰に支配的なふるまい”などがあげられます。
また、暴力被害があくまで精神的なものに留まるために、顕在化しにくいというのも“モラルハラスメント”の大きな特徴のひとつ。
これがどういうことかというと、“モラルハラスメント”加害者というのは基本的に“表の顔”をもっていて、その本性である“裏の顔”を被害者以外に見せることがありません。
対外的には常識人としてふるまっているため、たとえ被害者が決死の思いでまわりに被害を訴えてみても、
「まさかあの人が」
「あの人を怒らせるなんて、あなたがよほど酷いことをしたんじゃないの?」
など、被害そのものを信じてもらえないということが少なくないのです。
――どうせ誰も信じてくれない。
――わたしがダメな人間だからあの人を怒らせてしまうんだ。
次第にそうした思考にとらわれた被害者は、“モラルハラスメント”に対して抗う力を失い加害者に服従していきます。
加害者のため息ひとつ、視線ひとつに敏感に反応し、“相手を怒らせないこと、不機嫌にさせないこと”が行動の指針となってしまうのです。
こうして被害は密室化し、より解決が困難になるという悪循環に陥ってしまうことに……。
さらに、加害者から「こいつは支配できる」思われたら最後、その関係性を問わず被害者となりえてしまうというのも“モラルハラスメント”の重要なポイントです。
“恋人”や“配偶者”、“家族”といった身近な相手をはじめ、“同僚”や“同級生”といった対等な立場、場合によっては“先輩”や“上司”といった目上の立場であったとしても被害者となってしまうのが“モラルハラスメント”の恐ろしいところ。
これは、“パワハラ”や“セクハラ”では見られない“モラルハラスメント”ならではの特徴といえるでしょう。
“モラルハラスメント”は、人の尊厳を傷つける立派な暴力であり虐待行為である――それをすべての人が知る必要があるのです。
では、“モラルハラスメント”の被害者になるのを避けるにはどうすればいいのでしょうか。ここで、“モラルハラスメント”の加害者に見られがちな特徴についてご紹介していきましょう。
・自己評価が極端に高い
・気分屋
・相手によって態度を変える
・人やものごとを評価したがる
・「自分は不当に扱われている」と感じている
・どんな場面でも「自分こそが正しい」と感じている
ここであげた特徴にあてはまるものが多ければ多いほど、その人物は“モラルハラスメント”加害者となる可能性が高いといえるでしょう。
いかがでしたか?
“モラルハラスメント”は、心の虐待です。被害者が受ける心の傷は非常に深く、加害者との関係が途絶えてからも長期間にわたり人間関係や恋愛に悪影響を及ぼしてしまうというのも珍しいことではありません。
被害者の心に寄り添うことはもちろん、万にひとつも自分自身が加害者になってしまうことのないよう意識して大切な人たちとの関係を築いていきましょう。
Written by 安藤うめ