あの人と会ったあとは、なぜかいつもぐったりしている……。そんな相手が、あなたの周りにもいませんか?組織心理学者のアダム・グラントは、人との関わり方を「ギバー(与える人)」「テイカー(受け取る人)」「マッチャー(損得のバランスを取る人)」の3タイプに分けて説明しています。今回は、相手から奪うばかりの「テイカー気質な人」に見られる特徴と、消耗しないための付き合い方を紹介します。
テイカー気質な人の特徴として、まず挙げられるのが「お願い」の偏りです。資料のチェックやシフトの交代など、自分の頼みごとは気軽に持ちかけてくるのに、いざこちらが頼むと「ごめん、今ちょっと忙しくて」とかわされてしまうのです。
本人に悪気がない場合も多く、「頼れる人がいるなら頼るのが当然」という感覚で動いているのだと思います。ただ、その積み重ねが相手の時間と気力を奪っていることには、なかなか気づきません。
テイカー気質な人と話していると、気づけば相手の話ばかり聞いている、ということがよくあります。こちらが「最近、仕事でちょっと悩んでて」と切り出しても、「わかる、私なんてさ」と、話題が相手のほうへ移っていくのです。
話を聞いてもらうことで、自分の気持ちを満たしているのかもしれません。聞き役が続くと、会話のあとに「自分の話は何もできなかった」というむなしさが残ります。
テイカー気質な人によく見られるのが、成果を自分のものとして語る傾向です。チームで進めた企画がうまくいくと、上司の前で「あれ、私が最初に提案したんですけど」とさりげなくアピールします。
自分の評価を上げることへの関心が強いため、周りの貢献が見えにくくなっているのです。
テイカー気質な人には、相手によって態度を大きく変える一面もあります。上司や取引先の前では感じよく振る舞う一方で、飲食店の店員さんには「早くして」と冷たい口調で話すことも珍しくありません。
心理学的には、相手が自分にとって「得になるかどうか」で接し方を決めている状態だと考えられます。こうした場面を一度でも見かけたら、その人との距離感を見直すサインです。
テイカー気質な人の特徴として、連絡のタイミングにも偏りがあります。実は私にも、何年も音沙汰がなかったのに、突然「久しぶり!ちょっと相談があって」とメッセージをくれた知人がいました。内容は、転職のための推薦状を書いてほしいというお願い。手伝ったあとは、また連絡が途絶えました。
用事があるときだけ近づいてくる相手には、「都合のいい人」として見られている可能性があると思います。
テイカー気質な人からのお願いには、その場で「いいよ」と答えないことが大切です。「予定を確認して、明日返事するね」とワンクッション置くだけで、引き受けるかどうかを冷静に考える時間がつくれます。
断るときも、「今回は難しいな」と短く伝えれば十分。理由を細かく説明しすぎると、「それならこの日は?」と別の提案をされやすくなります。
人を助けること自体は、とても素敵なことです。ただ、テイカー気質な人に対しては、「資料のチェックは月1回まで」「相談は30分だけ」など、自分が無理なくできる範囲をあらかじめ決めておきましょう。
グラントの研究でも、成功するギバーは誰にでも与えるのではなく、相手と自分の余力を見ながら与え方を選んでいるとされています。範囲を決めるのは冷たいことではなく、自分を守るための工夫です。
会うたびに消耗する相手とは、無理に関係を断たなくても、距離を少しずつ広げていくことができます。ランチの誘いは3回に1回にする、電話ではなくメッセージで返す、会うときは終わりの時間を最初に伝えておく。
小さな調整を重ねるうちに、相手との関わり方は自然と変わっていきます。空いた時間とエネルギーは、あなたを大切にしてくれる人のために使ってください。
テイカー気質な人と付き合っていると、「断る自分は冷たいのでは」と悩んでしまうこともあるでしょう。けれども、すべての人に同じように与え続けることは、誰にとっても難しいものです。
大切なのは、自分の時間や気持ちを差し出す相手を、自分で選んでいいと知ることだと思います。まずは「今日はやめておこう」と言える日を、ひとつつくってみてください。
Written by Sara