大勢の人とコミュニケーションをとれる人をみたとき、「羨ましい」と思う人もいることでしょう。でも、世の中には、自分の外側からの刺激でエネルギーを得られる人ばかりではありません。自分の内側からエネルギーを得られる人、「内向的」な人の存在があります。
本記事では「内向的」に焦点を当て、内向的な人の特徴や内向的思考のメリット・デメリットを紹介していきます。なにかとネガティブに捉えられがちな「内向的」性格ですが、この性質の持ち主だからこそ向いている仕事もあるんですよ!
「内向的」というのは、いったいどのような性格のことをいうのでしょうか。
そもそも、「内向的」「外向的」という言葉は、精神分析学の創始者『カール・グスタフ・ユング』によって提唱された「内向性」「外向性」という用語に端を発するものです。
ユングによると、「内向性」とは、人生に対するエネルギーや情熱を自分自身の内部で作り出すことができ、ものごとへの興味・関心が内側に向きがちな性格特性をいいます。
対して「外向性」とは、人生に対するエネルギーや情熱を外部の刺激から作り出すことができ、ものごとへの興味・関心が外側に向きがちな性格特性をいいます。
では、内向的な人の特徴について具体的に見ていきましょう。内向的な人に共通して見られる特徴には、以下のようなものがあげられます。
・内気で控えめ:自分の考えを強く主張しない。目立つをことを嫌う。
・思慮深い:ひとつのものごとをじっくりと考える。あらゆる可能性を考えるので、安易に行動しない。
・実行力に欠ける:頭ではいろいろと考えても、一歩を踏み出すことがなかなかできない。
・一人の時間を楽しめる:自分の世界を持っているので、他人と一緒にいる必要を感じない。
・あまり感情を表さない:感情的になることが苦手。
・狭く深い付き合い方を好む:たくさんの人とのやり取りが得意ではなく、必要性も感じないため、少数の気の知れた相手との付き合いのほうが得意。
内向的というと、どちらかといえばマイナスな印象に捉えられてしまいがちですよね。でも、内向的な性格だからといって、決してネガティブなことばかりではありません。ここで、内向的思考だからこそ得られるメリットを紹介します。
・集中力が高く、ひとつのことを究められる
・物事について上辺だけでない深い洞察ができる
・単純作業が苦にならない
・慎重なぶん、リスク回避能力が高い
メリットがあれば、同時にデメリットも存在します。内向的思考によって生じるデメリットについて見ていきましょう。
・環境の変化が苦手
・コミュニケーションが苦手
・いったんなにかをはじめると、それ以外のことができない
・知識量に対して経験がともなわないことが多い
では、内向的な人が向いている仕事とはどのようなものなのでしょうか。特性別に紹介します。
内向的な人には、一般的に高い集中力が備わっています。
あれもこれもとたくさんのことを一度に管理するような職業には向きませんが、職人・アーティスト・作家・漫画家のような、自分自身と向き合い、ひとつの道を究めるような職業であれば、黙々と成果をあげることができるでしょう。
また、内向的な人には、単純作業が得意という特性もあります。
ほかの人が根をあげてしまうような長時間の反復作業であっても、苦にならず続けていくことができます。職業としては、工場や食品加工、検品・検査、配送などが向いています。
思慮深く、あまり感情を表さないという特徴を活かし、家庭教師などの少人数を相手にした教育関係もおすすめです。生徒一人一人の特性をしっかりと理解し、それぞれに合った学習方法を提案できるでしょう。
また、ひとつひとつの結果に一喜一憂することがなく、情緒面でも安定しているため、生徒からの信頼の厚い教育者になれるでしょう。最終的に良い結果を導き出すことができそうです。
自分で自分のことを「内向的」だと感じたり、周囲から「内向的な人だね」と指摘されたとき、ついついネガティブに捉えてしまってはいませんか?
でも、内向的というのは決して悪いことではありません。自分自身と深く向き合うということは、他人を理解し、思いやることにも通じます。
自分のなかに閉じ込めたままのたくさんの知識や思い、感情を少しずつ表現していくことで、あなたの世界はいま以上に広がってキラキラと輝きだすことでしょう。自分自身の個性を大切にしながら、それをもっとも活かせる環境を手に入れてくださいね。
Written by 安藤うめ