いじめられたい!Mの人が従いたくなる理由とは

Sの人がMの人をいじめる、という。「いじめる」と「いじめられる」という行為に快感を覚えるなんて、スタンダードな性欲しか持たない人からすれば理解しがたいはずです。

言葉攻めにせよ、肉体的な苦痛にせよ、普通の感覚で言えば嫌なことでしかありません。「醜いメスブタ!」と罵られて快楽に酔いしれるとは、やっぱり特別な感性が備わっているからなんだと思います。

今回は、Mの人がなぜいじめられたいと思うのかを追求してみます。

絶対的存在に従いたい

マゾヒストというと、言葉やムチなどで一方的にいじめられることを好む人と思われていますが、それ以上に重要視されているのは、「ご主人様に従う」ということです。

真性のMはラブラドールレトリバーであり、マルチーズではありません。本物のM性を持つ人は、誰でもいいからいじめてほしいとは思わないのです。相手かまわずいじめられるシチュエーションがあるとすれば、それをご主人様が命じたからでしょう。自分が絶対的存在と認めたSのパートナーに従うことに、この上ない心地良さを覚えるようです。

根っからのM男クンは、自分の女王様が言うことなら何でも従います。セックスだけでなく、日常生活でもイエスしか言わないのです。女王様が「イタリアンが食べたい」と言えば、和食を食べたくてもイタリアンレストランに一緒に入りますし、「いや、ボクはそんな気分じゃない」なんて口答えもしません。

なぜ、Mになるのか?

真性のMの人は、母親が厳格であったとか、生まれつきの性格が従順で大人しいとか、子どもの頃にいじめられた経験を持つなどという特徴があります。抑圧される状況にあって、本来は苦痛に感じるものを「気持ち良い」と感じることで、M性が目覚めるようです。

特に、そもそも従順で大人しく、強気なタイプに従いがちな(強気なタイプに従うのを好む)人は、いじめられる対象にもなりやすく、クラスなどのリーダーの言いなりになるケースが多いでしょう。そうした子ども時代を過ごす中で、初めからいじめられる・言いなりになることを快感に覚えたり、最初はイヤだと思っても、ある時期から「結構イイかも?」と思えたりする中で、マゾヒストとしての素質を伸ばしていくのです。

Mは裏返ることもある

あるSM作家の方に聞いた話ですが、「Mは裏返ることもある」んだそうです。もともとはマゾヒストでも、Sになるケースもあるのだと。

20代の若い頃は恋愛経験がそれほど多くもなく、社会人としてもまだ自信がなくて、自分が信じるSの人に従うことで安心と快楽を得ていた人が、人生経験を積み重ねていく中でしっかりとしたアイデンティティを確立すると、誰かに従うことで安心・快楽を得る必要がなくなるようです。

30代の後半や40代に突入して、ちょっとした好奇心からSをやってみたら不思議なほど気持ち良く、MとしてプレイするよりもSの方が楽しくなっちゃった、という人もいるんだそうです。

ただ、ケースとしては稀で、そう多くはないんだとか。

そして、MがSに裏返ることはあっても、SがMになることはないといいます。生粋のサディストは、生まれつきの揺るぎないS性を持っていて、死ぬまでサディストなのでしょう。M性も生まれつき備わったものかもしれませんが、自信や経験を身に付けることで手放す可能性もある感覚だといえます。

 

Written by 岡崎咲

photo by Stefano Montagner

Written by 沙木貴咲

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