事実婚という言葉を聞いたことはありませんか? 事実婚とは、お互いの意思によって共に生活を営む場合に該当するもので、有名人でも事実婚を選択する人が増えています。
しかし、事実婚は法律婚とは大きな違いがいくつもあり、内容を知っておかないと後でデメリットを抱えてしまうかもしれません。ここでは、事実婚がどのようなものなのか、またメリットについても紹介していきます。
では、事実婚とはどのようなものなのでしょうか? 事実婚の定義は、男女が夫婦と同じような共同生活を営んでいるものの、婚姻届を出していない状態のことです。
お互いに結婚の意思を持ちながら、法的な手続きをせずに結婚生活を送っている場合に該当します。
それなら、ただの同棲でも事実婚に該当するのでは? と思うかもしれません。本人同士、夫婦としての認識を持っているか、社会的に夫婦として扱われているか、貞操義務を持っているか、互いに助け合いながら生活しているか、費用を分担している場合は事実婚として扱われます。
内縁の夫、内縁の妻などの言い方をすることもありますが、これも事実婚と同じ状態です。おおよそ3年間程度で事実婚とみなされることになりますが、同じ戸籍でなくても権利や義務が生じる部分はあります。
しかし、事実婚は法律婚ではないので、夫婦が得られる法的な制度が利用できません。また、どちらかの戸籍に入ることも苗字が変わることもないでしょう。今はまだ法律婚の方が多い傾向ですが、最近ではあえて事実婚を選択するカップルも増えています。
まだまだ知られていない部分の多い事実婚ですが、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
事実婚では、法的な手続きを行わないので姓を変える必要がありません。法律婚は、民法によってどちらかの姓にしなければなりません。
現在、まだ夫婦別姓は認められていないため、婚姻によって変えたくないと思っても変えなければならないのです。しかし、事実婚ではこのような事態は起こらず、お互いに今までの姓のままでいられます。
新たな戸籍を作ることなく、今までの戸籍のままでいられるのがメリットです。
結婚して姓が変更されてしまうと、多くの手続きが必要になってきます。例えば運転免許証、パスポート、銀行口座、キャッシュカード、マイナンバーカード、クレジットカード、保険契約者、携帯電話、資格保有者などの名義の変更手続きを行わなければなりません。
このような多くの手続きは簡単にできないものもあり、時間が必要なケースも少なくありません。結婚した喜びで忙しさも感じないと思えばいいのですが、これだけの手続きを早めに済ませたいと思うなら面倒に感じやすいでしょう。
法律婚の場合、離婚する際には届け出が必要であり、お互いに戸籍には離婚したことが記載されてしまいます。そのため、離婚したことも記録として残ってしまうということです。
一方事実婚であれば、法的な手続きは一切行っていないので、関係を解消しても婚姻歴に記載されることがありません。
法律婚では、昔から男性が主導権を握りがちでした。その名残なのか、姓に関しても男性側を選ぶ傾向が強く、結婚したことで助成が男性の家に入る意識が根付いています。
しかし、事実婚なら姓を変えることも、男性側の家に入ることもなく、お互いに対等な関係を築きやすいです。さらに、法律や制度に捉われることのない、お互いが助け合える関係になりやすいです。
結婚となれば、相手の家族や親族との関係も関わってくるだけでなく、婚姻関係になることで助け合う機会も増えるでしょう。
しかし、事実婚であればパートナーのことは好きでも、その家族とは一定の距離を保ちながら生活を送ることができます。相手の家族と合わないという場合には、大きなメリットが得られます。
事実婚には、お互いに背負うものが少なくなり、自由な関係性を築きやすい反面、出来事によっては気を付けたいポイントがいくつかあります。
法律的な夫婦であれば、子どもが生まれた時に戸籍の問題を気にすることはありません。
しかし、事実婚の場合は自動的に母親の戸籍に入ることになり、何も手続きを行わなければ、父子関係において認知する必要があります。
さらに、夫婦共同で子どもの親権を持つこともできません。そのため、子どもを持つのかどうかでお互いの関係を見直す必要があるでしょう。
事実婚は、お互いの関係を証明するのが難しいです。そのため、公正証書として事実婚契約書を作成しておくことで、関係を解消した時や事実婚の関係で問題になることが少ないでしょう。
また、より円満な生活を送るためにも公正証書を作っておくと信用性も高まります。
事実婚では法律的にメリットを感じることがありますが、法律婚との違いによってトラブルを引き起こす可能性もあります。お互いが良好な関係を継続するためにも、事実婚であっても最低限のルールを決めておくのがおすすめ。
事実婚であったことを証明するためには、公正証書を作ることも検討してみましょう。
Written by 早紀