「パーソナルスペース」とは「他者が自分の懐に入ってくることに対して許せる距離」のことを指します。他者に対する警戒心の強さは、パーソナルスペースが広ければ強くなり、狭ければ弱くなります。
親しい間柄になってくると自ずと距離感は狭くなっていくものですが、時に、大して親しくない人や初対面の人に対してもパーソナルスペースが狭い人がいます。
本記事では、パーソナルスペースが狭い人に着目。その特徴や、そんな人と上手に距離感を保つ方法について紹介していきます。
1. パーソナルスペースが狭い人の特徴
パーソナルスペースが狭い人を観察すると、いくつかの共通点があります。
それは、アクティブ・好奇心旺盛・自信家・甘え上手・優しいというもの。
どんな人がパーソナルスペースが狭くなりがちなのか、この5つのポイントからチェックしてみましょう。
アクティブな人
アクティブで明るく前向きな人は、パーソナルスペースが狭い傾向があります。
自分からアクティブに行動する人は自己主張もしっかりできるので、周りの人を巻き込んでいく影響力を持っているのです。
また、常に行動し続けて後ろはあまり振り返らず、とても前向きな姿勢で先頭に立って活躍するタイプが多いので、何かと任せて安心な人でもあります。
物事を楽しむことにも積極的で、色々イベントを考えたり、誰かから誘われた場合も基本的には断らないため常に誘いが絶えません。
そこにいるだけで場を賑やかにしてくれる点も、パーソナルスペースが狭い人に多い特徴と言えます。
好奇心が旺盛な人
何に対しても好奇心を抱くという点も特徴です。
パーソナルスペースが狭い人は、苦手なことの範囲が狭い傾向があり、何でも試してチャレンジします。新しいことをスタートする時は、周囲を巻き込みながら突き進むパワーもあります。
さらに、この好奇心は物事だけでなく対人においても発揮され、相手について知りたいという気持ちが強い傾向もあります。
そのため、初対面でも相手について知ろうと積極的にグイグイコミュニケーションをとってしまうという失敗もしがちです。
多くの人と関わりを持ちながら、行動を共にすることを楽しいと感じる人が多いと言えます。
自信を持っている人
自分に自信を持っている人もパーソナルスペースが狭くなる傾向があります。自信があるから誰とでも仲良くなれ、様々なことにチャレンジできるわけです。
誰とでも臆せずに付き合えるため、仕事の対人関係だけでなく、恋愛でも自信をもって自分らしく振る舞えます。もちろん誰とでも仲良くなれるので常に周囲に友人がたくさんいます。
誰かと連絡を密に取ることもストレスと感じにくく、友達との予定や仕事の予定、恋人との予定でスケジュールが詰まって忙しくなっても平気です。
人見知りの人からしたら、見ているだけで疲れてしまうほどの多くの人と常に連絡を取り合って、常に誰かとの予定をこなしている生活でも、パーソナルスペースが狭い人は自信を持って楽しんでいます。
甘え上手な人
パーソナルスペースが狭い人の中には、甘え上手で人懐っこい人も多くいます。
根本的には自分に自信があるので、自分の弱い部分をさらけ出して相手に見せることに恥ずかしさを感じず甘えることができます。
自分をオープンにすることで、さらに相手との距離が縮まってパーソナルスペースが狭くなっていくのですね。
相手も上手に甘えられると、弱みを見せてくれる素直な人、または裏表のない人だと感じて信頼感が高まり、受け入れる傾向があります。
誰にでも優しい人
すぐに誰とでも分け隔てなく仲良くなれるのも、パーソナルスペースが狭い人の特徴です。
本来、すべての人は根っこの部分が優しいはずで、誰にでも優しくすることが出来るのです。
しかしそれは現実的には難しく、状況によってはとても相手に優しくできない場合もあるでしょう。
その理由としては、家族とのケンカや仕事が忙しい、相手に好感が持てないなど、些細なことから深刻なことまで様々で、自分自身が抱える問題から相手に優しくする余裕を失った結果と言えます。
パーソナルスペースが狭い人も様々な事情を抱えているはずですが、自分がどんな状況にあっても相手に優しくできるという点は美徳と言えるのではないでしょうか?
2. パーソナルスペースの狭い人と広い人の違い
他者が自分の懐に入るときにそれを許せる距離が遠い人、つまりパーソナルスペースが広い人は、狭い人とどのように違うのか。特徴をみてみましょう。
何を考えているか分かりにくい
パーソナルペースが広い人は、物静かで自分から積極的に話をしない傾向があり、周りの人にとっては何を考えているか分かりにくいという印象があります。
あまり親密ではない人、初対面の人にも明るく積極的に話しかけ、自分のこともオープンに話すパーソナルスペースが狭い人とは、話し方や人との関わり方が大きく違っています。
なかなか仲良くなれない
パーソナルスペースが広い人は人見知りをするタイプが多く、なかなか仲良くなれない傾向があります。
自分に自信があり誰とでも仲良くなれるパーソナルスペースの狭い人と違って、自分のスペースに人が入ることが苦手なので場に馴染むまでにも時間が必要です。
一人で活動することを好む
グループ活動や大勢と一緒に過ごすことが苦手という点も特徴的です。
常に誰かと会話を楽しみ、グループで一緒に活動することが好きなパーソナルスペースが狭い人と違い、一人で行動する方が楽だと考えています。
3. 距離が近い人に対するみんなの意見
距離感についての感じ方は、人によって違います。人との距離が近い人に対する肯定的な意見と否定的な意見をまとめてみましょう。
肯定的な意見
「職場にいる同僚が明るくて話しやすく一緒にいて楽しいです。その同僚を中心にいつも場が盛り上がり、上司や同僚、お客様ともすぐに打ち解けられるのでコミュニケーションが円滑になり助かっています」
パーソナルスペースの狭い人は、人間関係を上手に構築できるので、コミュニケーションスキルが必要な職場では頼りになります。
「会社のリーダー職の方はいつも安定して親切で、不機嫌な姿を見たことがありません。誰にでも優しく、分け隔てなく接するので周りからも信頼されています。常に人に囲まれて、自然と人が集まってくる人柄を尊敬しています」
パーソナルスペースが狭い上司であれば誰にでも分け隔てなく接してくれるので、顔色を伺いながら仕事を進める必要がありません。いつでも相談できるため仕事もしやすく、職場の雰囲気も明るくなります。
否定的な意見
「自分自身が人との距離感を保ちたいタイプなので、近付かれすぎると不快に感じます。あまり親しくない関係性の友人にパーソナルスペースが狭めの子がいて、距離が近くいつも困っています。相手は明るく楽しい雰囲気ですが、苦手だと言い出しにくいことが悩みです」
ちょうど良いと思う距離感が違う場合、パーソナルスペースが広い人の方が我慢を強いられることもあります。
「合コンで距離感が近いと自分に気があるのかとドキドキしてしまいます。好意がないのに隣に座ったりボディータッチをすると勘違いされるので気を付けた方がよいと思います」
パーソナルスペースは個人差があるだけでなく、男性と女性でも違いがあります。
男性は左右のパーソナルスペースが狭く、前の方向は広めです。対して女性は前後左右が均等な広さになっています。
合コンなどで隣に座ることは、女性にとっては何気ないことでも、男性側のパーソナルスペースに入ってしまうという現象が起こります。
4. パーソナルスペースの狭い人の心理
パーソナルスペースの狭さはどのような心理から生まれるのでしょうか?
人と仲良くなりたい
パーソナルスペースが狭い人には、常に人と関わり様々な人と仲良くなりたいという心理が根底にあります。
相手のことをよく知らずに関係性を断つことはもったいないとも考えていて、苦手意識や先入観よりも、まずは相手を知って自分を知ってもらい、よい関係性を築いていきたいと考えています。
そのため、初対面の人とも積極的に関わって、お互いを知ろうと頑張るのです。
自分をよく見せようとは思っていない
たくさんの人に囲まれて楽しそうにしているパーソナルスペースの狭い人の多くは、一見すると八方美人に見えるかもしれません。
しかし多くの場合、パーソナルスペースの狭い人は自分を必要以上によく見せようとは思っていないのです。
自分に自信がある人は、相手に認めてもらわなくても自分で自分を認めています。全ての人に認められたい、愛してもらいたいという意識はないので、八方美人を目指す必要がないのです。
誰にでも分け隔てなく優しくすることは、相手の意見を尊重して協調性を大切にしているということです。
自分を選んでくれる人から信頼されることを大切にしたいという心理が働き、弱い部分も含めて自分をオープンにしているため、結果的に多くの人と仲良くなっているとも言えるでしょう。
人の悪口を言わない
パーソナルスペースが狭い人は、多くの場合、あまり人の悪口を言いたいという心理に陥りません。
誰かの悪口を言ってストレスを発散したい人や、悪口を言うことで自分を正当化したい人にとっては、悪口を言わない人は逆に怖いし、偽善者なのではと勘繰ってしまうこともあるでしょう。
なぜパーソナルスペースが狭い人は悪口を言わないかというと、まずは前向きさや楽観性があるからです。
アクティブで明るい性格なので、自分が嫌がらせをされたとしても気付かなかったり、前向きに捉えたりできるため、悪口を言う心理に繋がりません。
無視された場合でも、聞こえなかったんだろうと楽観的に考えて不満を抱かないのです。
相手に対して好感を抱いている
パーソナルスペースは相手に対する好感度が上がると狭くなります。
好感を抱いた相手とのコミュニケーションでは、相手の表情をしっかりと確認したいという心理が働き、パーソナルスペースが狭くなっていきます。
特定の人にだけパーソナルスペースが狭い場合は、意識的あるいは無意識に好意を抱いていると考えられます。
しかし、誰に対してもパーソナルスペースが狭い人もいるので、距離が近いことがそのまま好意の表れとは断定できません。
5. パーソナルスペースが狭い人と、上手に距離を保つ方法
性別や性格、文化や人種が違うように、パーソナルスペースは人によって異なっています。
ちょうど良いと感じる距離感が違うと、パーソナルスペースの狭い人に対して苦手意識を感じたり、その距離感の近さに悩むこともあるでしょう。
相手を受け入れられない自分を責めてしまう前に、パーソナルスペースの考え方や上手に距離を保つ方法を知っておくと役に立ちます。
まずは距離を取ってみる
自分がちょうどよいと感じるパーソナルスペースを確保して、相手が近付いてきた分だけ離れるなどの試してみましょう。
また、パーソナルスペースは心理的な距離にも影響され親密な関係になるほど狭くなるので、物理的な距離だけでなく心の距離も置くようにします。
周囲の人に言ってもらう
さりげなく距離を置いても気付いてもらえない場合は、周囲の人に伝えてもらうと効果的です。
特に職場の場合、周囲から意見を伝えてもらうことで、客観的な事実として理解してもらえる可能性が高くなります。
パーソナルスペースが狭い人は無意識であることが多く、自覚していないケースがほとんどなので、第三者の視点からどう見えているかを伝えることで気付いてもらえるでしょう。
相手が職場の異性であれば、上司に注意してもらうなどの対応をおすすめします。
直接伝える
距離感の近さを不快に感じる場合、自分から直接伝えるという方法もあります。自分自身が安心できるパーソナルスペースを明確に伝えられれば効果的です。
ただし、相手を尊重した表現を使い、やんわりと、かつハッキリと意思表示してください。「キモイ」「不快」「嫌だ」など、相手を傷付けて怒らせるような言い方はしない方が得策です。
自分自身も振り返ってみる
パーソナルスペースは人によってサイズも形も違っています。
左右のパーソナルスペースが狭い男性は、横に近付かれることを苦手に感じやすく、パーソナルスペースが円形の女性は、正面方向に近付かれることに不快感を抱きやすい傾向があります。
もしも相手の距離感を不快に感じた時、自分自身が気付かないうちに相手のパーソナルスペースに入ってしまった可能性がないか、振り返ってみることが大切です。
6. まとめ
パーソナルスペースは人によって違うものです。
誰とでも仲良くできる距離感の近い人を苦手に感じた時、多くの人は相手を受け入れられない自分自身を責めがちです。相手に悪気が無いからこそ、対応にも悩まされるでしょう。
しかし、様々な人々が様々な感じ方をし、パーソナルスペースの狭さや広さが違っていることは当たり前だと言えます。
お互いにちょうどよい距離感を探しながら、上手にコミュニケーションを図っていきましょう。