よく耳にする言葉のひとつに“女の友情は儚い”というものがあります。それが事実かどうかはさておき、女の友情において、結婚がひとつのターニングポイントになるのは紛れもない事実と言えるでしょう。
今回は、結婚を機に壊れてしまう女の友情について、4つの要因をもとに解説していきます。
どちらかの結婚をきっかけに関係がギクシャクしてしまった――。
そんなとき、1番大きな原因と考えられるのはお互いのライフスタイルのズレです。男女平等が叫ばれる現代とはいえ、結婚を機に女性が迎える変化は、男性に比べまだまだ圧倒的に大きいもの。
苗字や住所といった分かりやすいものはもちろん、起床時間や帰宅時間、休日の過ごし方など、夫である男性の生活サイクルを崩さないよう、自然と整えられていく家庭が多数派なのではないでしょうか。
そんな中で、独身時代とまったく同じように友だちと付き合うのは至難の業。前々から計画していた、夫も了解済みの女子会だったとしても、あまり帰宅が遅くなるのはなんとなく気が引けるし、休日もまずは夫との予定が優先で、友だちとの予定は後回し。
これは決して友情を軽視しているというわけではなく、ただ、なにより優先すべき家族ができたというだけのこと。どちらが悪いというものではないだけに、乗り越えることの難しい問題と言えるでしょう。
どちらかの結婚を機に、やたら相手の悪い点が目に付くようになったというパターン。これは、正確には“結婚を機に”起きた問題ではありません。
実はもともと相性の良い相手ではなかったけれど、なんらかのメリットのために欠点に目をつぶってなんとか付き合ってきた。そんな欺瞞(ぎまん)が、どちらかの結婚というきっかけで表面化しただけのことなのです。
――ひとりでいるのは寂しいからとりあえず誰かと一緒にいたい。
――友だちとして自慢できるような外見や地位を相手がもっている。
――引き立て役や話の聞き役として使い勝手がいい相手。
そんな付き合い方をしていた相手であれば、遅かれ早かれいずれ友情は破綻していたはず。どちらかの結婚は、たまたまのタイミングで訪れたきっかけにすぎません。
結婚した側に、結婚していない側がメラメラと嫉妬の炎を燃やす――。
“結婚を機に壊れる女の友情”という言葉からもっともイメージされやすいのはこのパターンなのではないでしょうか。
晴れてゴールインを迎える女友だちに対し、笑顔で祝福の言葉を贈るその心の奥底で嫉妬の炎を燃やす独身女性――。
確かにこの「独身→既婚」への嫉妬も多いものではありますが、実は「既婚→既婚」のパターンも少なくありません。
自分のほうが先に結婚したものの、実際の結婚生活は理想とは程遠いものだった……。そんな女性が、女友だちの結婚報告を受けて感じる嫉妬心というのもまた峻烈(しゅんれつ)なものなのです。
“自分より幸せな相手”に対してわき湧きあがる抑えきれない嫉妬。コントロール不可能な分、いかに相手に悟られずに済ませられるかがテーマと言えるでしょう。
嫉妬心と同じく、本人の意志や性格に関係なく自然と湧きあがる感情が、この“優越感”です。
――結婚を決めた自分に対し、いまだ独身の女友だちに感じる優越感。
――すでに結婚しているけれど夫婦仲の良くない友だちや、離婚経験者の友だちに感じる優越感。
自分より不幸な相手を見下す感情のほか、同情心を装った優越感といったものも存在します。なにより問題なのは、そうした優越感は総じて相手に見破られてしまうものだということ。
どれほど巧妙に隠し通したつもりでも、そう思っているのはあくまでも本人だけ。会話や態度、目線やちょっとしたふるまいの中で繰り出されるマウンティングの数々は、無意識ながらそのひとつひとつが強烈なもの。
優越感の対象である相手自身はもちろん、外野にもバレバレになってしまうことがほとんどです。友情が壊れてしまうのも無理はないと言えるでしょう。
いかがでしたか? ライフスタイルの変化、改めて気付く相手の欠点、嫉妬、優越感……。
結婚を機に壊れてしまう女の友情には、実にさまざまな要因があるものです。裏を返せば、どちらかの結婚というライフイベントを乗り越えて育んだ友情は、なにがあっても壊れない強固なものとなる可能性を秘めています。
どちらかが結婚を迎えたとき……それこそが、女の友情にとって最大の試練なのかもしれません。
Written by 安藤うめ