一時はユーザーが減って低迷していたスキーですが、近年はスキーの人気が復活してきています。なぜスキーの人気は低迷し、今人気が復活してきているのでしょうか?
今回は、1980年代に大ブームを巻き起こしたスキーが、これまでにどんな歴史を辿ってきたのかご紹介していきます。
スキーブームが起きたきっかけやスキー場の変化、さらに昔と今で大きく変わったスキーウェアについても触れていきましょう。
1. きっかけは『私をスキーに連れてって』
1972年札幌オリンピックを境にその名を知らしめたスキーは、1987年に公開された映画『私をスキーに連れてって』がブームの火付け役になったと言われています。
映画が公開した当時はちょうど日本がバブル期で好景気が到来していた時期でした。お金に余裕のある豪雪地帯では次々とスキー場が誕生し、金曜日の夜には超満員のツアーバスに揺られながらスキー場に向かうという若者は多かったです。
スキー場に到着するとゲレンデには見渡す限り人で溢れており、リフトの待ち時間が30分になることも!いざ滑ろうとしても他のスキーヤーが多く、ぶつからないように滑る時は配慮をしなければいけないほどでした。
当時のスキーは苦行とも呼ばれるほど大変なものでしたが、それでも週末には多くの若者がスキーをするためにゲレンデを訪れ、遊びや恋のきっかけを誕生させる聖地として人気を誇っていたのです。
2. 最盛期後に訪れた暖冬
スキー最盛期となった90年には大量生産によってスキー用品の低価格化が進み、安価でスキーグッズを購入できるようになったことや、週休2日制の一般化、そしてゲレンデへ行くための交通網が整備されたことから瞬く間にスキーブームは拡大していきました。
1993年には1860万人にまで利用者数を伸ばし、スキーはメジャーなスポーツとして大人だけではなく子どももスキーを楽しむようになっていったのです。
しかし、ピークはここまでとなってしまいました。1991年のバブル崩壊の影響が漂う93年から慢性的に続く暖冬で雪不足となり、営業するスキー場の数を減らしていきました。
2000年代前半に入るとピークの半数以下である800万人を割り、この10年でブームの終焉となってしまったのです。
そして、2000年代はスノーボードが流行したこともあり、多くのスキーヤーがゲレンデから姿を消すようになってしまいました。
しかもスキーとスノーボードを足した総人口においても、ゲレンデにやってくる人の減少は止まりませんでした。
3. 近年のスキー場が行うイベントで人口は復活傾向にある!
しばらくの間人口減少が続いてきたスキーですが、ここにきてまた人口が復活してきていると言われています。
地球温暖化による雪不足は未だ変わりませんが、現在のスキー場ではより多くの人に楽しんでもらえるように、様々な施設を用意したりイベントを開催しています。
子どもも楽しめるスポットを充実
1980年代には、あまり多くのゲレンデでは見ることができなかった子ども向けの遊びスポットが整えられています。
スキーだけではなく、雪遊びを通じて雪に触る楽しさを感じたり、ソリで親子と一緒になって思い出を作ったりと、かつての若い男女で賑わっていた姿とはまた違う一面を見せています。
破格の値段で客を集客
あちこちのスキー場では格安でスキーが楽しめるようにしている場所が増えてきています。
新潟県にあるガーラ湯沢では、東京駅から新幹線で75分とゲレンデの中でも比較的近場になっており、なおかつ改札を下りたらすぐにスキー場のロッジで準備をしてスキーができるという、スキーヤーにはたまらない場所になっています。
そんな便利なガーラ湯沢ですが、驚くことにチケットがかなり安く手に入ります。平日の新幹線東京発往復チケット、リフト券付きでなんと8,500円です。正規の価格であれば30,000円弱するほどなので、どれだけ安いかが分かるでしょう。
このように各地のスキー場では、格安でスキーを楽しめるように設定しており、中には無料送迎バスを出すなどして多くのユーザーを確保しようと工夫しています。
4. 一周回って素敵?昔も今もスキーウェアはおしゃれ!
スキーにはスキー場やスキーをする人だけではなく、スキーウェアにも様々な変化がありました。
1980年代後半から1990年代前半では、ほとんどのウェアはワンピース型でした。当時『私をスキーに連れてって』で、主役を演じた原田知世さんが着ていた白のスキーウェアは特に人気!サングラスをかけてナンパされるのを待っていた女性も多い時代でした。
その後1993年付近の全盛期では上下にウェアが別れたものが主流となり、プリント柄が入ったウェアが大流行します。
1995年にはより派手なプリント柄のウェアが人気となっていきました。
2000年代に入ってくるとスノーボードが盛んになってきたことから、ダボダボとしたルーズなものが流行ります。
ストリート系の雰囲気を感じさせ、より若者にも好かれるようなデザインを意識して作っていったのでしょう。
今現在も上下共に大きめサイズのウェアは人気ですが、近年では90年代風デザインが逆におしゃれということで人気を集めています。
色合いは、黒や白、グレー、ネイビーなどシックなものが多く、デザインでは左右非対称のようなザックリしたデザインや、大きめの柄で昔の雰囲気を感じさせるウェアが流行してきています。
5. おわりに
大ブームを巻き起こした1980年代から30年以上の時を経て、再び人気を取り戻してきたスキー。
そこには、多くのゲレンデスタッフの努力や、ウェアのデザイン性を高めてきたことが、人気を蘇らせている事実につながっています。
これらかも暖冬により利用者数の減少が見られるかもしれませんが、今後のスキーに期待してみるのも面白いでしょう。