漠然としすぎていて、答えに困る恋愛相談って割とよくあります。例えば「向上心がない私は、いい恋愛ができないのでしょうか」という相談。
このお方は向上心をどう定義しているのか? というところからこっちが考えてあげないと、なかなか答えが出てこない……めんどくさいな。
とか文句を言わず、今回はみなさんと一緒に恋愛における向上心について、一緒に考えてみたいと思います。
個人的には、ぼ~っとできる恋愛が一番好きです。
例えば愛する彼女と一緒に夕飯を食べ、食べ終えたら一緒に食卓を片付け、ポテトチップスでもつまみながら、二人でテレビをぼ~っと見て、「もう10時か……お風呂入る?」と、どちらからともなく言う……こんなぼ~っとした恋愛っていいなあと思います。
が、ある種の人たちは「もっと彼とラブラブになるには、私はどう成長すればいいのでしょうか?」と聞いてきます。頭が下がる思いがします。
ぼ~っとしつつ、「これ、美味しいね」とか、「このテレビのコメンテーター、アホちゃうか?」と言い合っていればいいものを、恋愛に向上心を持ち込むなんて!
恋愛に向上心を持ち込む人の特徴って、「こうしなければいけない」とか「こうあるべき」という考えが、人一倍強いのです。カップルはこうあるべきとか、彼女として私はこう振る舞うべき、という考え方ね。
なぜこういう考え方が生まれるのか? これも一定の答えがあり、自分の言動に自分で自信を持てていないからです。つまり、自分の生き方に自信がないから。
もっと今っぽい言葉で言うなら「自分探しの途中だから」とか、「自分に自信がないから」ということです。
こういう人が恋愛に向上心を持ち込もうと、必死になっているのを見て、いつも切ない気持ちになります。「そのまま」でも、十分愛されるくらい、多くの女子はそれなりに「いいところ」をいくつも持っているのを、僕は知っているから。
恋愛に向上心を持ち込むとき、大切なことは、向上心とはなにか? を、ちゃんと自分なりに考えて、知っておくということです。
個人的には、恋愛における向上心って、人間性を磨くことだと思っています。
人間性を磨くという言い方は今の時代、自己啓発系のセミナーや本の中でしか言われない言葉かもしれません。
でもしかし、17世紀から(正確には紀元前から)、「いかにして人間性を磨くか」ということを追求している学問があり、それは今現在哲学と呼ばれる学問になっています。
理性の働かせ方であったり、「いかにして相手のありのままを見るか(受け止めるか)」ということを丁寧に説いてくれている学問、これが今、多くの人が難しいと思って敬遠している学問の本質です。
丁寧に説いてくれているので、ちゃんとハウツーも哲学書に載っています。
例えば自分が今考えていることを客観視することで、人間性が磨かれるそうです。つまり「わたしは今、人間性を磨きたい『と思っている』」と意識すること。
自己を客観視したら必ず『と思っている』がくっついてきますよね。「私は今、甘いものが食べたい『と思っている』」とか、「私は今、彼とエッチしたい『と思っている』」など。
この、「と思う」を常にやること。つまり常に自己を客観視できる人間であるよう「意識すること」。これが人が生きる上ですごく重要だと、デカルトさんやアルノーさんという哲学者たちは説きます。
恋愛って、人と人とがやることでしょ? ということは、恋愛っていわば人生の縮図です。だからデカルトさんやアルノーさんたちが言うところの向上心は、そっくりそのまま恋愛に当てはまるのです。
Written by ひとみしょう