恋愛市場には、わかったようなわからない言葉がいくつもあります。
たとえば、草食系や肉食系。あるいは隙のある女子はモテるというときの隙。
いずれも、なんとなく言いたいことはわかるけど、あらためて言葉の意味を問われると答えられないですよね?
さて、今回は、恋愛における女子の「隙」について一緒に考えてみたいと思います。
1. 「隙」ってなに?
隙のない女子って、ようするに「人々が考えるいい女」をやっている女子のことです。
たとえば、ちょっとした流行りのカバンを持っているとか、女性ファッション誌が推奨しているブランドの洋服を、そのままの着こなしで着ているとか。
そういう、世間が「いい女のお手本」としている格好をしたり仕草をしたり、仕事をしている人を隙のない女子といいます。
隙のない女子はまた、それなりに見栄えのする仕事をしています。
メジャーな社名ではないけれど、流行りのIT業界で働いているとか。
間違っても「仕事って、困っている人になんらか手助けすることだから、見栄えが悪くてもいいし、社員が二人しかいない会社で働いても全然OK」なんて言いません。
隙のない女子はあくまでも、見た目も仕事も収入も「他人にいいイメージを抱いてもらえるかどうか」を基準に生きています。
そしてそのような女子のことこそを、男たちは「隙のない女」と評するのです。
男がそう評価する背景には、男の不器用さがあります。
男で、見栄えのする企業で、見栄えのする仕事をしている人はほんの少数です。
もちろん、女子だって「そう見える」だけであって、実態はダサい仕事をしていたりするのかもしれません。
がしかし、女子はファッションやお財布の中身を盛ろうと思えば盛れますよね?
その盛り具合が大きければ大きいほど、男は「隙のない女子だ」とみなすのです。男は盛れないから。
ようするに「隙のなさ=見栄えよく盛っている」ということなのです。
2. モテる女子の隙とはなにか?
だから隙のない女子はモテないのです。
盛るというのは、その人の人となりにペンキを塗って、もとの姿を見えなくしているということです。少なくとも男はそう見ています。
人となりがわからない人と付き合いたいと思わないですよね?
人となりがわからない人に対しては、そもそも興味を抱けないですよね?
この人、どんな人なのだろう? と思ったところで、ペンキを塗りまくって「その人そのもの」がもつ「感じ」が伝わってこないのだから、「じゃあこっちも心を開くのをやめよう」と思ってしまうのです。
これが、隙のない女子がモテない理由です。
モテようと思えば、それと反対のことをすればいいんですね。
つまり、自分のダサいところも、いいところも、すべてを正直に相手に伝えるといいのです。
少なくとも、「ウソ」の自分を相手に差し出してはいけないということ。
自分の気持ちに正直に暮らすということ。
もしも「モテる女子は隙がある」という言い方をするのなら、その隙とは、自分の気持ちに嘘をついていないという意味です。
3. アーティストのファンになる気持ちに似ている
隙のある女子はモテる、というときの隙を、自分の気持ちに嘘をつくことなく、素直に自分のことを相手に伝える力と定義すれば、隙のある女子のことを好きになる男子とは、あるアーティストのファンになるときの気持ちに似ているといえるでしょう。
誰でもいいです、誰かあなたが好きなアーティストがいるとしますね。その人のことを、どうやって好きになりましたか?
その人が、たとえばシンガー・ソングライターであれば、その人の歌を聴いたり、歌詞を読んだり、パフォーマンスを見たりする中で好きになったと思います。
でもきっとそれだけではないはずなんですよね。
たまたまつけたテレビのトーク番組にその人が出ていて、日常生活でこんなことがあった、あんなことがあったという、他愛のない話をするその人を見て、その人の人となりを好きになって、ファンになった(ますますファンになった・ファンという立場が揺るぎないものになった)ということじゃないでしょうか?
恋愛もそれとまったくおなじです。
男子は女子のおっぱいの容積を問題視している、男子はかわいい女子のことが好き――こんなふうに言われていますが、実は容積の問題やルックスなんて「あとの話」なんですよね。
まず最初に、その人の人となりを見て、なにかを感じているのです。できれば風通しのいい女子がいい、大抵の男子はそう考えています。
風通しの悪そうな――つまり、人からどう見られるかを気にしすぎるあまり、盛りまくっている隙のなさそうな女子のことを好きになる男子はあまりいません。
女子だって同じでしょう? いつも仏頂面で自分のことを「マジメそうに盛る」男のことが好きな女子って、ほぼいないでしょう?
それと同じなんです。
4. 隙をつくる方法
自分の気持ちに嘘をつくことなく、素直に自分のことを相手に伝える力を持とうと思えば、遊ぶことです。
遊ぶというのは、チャラい男とハダカでなにかをするということではありません。
遊びとは、自分がやりたいことに時を忘れて没頭することです。
なんでもいいのです。
本を読むでもいいし、フィットネスクラブで美尻トレーニングするでもいいんです。
自分が本当はこう思っている、本当はこういうことをしたいと思っていることを素直にやること、これを遊びといいます。
今の時代、「いい女のひな型」がネットや雑誌に溢れていますね。
「いい女」は、どこそこのブランドのバッグを持つべし、みたいな言い方が溢れていますね。
そういうキャッチコピーとセットでいい女の写真があって、そういうのを雑誌やネットやインスタなんかで毎日のように目にしていたら、それが「目指すべき高み」に思えてくると思います。
でも、実際には、そういう「いい女」を目指すと疲れると思います。
なんでもない小さなことを幸せとする暮らしではなく、高価なバッグを買うためにお金を稼がなくてはならない、でも稼ぐったって今の派遣の仕事ではいつまで経っても高級バッグを買えない……こんなふうに焦ってくると思います。
人からどう見られているのかを知って、より「かっこよく」より「合理的に」より「高い給料」を得る人が「いい」とされている時代だから、どうしても多くの人がそこを目指してしまうのだろうと思います。
でもそこを目指す日々の中で、あなたの心はきっと、別のことを考えています。
5. おわりに
簡単に言ってしまうと、隙のない女子って「いい女ってこうすべき・こう振る舞うべき」という「べき論」に生きている人です。
なので、隙のない女子を目指すのはとても簡単なことです。
毎日毎時間を「べき論」で埋めるといいだけですから。
携帯する水はフランス製の**にすべき、ヒールが5センチ以上ある靴を履くべき……そんなふうに自己規定してあげると、隙のない女子はすぐに完成します。
隙のある女子、つまり男ウケする女子を目指そうと思うのなら、自分の気持ちに嘘をつかない生き方をすることです。
自分にとって、なにが嘘でなにが誠かをまず感じる必要があります。知る、ではなくて、感じる、です。
そしたら、インスタなんかでよく目にする「隙のないいい女」は、私にとっては嘘っぽいなぁと、(大抵の人は)気づくでしょう。
自分の気持ちに嘘をつかない生き様とは、インスタ映えの対極にある、もっとささやかで、もっと優しくて、もっと声の小さなものだからです。