最近の若者が「出世したくない」というのは職場環境のせいかも⁉ 若者たちに出世欲がないのは、先輩たちの様子や職場環境に嫌気が差しているからかもしれません。
出世したくない若者の心理と、若者に出世したくないと思わせてしまう職場環境とはどのようなものなのかをご紹介します。
若者たちが出世したくない理由として最も多く挙がるのが「プライベートを大切にしたいから」というもの。若者たちが重視しているのは、ワークライフバランスです。
一昔前は、“家庭より仕事”というのが当たり前で、遅くまで残業をして帰宅後に泥のように眠るというのがステイタスでもありました。そのため、プライベートは二の次。休日は仕事のための休息日で、好きなことをするための日ではなかったのです。
しかし最近は、仕事だけでなく、自分の趣味や好きな人と過ごす時間もきちんととりたいという価値観が一般的になってきました。仕事の目的は、好きなことや楽しいことをするためのものというのが、若者たちの感覚なんですね。
出世してそれなりのポジションに就くと、責任が重くなりますよね。近頃は「責任を取りたくない」という若者が多いです。
最近の10代や20代は、いたるところで「個性が大切だ」と言われてきました。
自分と他人を比べることのないように、運動会の徒競走では順位を決めない、劇でやりたい役に平等に挑戦できるように立候補した子供が全員主役、ということもあったそうです。
個性を大切にしろと刷り込まれてきた結果、いまさら他人のやることに責任を取れと言われてもできないのです。責任のある立場に就くことは面倒なことだという意識があるから、出世したくないんですね。
コロナ禍で、働くことに対する価値観が変わったことも大きいかもしれません。
この期間、将来安泰と言われた大手企業なのに職を失う人が続出したり、テレワークやフレックスタイム制などで縛られない働き方がスタンダードになったり、今までの「当たり前」が通用しないことを多くの人が目の当たりにしました。
これまでなんとなく終身雇用に縛られていた人も、「もっと自由でいいんだ」と気づき、いつでも好きなことに挑戦できる身軽な立場でいたいと、出世を望まない若者が増えたのです。
最近の若者は、幼い頃からパソコンやスマートフォンなどの電子機器が手元にあった世代。だからこそITスキルが高いのですが、同時にコミュニケーションが苦手だという人も多い傾向にあります。
メールではきちんとやり取りできるのに、対面になるととたんに大人しくなってしまうという人も。
出世すると関わる人が増えて、必然とコミュニケーションを取る機会も増えます。付き合いでの飲み会も面倒に思えて、出世に意欲的になれないのです。
社畜(しゃちく)とは、会社のために、まるで奴隷のように自分を犠牲にして奉仕するという意味の言葉です。
入社当初は意気揚々としていた若者も、自分のやりたいことを封印して、周りに作り笑いでヘコヘコ頭を下げてばかりいる上司の様子を見れば、うんざりしてしまうでしょう。
そればかりか、上司が日常的に仕事の愚痴を言っているのを聞くと、若者のやる気は下降線をたどる一方……。
「ここでは自分のやりたいことはできないんだ」と意欲を失い、出世したいと思えなくなります。
おかしいと思っていても、社内の独自のルールで正解とされるような理不尽がまかり通っている職場には、若者は希望を見出せません。
「お局が言ってるからその通りにして」とか、不正を見て見ぬふりしているとか、そういったおかしなことを目の当たりにすると、仕事に嫌気が差してきます。
給料は、仕事のモチベーションに直結します。大変な仕事をして、それ相応の報酬がもらえるとわかっているなら、出世したいと頑張れるでしょう。
ところが、いつもものすごく大変そうにしている自分の上司がそれほど給料をもらえていないとわかったら、途端にやる気を失ってしまいます。
いくら頑張っても稼ぎに繋がらないなら、頑張っても意味がないと、出世欲も立ち消えてしまうのです。
若者が出世したくない最も大きな理由は、ワークライフバランスを重視しているからです。
仕事だけではなく、自分の好きなことをしたり大切な人と過ごしたりするための時間を取りたいというのが本音で、管理職になることで仕事に多く時間が取られることを懸念しているのです。
仕事すること自体、好きなことをするためであり、あくまでお金を稼ぐための手段。仕事にやりがいを見出さなくてもいいと考える若者が増えたことも、理由の一つかもしれません。
個性が重んじられ、価値観が多様化しているからこそ、仕事に対する考え方もさまざまなんですね。
Written by さあや