女性の生涯未婚率の増加の背景について記載しました。女性の社会進出により、選択肢が増えたことによって、結婚という選択をしない女性が増えたことが背景にあります。
未婚率増加は少子化にも影響しますので、メリットとデメリットを踏まえて検討する必要があります。
1. 結婚しない女性が急増したのはいつ頃から?
結婚しない女性が急増したのはいつ頃からでしょうか。1970年の生涯未婚率は、男性1.7%・女性3.3%と未婚の人はほとんどいない状況でした。
しかし、近年では結婚しない男女が増加し、生涯未婚率は急増しています。日本の生涯未婚率が急増し始めたのは1995年ごろです。これは当時の経済状況や女性の社会進出などにより、結婚への価値観が変化したためと考えられます。
さらに、現状のままだと2035年の生涯未婚率が男性で約29%、女性も約19%に上ると見られており、少子化にもさらに拍車がかかることが懸念されています。
2. 結婚しない女性が急増したのはいつ頃からか時期別で比較
結婚しない女性が急増したのはいつ頃からなのでしょうか。
「未婚率が増えた時期」「年代別の女性の未婚率」「生涯未婚率とは」の3つの見出しから、未婚率について詳しく見ていきましょう。
未婚率が増えた時期
総務省「国勢調査」の1950年から1980年頃の20~34歳の未婚率は、男性が約50%、女性は約33%と、結婚しない人の割合は半数以下でした。
しかし、1980年代後半から未婚率が上昇し、2000年には、男性は約68%、女性は約55%となっており、結婚していない人が急増しています。
同調査によると、「2000年の日本全国における20~39歳の未婚者数」は、約1,833万人、男性が約1,040万人、女性は約793万人であるとの調査結果が出ています。
年代別の女性の未婚率
総務省の国勢調査よると、1980年後半ころから未婚率が上がっているようですが、女性の未婚率が高い年齢層はどの年代でしょうか。
1990年代と2010年の未婚率を比較しながら、20代、30代の未婚率を見ていきましょう。
20代の場合
20~24歳の女性の未婚率は、1990年で92.2%、2000年で92.9%、25~29歳の未婚率は、1990年で40.2%で、2000年で54%となっています。
20代前半は学生の方も多くいるため、未婚率は高めとなっていますが、1990年から2000年の10年間を比較したときに、未婚率の推移はあまりみられせん。しかし、20代後半は10年で約15%未婚率が増加しています。
このことから、20代前半と比較すると、20代後半の方が結婚しない女性が急増していると言えます。
また、1970年代は、20代の「5人に1人が独身」という状況でしたが、2000年以降は「2人に1人が独身」という状態に変化しています。
30代の場合
30~34歳の女性の未婚率は、1990年で32.6%で、2000年で42.9%、35~39歳の未婚率は1990年で19%で、2000年で25.7%となっています。
20代と比べると、急増しているわけではないですが、10年で30代前半で約10%、後半で約7%未婚率が増加しています。
世代別に見たときに、30代の未婚率が一番増加傾向にあることがわかります。
生涯未婚率とは
『生涯未婚率』とは、50歳になるまでに一度も結婚をしたことのない人の割合を示しており、政府が人口の統計の際に使用している言葉です。
『生涯』という単語が使われているため勘違いされがちですが、生涯一度も結婚をしたことのない人を指す言葉ではありません。
2019年には、『生涯未婚率』から『50歳時未婚割合』に表現が変更・統一されました。
2010年における女性の生涯未婚率
総務省の「国勢調査」によると、2010年の女性の生涯未婚率は9.9%となっています。
パーセンテージでみると全体の1割未満のため、思ったより少ないと感じる方もいるでしょう。しかし、2000年時点の生涯未婚率は5.8%なので、10年で約5%増加しています。
3. 結婚しない女性が急増した理由7つ
1995年ごろから上昇し始めた生涯未婚率は、2020年には男性が26.7%、女性が17.5%に急増しました。このデータを踏まえて、「結婚しない選択」をすることを視野に入れている人もいるでしょう。
なぜ結婚しない女性が急増しているのか、その理由を紹介します。
1:女性の社会進出が進んだ
現代では、女性も男性と同様、就職しキャリアを積むのが当たり前になりました。女性は自分で稼ぐことができるようになり、自由に生活ができるので結婚という形で男性に頼る必要がなくなりました。
数年前までは、専業主婦という生き方が大半を占めていましたが、社会と距離ができてしまうことや、自由が奪われるといった心理的な束縛を専業主婦に対して感じてしまう女性が増えているようです。
結婚しないで、自由に過ごしたい女性が増えていると言えます。
2:仕事に集中できる
仕事に没頭できるのも、生涯未婚でいることのメリットと言えるでしょう。生涯未婚率が上昇した理由のひとつに女性の社会進出があるように、近年キャリアを目指す女性が増えてきました。
男性の育休取得など、少しずつ育児や家事の男性の参加、協力、分担が当たり前になりつつありますが、それでもまだ女性の方が家事・育児の負担が大きいのが現状です。
その点結婚しない選択は、仕事に集中したい女性にとって家庭に時間が奪われないので、自由なワークスタイルで仕事ができます。
3:自分のためだけにお金が使える
生涯未婚でいることで、自分のためだけにお金を使えるというメリットがあります。結婚後も夫婦共働きでお互いにある程度の収入があれば、独身のころのように自分のためにお金を使うことも出来るでしょう。
しかし子どもが産まれるとそうはいきません。女性の産休・育休、さらにその後の時短勤務などで一定期間の収入ダウンは避けられません。
また、子どもの教育資金など、全てのお金を自分のためだけに使うことは難しくなります。未婚でいることで、趣味に思う存分お金をかけるなど、自分のために自由にお金を使うことができます。
4:自分の時間が持てる
結婚をすると家族と過ごす時間も大切にする必要があるため、独身のころのように自分の趣味に好きなだけ時間を費やすのは難しくなるでしょう。
女性の場合は子どもを産むかどうかという問題もあり、出産したら家事育児に加えて仕事をする場合も多いです。もちろん家族のために尽くすことを幸せに感じる人もいますが、自分のために時間を使いたいと考える女性も多いです。
独身であればどこに行くにも何をするにも家族のことを気にする必要がないので、自由な生き方をしたいと考える人は結婚を選ばなくなります。
5:事実婚を選択するカップルが増えた
生涯未婚でいることのメリットに、自由に恋愛ができることがあげられます。
未婚同士の恋愛は、誰に咎められることなく自由に楽しむことができます。また別れる時も、未婚であればお互いに納得していればすぐに別れることができるなど、自由な恋愛ができると言えます。
また、近年では籍は入れないが、パートナーと生活を共にする「事実婚」を選択するカップルが増えています。結婚という枠に捕らわれず、自由に恋愛できるのも「事実婚」の魅力です。
6:経済的な問題がある
未婚女性は、結婚相手に最低400万円以上の年収を求めているというデータがあります。
男性の年収が以前よりも下がっていることで、金銭的に結婚することが難しいと考える女性も増えています。
男女の収入格差
先ほど、男性の収入が下がってしまっている点についてお伝えしましたが、反対に女性の収入は増加傾向にあります。
以前は、男女の収入格差が大きく、女性が働きに出ても男性と同等の収入を得ることが難しかったのですが、現在は経済的に自立している女性が多く、経済的な心配がない女性が増えています。
7:子育てしにくい環境の地域に住んでいる
結婚をした人の多くは、妊娠、出産、子育てのことを視野に入れる方も多いでしょうが、子育ての環境も女性の結婚を左右する要因となっています。なぜなら、女性にとって子育てしにくい環境であることは、結婚へのハードルを上げることになるからです。
例えば生涯未婚率が低い福井県や山形県では三世代同居が多いため、子どもを産んだ後も女性が仕事を続けやすい環境だと言えるでしょう。
それに対し生涯未婚率が高い東京などは保育所の空きが少ない、親が遠くに住んでいるなど、子育てがしにくい環境となっています。
また、育休明けに会社に復帰しようと思っても、時短勤務にせざるを得なかったり、子育て支援が整っておらず、職場復帰できず退職しなければならない方もいます。
4. 生涯未婚のメリット
結婚しない女性が急増した理由にも挙げたように、女性の社会進出によって女性の選択肢が増えました。
経済的な自立により、趣味に時間を注ぐことができたり、仕事に集中できたりと、男性に頼らず、自分の好きなように過ごすことができる事は、生涯未婚の魅力といえるでしょう。
5. 生涯未婚のデメリット
生涯未婚であることのメリットを一言で表すと、「自由」だということでしょう。その反面「全ての責任を自分で負わなければならない」のがデメリットだと言えます。
例えば、老後パートナーや、子供がいない場合に病気になって働けなくなってしまった場合などに、親族として助けてくれる人がいないという孤独や心配は尽きません。
6. 結婚しない女性が急増した背景
女性の社会進出により、結婚しないという選択をする女性が急増したことは明らかですが、生涯未婚率に男女差はあるのでしょうか。
生涯未婚率の男女差について
2020年の生涯未婚率によると、男性が26.7%、女性が17.5%と男女で約9%の差があることが分かります。
理由として、未婚女性と結婚する再婚男性の増加や、結婚を意識しだす年齢が女性の方が早い傾向があるからです。
7. 結婚しない女性が急増したのはいつ頃からについて真剣に考えてみよう
生涯未婚率が上昇している背景には、それまでの「適齢期になったら結婚して当然」という価値観が変化したことが大きく影響していると考えられます。
結婚以外の楽しみや生きがいを見つけ、自分のしたいことができる自由な人生を送りたいと願う人が増えているのです。
しかし、生涯未婚であることにはメリットだけでなくデメリットも存在します。このことを踏まえ、結婚についてじっくりと考えてみましょう。