厚生労働省の「人口統計資料集(2022)」によると、2020年の生涯未婚率(50歳時点で結婚歴のない人の割合)は、男性12.57%、女性5.82%となっています。1960年代までは男女共に2パーセント前後で推移していたことから、日本では未婚の人が増えていることがわかりますね。
一生独身でいることは人生における一つの選択肢になりますが、メリット・デメリットを知って慎重に選択することが大切。この記事では、一生独身でいるメリット・デメリットや独身を選んだ人の意見をご紹介します!
こども家庭庁の調査結果では、50歳時の未婚割合において1980年に調査した際には男性2.60%、女性4.45%であるという結果が出ています。
それから40年経過した2020年には男性28.25%、女性17.81%と大幅な上昇と共にこの傾向の継続によって男性は30%近く、女性も20%近くなることが予想されています。
このように非婚化や晩婚化が進んだ主な要因として考えられるのが「経済状況」「価値観の変化」「ワークライフバランス」です。
経済状況に関してですが、結婚意思のある未婚者に「一年以内に結婚するとしたら何が障害になるか」と質問したところ、男女ともに「結婚資金」であるという回答がトップとなりました。
内訳は男性43.5%、女性41.5%で、これまでの調査の中で最も高い割合となっています。
続いて、価値観の変化についてです。
NHKが1973年から行っている調査では、結婚を当たり前に思う傾向が薄れていることがわかっています。
これまでは結婚することに意味があると考えていた人が1993年では45%だったものの、2018年には27%に減少しています。
婚活なども様々な方法で取り組まれ、新しいサービスなどで手軽な印象になってきていますが、この結果からは結婚を人生の一部と考える価値そのものが薄れていることがわかりました。
ワークライフバランスは、柔軟に働くことができる社会作りに欠かせないものです。
世界と日本の家庭について比較した研究結果を基にみていきましょう。
日本は調査対象となった世界各国と比較した場合、比較的長い時間仕事しているだけでなく、通勤時間も待機時間として長いことがわかっています。
睡眠時間以外の全てを会社のために削っている傾向で、個人レベルのゆとりの無さも浮き彫りになっています。
男性の帰宅時間の遅さもアジアの中でトップクラスとなっていて、これらの結果から夫婦満足度維持には、月収10万円程度減少し1日平均16分、休日54分の性格時間が増えることが試算されました。
働き方を見直すことで月収の大幅減が必要となる社会では、ワークライフバランスを重視した生活が簡単ではないと判断できるでしょう。
参考文献:独立行政法人経済産業研究所「ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画、少子化問題」
・経済的要因による影響
結婚に必要なのは安定した経済基盤です。
経済基盤の中心になるのは住居費、生活費、教育費の3点となります。
厚生労働省が調査した「国民生活基礎調査」では、生活意識の状況において「苦しい」と感じている世帯数が59.6%となっていることが判明しています。
2018年には57.7%だったのが、2023年には59.6%となり、その内訳としては高齢者世帯が59.0%、児童のいる世帯が65.0%という結果です。
これらの結果から、わざわざ結婚して生活が困窮するなら結婚しなくても良いと考える人が増えていくと予想できます。
参考文献:厚生労働省「2023(令和5)年国民生活基礎調査の概況」
多様な生き方が重視されつつある現代では、価値観やライフスタイルにおいての変化も大きくなっています。
これまで父親は仕事をして帰宅し家事に関してはノータッチ、母親は子ども中心の生活や子育てなど家のことを中心とする生き方が主流でした。
しかし、現代はそもそも結婚することに重きを置いていない考えも増えてきたため、仕事重視でも自己実現でも、推し活に力を入れるなど趣味を充実させる生き方もそれぞれに価値があると考えています。
これらの価値観や考え方は誰からも干渉されるべきでないため、自分のための価値を見出すための価値観やライフスタイルに移行しているのが現状でしょう。
一生独身を望む方もいれば、一生独身の覚悟はしていても不安を感じている方もいるでしょう。結婚する、しないは人生にとって大きな選択の1つ。ここでは、若者が独身にメリットを感じる理由を紹介します。
一生独身であれば、夫や子どもの世話もなく、結婚相手の家族との関わりもありません。誰かに制限されることもなく、自由に趣味や仕事に自分の時間が使えますね。ストレスが少ない自由な環境を大きなメリットとして考えています。
家族がいれば、食費や学費、車や家など大きな費用が必要になってきます。その点、独身であれば自分にかかる費用のみなので使い道は自由。パートナーがいなければ、デート代や宿泊費などもかからず、支出は限られたものだけになり金銭的に余裕を持てるでしょう。
結婚をしている場合、夫や妻以外の相手と関係を持ってしまうと不貞行為とみなされます。
しかし、独身であれば何歳であっても恋愛は可能です。家庭におさまることなく、いつまでも若々しい気持ちを保て、見た目や行動も男性・女性らしくいられるのは、独身で恋愛を楽しめているからできる技です。
一生独身には様々なメリットがありますが、当然ながらデメリットもあります。人生の選択に後悔しないためにも、一生独身でいることのデメリットについても確認しておきましょう。
健康なうちは気になりませんが、年を重ねるにつれ、自分に何かあった場合を不安視する方も多いです。病気の時に頼る人が近くにいない、金銭が必要でも経済的に支えてくれる人がいないなど、1人だからこその不安が出てくるでしょう。
仕事で疲れている時や休日に幸せそうな家族を見た時など、人によっては孤独を感じる場合があるかもしれません。若い頃は子どもに興味がなく、子育ては金銭的にも精神的にも負担が大きいと、独身を選択する方もいるでしょう。
しかし、年を重ねるにつれ気が変わることもあります。男性とは違い、女性の出産にはリミットがあるので、漠然と子どもは興味ないと考えているのであれば、なぜ子どもを生まないのかよく考えた上で独身を選択しましょう。
晩婚化が進み、男女格差も見直されたことにより、以前と比べて一生独身でも自分らしく楽しく生活できる環境が整いつつあります。そこでここでは実際に一生独身を選択した方達の意見を紹介していきたいと思います。
“1人の男性に絞るなんて考えられない。ずっと女性として魅力的でありたいし、チヤホヤされるのが好きなのでその時々で好きな人と一緒に時間を過ごせるのは最高です。
年を取ってから好きになる相手は、若い頃とは違いお互いに成熟していて大人の付き合いができます。結婚していたら今のパートナーに巡り会えていないので、独身を貫いて良かった!”
(42歳女性/広告)
独身だからこそ、見た目や行動に気を遣い、自由に大人の恋愛を楽しんでいる様子です。たくさん経験を積んだ後に、誰かに制限されることなく好きな人と過ごせるのは良いですね!
“誰かのために何かをする、誰かと一緒に長時間同じ空間にいるのが苦手なので、一生独身万歳です! 自分の稼ぎを誰かに使われたくない。
人との関わりも大切にしていますが、1人でいる時間も大切なので、誰かに干渉されず自分の好きなように過ごせる生活に満足しています。もし、結婚するとしても週末婚とかでないと難しい……”
(38歳男性/SE)
自由な生活を送りたい、今の生活に満足している方はあえて結婚を選択しないのかもしれません。結婚する=「幸せ」ではないので自分が無理しないスタイルを選択するのも良いでしょう。
“私の趣味は海外旅行と写真です。家族ができたら子どもを置いて海外には行けないし、旅行やカメラ代など金額が大きくて余程理解のある人でないと文句を言ってきそうじゃないですか。
自分の稼ぎで好きなことに没頭していたいので、一生独身でも問題ないし、今の生活に満足しています。家庭に入って愚痴ばかりの女にはなりたくなくて……。自分の人生だから自分らしく生きていきたい!”
(39歳女性/フリーランス)
昔と違い、結婚が幸せの象徴ではなくなってきています。没頭する趣味があって自分のために自分の時間を使うのは充実した人生を送れるでしょう。
そこで、独身を選択した20代~30代の男女により詳しい内容をインタビューしてみました。
A「私は趣味への時間を充実できたことが嬉しかったです。結婚していればいずれ子どもを産むことになるでしょう。そのことで新たな喜びも増えますが、制約も増えます。もっと自分の人生を大切に考えたかったのでこの選択に不満はありません」
B「僕も同じかもしれません。結婚して子供がいてそれでも趣味に費やす男性もいますが、家庭円満や子どもの成長を感じるにはやはり我慢が必要ですから」
C「そうですね。将来もしかしたらこの選択を間違いに感じるかもしれませんが、それはそれで仕方ないかと。今、この選択が間違っていないと感じていますからね」
D「私も同じです。結婚が全てとは感じていません。パートナーとして老後楽しめる相手ができたらそれはまた違った楽しみが増えそうです」
【独身生活を楽しむためのアドバイス】
・人生を楽しむこと
・選択したことに責任を持つこと
・その年代に合った楽しみ方を見つけること
・老後を無駄に不安視しないこと
ここではよくある質問をまとめてみました。
参考にしてください。
A:2026年から通称「独身税」(子ども・子育て支援金制度)がスタート予定です。
これは日本が直面している少子化問題に対しての取り組みで、独身者や子どもがいない家庭から一定の保険料を徴収して子育て支援や人口減少緩和を目的とするものです。
税金額は年収に応じて変わります。
A:一人暮らしの高齢者に対する支援制度は、自治体によって内容が異なります。
行政が主体となるもの、NRO法人が主体のものなどがあります。
例えば安否確認サービス、支援サービス、介護サービスもこれらに含まれます。
A:可能です。
独身の場合は普通養子縁組が利用でき、実親との関係を維持したまま行われます。
普通養子縁組を利用する場合は、養親が20歳以上または結婚歴があること、養子が養親よりも年下であることなどの条件を満たす必要があります。
独身の場合、老後の資金に不安を抱えている方もいるでしょう。
一般的に老後資金で必要な金額は132,295円となっています。
平均支出であれば厚生年金の範囲内に収まるように感じますが、情勢に応じて大きく変わるのが食費です。
簡単に削ることができないのと、何かのための資金として資産形成しておくと安心でしょう。
主な資産形成の方法として年金、保険、投資があります。
年金は会社員であれば厚生年金への加入がされますが、それでも足りない可能性が考えられます。
そのため、個人で年金積立や個人年金保険などをするのが良いでしょう。
また老後の資金を準備するなら、新NISAなどの少額投資非課税制度もおすすめです。
早いうちに何かしらの方法を取り入れておくことで、将来の不安を解消できるでしょう。
Written by 早紀