「生涯独身率」は50歳時に未婚であることの割合を示すものですが、近頃ではこれに該当する独身男性が増えています。
一昔前は「男は結婚して家庭を持ってこそ一人前」と言われ、実際に20代後半~30代になると結婚を意識する男性が多かったものですが、なぜあえて独身を選ぶ人が増えているのでしょうか?
男性の生涯独身率や、それが高くなっている理由を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 男性の生涯独身率はどれぐらい?
「内閣府男女共同参画局」が行った調査によると、男性の生涯独身率は年々増え続け、昭和の時代には5%以下だったものが平成20年を過ぎる頃には20%をも超える数字になっています。
また、昭和60年頃までは女性の生涯独身率の方がわずかに高かったのですが、平成に入った頃から逆転し、今では男性の生涯独身率が女性の約2倍という結果に!
それはつまり、今の世の中が日本人男性にとって結婚に向かない時代であるということでしょう。それは一体なぜなのでしょうか?
<参考元>内閣府男女共同参画局
2. 男性が結婚しない理由
男性が結婚せず独身を通すのには、主に次のような理由があります。
家族を養っていくのがキツい
働く女性も増えてきたとはいえ、日本では男性が大黒柱として一家の生活を支えていくという風潮がまだ根強く残っています。
それでもまだ妻と共働きをしている間は良いのですが、女性は妊娠・出産・子育てで働きたくても働けなくなることがあるので、そうなると「自分一人の稼ぎで妻と子供を養わなくてはいけない」とプレッシャーが2倍に。
思うように収入が増えない上、税金もどんどん上がる今の日本では、家庭を持って家族を養っていくというのは非常にリスキーなことなのです。
近頃では年金の問題も色々と取沙汰されているので、男性が「自分のことだけでも精一杯なのに、家庭を持つなんてとてもじゃないけど考えられない」と尻込みするのは当然のことですね。
結婚に良いイメージがない
厚生労働省の「人口動態統計の年間推計」によると、日本人の離婚数は「平成29年→212,262件」「平成30年→207,000件」となっています。
数字だけ見ると離婚する夫婦の数は減っているのですが、それでも依然として高い数字であることに変わりはありません。
ということは、独身男性が周りにいる既婚男性や元既婚男性から「結婚をするとこんな苦労がある」と体験談を聞かされる機会も多いということ。
幸せな結婚をしたはずの友人や知人から、結婚のダークな部分についてまぎれもない本音を聞かされるのですから、「そんなに大変なら自分はもう一生独身でいよう」と思うようになるのも無理のない話です。
<参考元>平成30年(2018)人口動態統計の年間推計|厚生労働省
ずっと自由でいたい
男性の生涯独身率が低かった時代は「男も適齢期になれば家庭を持つのが当たり前」とされていましたが、現代の日本では多種多様な生き方が徐々に認められつつあります。
また、昔に比べて女性と出会える方法が増えたので遊びやすくなったし、男一人で趣味として楽しめるものもたくさんあるので、結婚してわざわざ家庭に縛られる必要はないと考える男性が増えたのです。
確かに、家庭を持つと自分で稼いだお金もほとんど自由にならないし、他に気になる女性ができても我慢するしかなくなってしまいますものね。
中には「結婚したからといって俺は変わらない」とばかりに趣味や女性との付き合いをやめない人もいますが、そんな風に開き直る人はごく一握り。
多くの男性は、自分の楽しみと結婚から得られるメリットを天秤にかけた結果、己の自由を選択しているのです。
重くのしかかる介護問題
今は一人っ子の家庭が増えているので、親に介護が必要となった時、自分一人でなんとかしなくてはならない男性もいます。
たまたま親にケア付きのホームに入れるような資産があったり、親戚などの手を借りられたりする場合は良いのですが、仕事をしながら親の面倒もみなくてはならないとなると大変。
なので、恋人がいても「付き合うのはいいけど、結婚してあなたの親の面倒をみるのはちょっと……」と言われてしまうケースも多く、介護問題がネックとなってなかなか良い相手がみつからないのです。結婚すると、介護はどうしても女性の仕事となりがちですからね。
3. 終わりに
世間では少子化などの問題で男性の生涯独身率が高くなっていることを嘆く声もありますが、当の本人達にもこうした様々な事情があるので、解決はなかなか難しいところです。
せめて子どもの教育費がもっと減ったり、年金がきちんと貰えたりするような社会になれば良いのですが、現状では実現の可能性は低いですよね。男性の生涯独身率を下げたいなら、国全体がもっと真剣に考えて解決策を考える必要がありそうです。