昔も今も、若い女性の間で人気の恋愛ドラマ。中には社会現象を巻き起こすまでの話題になったヒットドラマもありました。恋愛ドラマには、その年代の世相や恋愛観などが色濃く反映されています。
今回は、年代別に話題になった恋愛ドラマをもとに、恋愛事情の変化を考察していきます。
1. 【1990年代】恋に積極的な女性への憧れ
『あすなろ白書』(1993年・フジテレビ系)
女子大生・園田なるみ(石田ひかり)を中心にした男女5人を描いた作品。なるみと掛居保(筒井道隆)の結ばれては離れる恋愛模様を軸に、2人を取り巻く友情や恋がからんできます。
5人の中の1人、取手治役の木村拓哉さんの人気に火をつけた作品としても有名です。5人は「あすなろ会」という仲間を結成しますが、5人の間で片思いをしたり、くっついたり、別れたりして、視聴者をハラハラさせます。
主人公なるみは、保に恋人がいると知っていても、「好きなものは好き!」と自分の気持ちをストレートにぶつけていきます。
1990年代にヒットしたドラマとして、もうひとつ有目なのは『東京ラブストーリー』もあげられると思いますが、このドラマの主人公赤名リカ(鈴木保奈美)も自由奔放で恋に積極的です。
1990年代の恋愛ドラマは、三角関係、嫉妬などドロドロの要素がからみながらも、ストレートに恋愛感情を表現する女性の強さと、まっすぐゆえに傷つくこともある切なさが描かれていると思います。
この時代は、女性が男性並みに働くことが当たり前になりつつある頃。強い女性への憧れが、女性視聴者を惹きつけたものと思われます。
2. 【2000年】夢はセレブ妻、「三高」神話の始まり
『やまとなでしこ』(2000年・フジテレビ系)
国際線のスチュワーデス桜子(松島菜々子)は、貧乏は嫌だと家出をした過去があります。裕福な暮らしを目指して、夜な夜なお金持ち男性との合コンを繰り返しますが、職業を偽って合コンにきた中原欧介(堤真一)に惹かれていきます。
2000年以降、女性が結婚相手に求める条件として、「三高」というものがあげられ始めました。つまり、高学歴、高身長、高収入です。
その世相があらわれていると思います。しかし、このドラマのラストで桜子は、三高よりも愛をとるのですが……。
3. 【2013年】バリキャリ・オス化女子の進出
『ラスト・シンデレラ』(2013年・フジテレビ系)
遠山桜(篠原涼子)39歳は、男以上にバリバリ働いてきた美容師。ある日鏡を見たら、自分の顔に太いヒゲを見つけてびっくりする……。
女性であることを忘れてしまうほど、なりふりかまわず仕事に没頭する女性たち。そんな女性たちの中には、過労やホルモンバランスの崩れから髪の毛が薄くなったり、男性のような濃いヒゲが生えてきたという人も見られるといいます。
つまり、女性の社会進出がごく当たり前になり、女性管理職も増え、仕事のストレスも男性並みに。その結果、オス化してしまう女性が増えつつあるという世相を反映したドラマです。
また、この頃肉食系、草食系という言葉も流行りましたが、桜の恋の相手役のひとり(佐伯広斗)として三浦春馬さんが肉食系男子を演じています。
4. 【2016年】恋なんて必要ない・絶食系男子の出現
『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年・TBS系)
森山みくり(新垣結衣)は、独身の会社員・津崎平匡(星野源)の家事代行として働き始めます。やがて2人は契約結婚をします。夫が雇用主で妻が従業員という契約結婚をする2人の新感覚社会派ラブコメディ。
星野源さん演じる平匡は、草食系男子を通り越して、絶食系男子と言えるでしょう。つまり、奥手どころか女性にまったく興味がなく、恋愛を必要としていない男性です。
物語が進むにつれて、その意識は変わってはいくのですが、男性も女性も生涯未婚率が30%を超えようとしているというこの頃、世間体のためだけに契約結婚をするというカップルが出てきても、ちっともおかしくない時代なのかもしれません。
5. 【2019年】婚活はアプリで簡単に
『まだ結婚できない男』(2019年・フジテレビ系)
人気ドラマだった『結婚できない男』の続編。50歳をこえても独身、結婚にまったくメリットを感じないという桑野(阿部寛)。
ある日部下が勝手に桑野のプロフィールで婚活アプリに登録してしまいます。桑野のプロフィールを見た女性からたくさんのメールが届くのですが……。今度こそ桑野は結婚するのでしょうか。
IT時代の今、婚活もネットでするのが当たり前になってきました。SNSや婚活アプリなどは便利です。
サクラがいるともいわれているし、興味はあるけれど危険もあるのでは……なんて思っている人には、参考になるドラマかもしれません。
6. おわりに
恋愛や結婚に対する考え方は、今と昔ではちょっとずつ変化してきています。しかし、やはり恋がしたいとか、結婚したいと素直に思える男性や女性が今でも主流かもしれません。
それぞれの年代のドラマで気になったものがあったら、今はネットでも見ることができますので、ぜひ見てみてはいかがでしょうか。
若い人でも昔のドラマに共感し感動することもあるかもしれませんし、年齢を重ねた人が現代のドラマにハマることもあるはずです。