初めての出産に初めての育児は、誰しも大なり小なり不安を抱えながらのぞむものです。不安の中で失敗したり試行錯誤したりしながら、子どもと一緒に親も成長していきたいですよね。
しかし、中には育児うつになってしまい、メンタルを病んでしまうケースも。実は「育児うつ」は、女性だけがなるものではありません。男性が育児うつになってしまうケースもあるのです。
今回は、育児うつがどういうものなのかという解説と併せ、育児うつになりやすい男性の特徴をご紹介します。
「もしかして自分は育児うつになりかかっているのかも……?」というご不安を抱えている新米パパさんは、本記事を参考に対策してくださいね。
育児うつは、育児に伴うストレスや疲労などの蓄積により、抑うつ的になったり情緒不安定になったりなど、心が不健康な状態になってしまった状態のことです。
昔は「育児ノイローゼ」といわれるのが一般的でした。
また、これまで育児ノイローゼを含む育児うつは、育児うつになった方ご本人(主にママ)の性格や気質といったパーソナリティに原因があると考えられがちでした。
しかし、近年の研究ではママ本人のパーソナリティ以上に、夫婦関係や世帯の経済状況、トラブルの有無など、環境や境遇によるストレスが大きく関係していると考えられています。
また、一昔前は「男性が働き女性が家を守る」的なご家庭が一般的だったのに対し、近年は共働き世帯が増え、社会で活躍する女性も少なくありません。
こうした家庭像や社会事情の変化などにより、昔は育児を一身に負っていた女性だけが育児うつに陥りがちだったものが、近年は男性が育児うつになるケースも増加傾向にあるようです。
育児に積極的な男性が増えるのは良い兆候ですが、一方で、育児に伴うママやパパのストレスや負担の解消に、社会全体でどう取り組んでいくかについて議論される場はまだまだ多くありません。
次に、育児うつになりやすい男性の5つの特徴をご紹介します。
育児うつになる男性には、理想の父親像と現実の自分とのギャップに苦しむ方が多いようです。
「父親はこうあるべき」という固定観念があるのかもしれません。
「理想の父親でありたい」という意思は立派ですが、それは「理想の自分にしがみつきたい自分自身のための欲求」であり、実は子どもファーストとは対極にある危険な考え方である可能性も。
ちなみに筆者は、二人の息子の前で完璧な父親であろうと思ったことがただの一度もありません。
親としても男としても人間としてもまだまだ二流ですが、それでも子どもや妻を第一に考えていますし、むしろ子どもたちからは学ぶことが多いものです。
そんな彼らへの感謝の気持ちがあればこそ、まずは「二流な自分を自分自身が許し、ありのままの姿で子どもたちと向き合いたい」と思っています。
親としての責任感から、「父親業を完璧に遂行しなければならない」というミッションを自分に課してしまった結果、その重圧に心が蝕まれて育児うつに陥ってしまうケースもあるようです。
親業に限ったことではありませんが、何事も完璧にこなそうとすると、その分消耗するものです。
緩急をつけて上手にペース配分ができればいいのですが、ストイックな性格だったり完璧主義だったり、あるいは生真面目だったりするせいで難しいケースもあるでしょう。
筆者は、人間誰しも完璧である必要などないと思っていますし、そもそも「完璧などあり得ない」と思っています。
育児では必ず失敗します。
それも一度や二度ではありません。
子どもの成長につれて新たな課題も増えていき、常に失敗と成功と試行錯誤を繰り返しながら、新しいやり方にアップデートしていく──という作業の繰り返しです。
最初から完璧にこなそうとするのでなく、最終的に限りなく完璧に近づくために、今は検証と実験を繰り返してデータを集積するステージだと考えてみてはいかがでしょうか。
育児では、プライベートを確保するのが難しいものです。特に子どもがまだ2~3歳など小さいうちは、何をするにしてもどこに行くにしても足元にしがみついてきたり、トイレにまでくっついてきたり。
いくら愛おしい我が子とはいえ、ただでさえ育児という重労働に心身が消耗している状態なのに、ほんの一瞬のプライベートすら許してもらえないなんて……。
その上、共働きで仕事のタスクもこなさなければならない身だと、並みの体力と精神力ではとてもではありませんが正気でいられないでしょう。
このように、公私ともにタスクに追われ続けていると、休息でリカバリーを促すこともできず、心と体はどんどん弱っていきます。
人間、お腹が空いている時に弱気になったりイライラしたりしやすいように、疲れている時も弱気になったりイライラしたりしやすくなるものです。
多忙な育児事情の中で休息をとるのは簡単ではないかもしれませんが、子どものためにもまずはご自身の体と心をしっかりと休ませてあげましょう。
劣悪な環境が原因で育児うつになってしまうこともありますが、一方で「そもそもうつ状態になりやすい体質である」というケースもあるでしょう。
たとえば近年の研究では、うつ病を引き起こしやすい遺伝子の存在が明らかになってきました。つまり、遺伝により育児うつを発症するケースもあるかもしれない──ということです(うつの原因が必ずしも遺伝によるというわけではありません)。
また、過去に精神的な病を患ったことがある方や、現在も何かしらの精神疾患をお持ちの方は、育児うつに陥りやすい状態になっている可能性もあります。
疲れてしまっている心を急に元気にしたり、休息もなく復活したりすることは困難ですから、育児のタスクと自分自身のコンディションに折り合いをつけながら、上手にバランスをとっていくのがよさそうです。
参考資料:東京慈恵会医科大学「うつ病になりやすい体質が遺伝する仕組みを世界で初めて解明―メンデル遺伝を覆す新たな遺伝メカニズムの発見―」
よく聞くのが、「育児がうまくいかず、自信がなくなっちゃった……」というパターンです。
ラジコンのように親の思い通りに動いてくれる子どもなど皆無でしょうから、育児はそもそも「うまくいかないこと」が前提です。
しかし、それでも育児の失敗で必要以上に自分自身を責めてしまったり、自信喪失してしまったりする人もいます。
そこまで自分を責めたり、自分に失望したりするのは、もしかすると「育児は親の仕事」だと思っているのが原因かもしれません。
実は、筆者は育児を仕事のようにとらえていません。そもそも「育児をしている」という自覚すらほとんどないくらいです。
むしろ「自分自身も子どもたちと一緒に育っている」という感覚。
そのせいか、育児でうまくいかないことがあっても「なるほど、失敗を避けるにはこういう工夫が必要だな。次回からはこうしよう」と思うだけで、自分を責めたり自分に失望したりすることがありません。
そもそも「失敗」ととらえておらず、むしろ「成功のためのヒント」という受け止め方をしている気がします。
「育児は親の責任」であるのは確かですが、あまり気負わず、むしろ肩の力を抜いた方が意外とうまくいきやすいのかもしれません。
「これから先、育児をうまくやっていく自信がない……」
「自分は実は育児うつなのかも……」
こうした不安があると、心が余計に追い詰められ消耗してしまいますよね。
でも、世の中には完璧な親もいなければ完璧な人間もいません。
ですから「自分は親としてこうあるべきだ」とか「親である以上はこうでなければならない」「子どもから尊敬される自分でいなければならない」といった思い込みを捨てて、まずは「失敗してもダメでもいい。
とにかくありのままの自分を受け入れよう」というところから始めてみてはいかがでしょうか。
子どもと一緒に成長していきましょう!
Written by はるお