パーソナルスペースとは、その人の心理的な縄張りで、その広さは、性格や相手との関係性によって異なります。
自分や相手の心地よいスペースを把握して、より良いコミュニケーションを図りましょう。友人関係や恋愛関係の改善に役立ちます。
1. 「パーソナルスペース」って何?
パーソナルスペースとは、人の心理的な縄張りのようなものを指します。「パーソナル」は個人、「スペース」は空間の意味で、個人が心理的に安全を感じる空間がパーソナルスペースです。
人は、この自分の縄張りに他人が入ってくると、不快な気持ちになります。その距離は、相手との関係によって、広さが変わってきます。
例えば、交通機関やエレベーターなど狭い空間の中では、無意識に相手との距離を取ろうとします。混雑してくると、不快感を生じます。
家族や親しい友人とは、距離が近くても不快には感じません。離れていると、近づきたくなる場合もあります。
このように、相手や状況に応じて、私たちは無意識のうちに適切な距離を選択して、パーソナルスペースを守ろうとしています。
2. パーソナルスペースの分類4つ
親しい人と、知らない他人とでは、不快感を覚える距離は異なります。このように、パーソナルスペースの広さは、相手との関係、状況や場所によって変わります。
アメリカの文化人学者は、相手との距離感により、パーソナルスペースを次の4つに分類しました。
1:公衆距離
公衆距離とは、350センチ以上を指します。講演会、演説などでの距離です。1対1のコミュニケーションはとりにくく、公的な関係で用いられます。
一般の人が要職にある人と、面会する場合のかしこまった距離です。また、駅や公園などの公衆の場で、他人同士が不快にならない距離でもあります。
2:社会距離
社会距離は、120センチ~350センチを指します。相手とのコミュニケーションはとれる距離です。しかし、相手の身体には触れるのが難しい距離でしょう。
知らない人同士が会話する場合や、会社での商談や上司との面談のように改まった話をする場合にとる距離です。
3:個体距離
個体距離は、45センチ~120センチぐらいの距離です。お互いに手を伸ばせば、相手に触れる事ができ、相手の表情もよくわかる距離です。
職場の同僚や友人などの親しい人は、この距離に入っても不快になりません。普通に会話をするときの距離ともいわれています。
4:密着距離
密着距離は、相手との距離が45センチ未満です。相手の体に容易に触れることができる距離感なので、恋人や家族など、心を許している特定の人だけととる距離です。
それ以外の人が近づくと、不快や恐怖を感じてしまいます。
3. パーソナルスペースが広い人の特徴5つ
パーソナルスペースの広さには、その人の性格や特徴が大きく影響します。
パーソナルスペースが広い人は、相手と距離をとりたいと思う傾向がある人です。他人との関わりに消極的で、内向的な傾向があります。
このような人にはどのような特徴があるのか、みていきます。
1:自分に自信が持てない
自分に自信が持てない人は、他者を過剰に意識したり、他者に攻撃されることを恐れたりしがちです。このため、他者から自分を守ろうとして、パーソナルスペースが広くなります。
コンプレックスを持っているなど、他人の目をいつも気にする傾向にあります。
2:ペースを乱されたくない
パーソナルスペースが広い人は、相手のことを少しずつ知っていきながら、相手との距離をゆっくり縮めていきたいと考える傾向があります。
自分への関心が高い内向的な性格なので、他人がズカズカ入ってくることは不快に感じます。自分が距離を縮める前に、自分の縄張りに踏み込んできてペースを乱す人を、嫌う傾向があります。
3:警戒心が強い
周囲への警戒心が強く、常に防衛本能が働いている状態の人は、パーソナルスペースが広くなります。神経質や、心配性であることも多いです。
また、普段はパーソナルスペースが広くない人でも、警戒心を抱いている相手に対しては、距離を取ろうとしてパーソナルスペースが広がります。
4:孤独を楽しめる
パーソナルスペースが広い人には、一人で打ち込める趣味を持っているなど、孤独を楽しめる人が多いです。
一人で黙々と何かを行うためには、他者との接触が必要ないため、単独での行動を好みます。
自分の縄張りに他者が入ってくると、一人の世界がとぎれてしまいます。これを避けるために、パーソナルスペースを広くとっているともいえます。
5:人見知りしやすい
パーソナルスペースが広い人は、人見知りしやすい傾向があります。知らない人に対する警戒心が強いので、通常の会話の距離では、パーソナルスペースを侵害されていると感じます。
そのため、相手が自分の縄張りに入ってこないように、自分で壁を作ってしまいます。
4. パーソナルスペースが狭い人の特徴5つ
パーソナルスペースが狭いというのは、自分の周りの守りたい領域が小さく、他人が近寄ってきても抵抗を感じにくいということです。
このような人は、他者との関わりを積極的に持つ傾向があります。パーソナルスペースが狭い人の特徴をあげていきます。
1:スキンシップが多い傾向にある
他人との密接な関係を望む性格の人は、パーソナルスペースが狭くなります。
人に親切にする良い点もありますが、人に馴れ馴れしく接する傾向もあり、スキンシップも多くなりがちです。
その人にとっては何気ない行動でも、相手が不快に思う場合もあるので、相手との関係に注意する必要があります。
普段から他人と密接に接触する環境にいる人は、スキンシップに抵抗が少なく、パーソナルスペースが狭い場合が多いです。大家族の人や、看護師さんなどケアをする職業の人などです。
2:物事をポジティブに捉える
パーソナルスペースが狭い人は、多くの人が周囲にいる環境で過ごしていることが多く、助けてもらったり励ましてもらったりなどの経験をしてきています。
そのため、明るい性格の人が多く、物事をポジティブに捉える習慣がついています。
3:社交的である
パーソナルスペースが狭い人は、多くの人と接し、密接にかかわることに抵抗感がありません。このような人は、大勢の中心にいることも多く、広い交友関係を持つ社交的な人です。
相手が近い距離に来ても大丈夫で、余裕をもってコミュニケーションを取ることができます。初対面の人にも抵抗なく近づき、相手との心の距離も縮めることができます。
パーソナルスペースの広い人と接するときには、相手のスペースを侵害して敬遠されることにならないよう、注意が必要です。
4:客観的な視点を持ち合わせている
客観的な視点を持ち合わせている人は、相手との距離の取り方もわかっていることが多いです。このような人は、パーソナルスペースが狭くても、安心していられる傾向があります。
相手を客観的に見ることができるので、多くの人にとって接しやすい人となります。
5:チャレンジ精神がある
ポジティブな性格で、他者への恐怖心も少ないパーソナルスペースが狭い人は、チャレンジ精神のある人ともいえます。
好奇心があり、行動も積極的で、新しいことに興味が向いてチャレンジしていく傾向があります。未知のことに抵抗がないため、人が近づいてきても拒否反応が少ないです。
5. パーソナルスペースが広い人を動物に例えると?
パーソナルスペースの広い人は、動物では「猫」に近いといえるでしょう。ネコは自分の縄張り意識がとても高い動物です。
ネコは、食事や睡眠をとる場所を自分のテリトリーとしています。他のネコを近づけようとはしません。飼い猫の場合にも、自分の行動範囲内に自分のにおいをつけることで、「ここは自分の場所だ」とアピールします。
パーソナルスペースが広い人も同じく「自分だけの場所」を大切にしているためネコととてもよく似ていると言えるでしょう。
6. パーソナルスペースが広い人がされると嬉しいことや嫌なこと
「パーソナルスペースが広い人」とは、自分のテリトリーに入られることが苦手です。また、自分との距離だけではなく、自分の持ち物に触られることに対しても、嫌悪感を持つことがあります。
自分の部屋や、ソファなどの定位置に、相手が入ってくることも苦手です。パーソナルスペースの広い人は、相手との距離を慎重に近づけていきます。少しずつ関係を築いていけるように、ペースを合わせるように、心配りできるとよいでしょう。
7. パーソナルスペースが広い人の恋愛傾向は?
パーソナルスペースが広い人は、自分だけの空間が大切です。大好きな恋人であっても、ずっと一緒にくっついているのは苦手なのです。
自分の部屋で一人の時間を過ごすなど、自分だけの場所や時間を持てるように、相手に配慮してあげることが必要です。
パーソナルスペースが広い人は、束縛も嫌います。「昨日何していたの?」といったさりげない質問でも、不快感を覚えることもあるでしょう。
パーソナルスペースが広い人にとっては、たとえどんなに親密な恋人同士の関係であっても、入り込んでほしくない自分だけのスペースがあるのです。相手の大事な場所や、一人になる時間を尊重してあげましょう。
8. パーソナルスペースを理解して心地よい関係を築こう
パーソナルスペースとは、その人の心理的な縄張りです。その広さは、その人の性格によって異なり、相手や場の環境によっても変化します。
パーソナルスペースの広い人は、相手との距離を大きくとり、自分の世界を大切にする傾向があります。反対にパーソナルスペースの狭い人は、相手と積極的に関わりたいと思い、社交的な傾向があります。
自分のパーソナルスペースを把握することは、何かするときの集中力を上げることや、人と心地よく対面するのに役立ちます。また、相手がどれぐらいの距離が心地よいのかを把握することは、円滑なコミュニケーションに役立ちます。
このように、パーソナルスペースの理解は、仕事上の関係にも友人関係や恋愛関係にも有益です。パーソナルスペースに配慮して、心地よい関係を築いていきましょう。