女性、特に平均身長以下の人なら一度は実感するであろう問題。それが「リーチが足りない!」です。
あとちょっと手が伸びれば完登までのイメージはできているのに! という悔しい思いをしたことがある人もいるでしょう。
もし身長があと5センチ高かったらと思いたくなる気持ちもありますが、そんな思いをグッと抑え、少しでもリーチを伸ばす方法やリーチ不足の克服法についてご紹介していきます。
女性クライマーが悩むことも多い、リーチについて
ボルダリングの課題は何級という形で難易度が表されています。
同じ級数でも得手不得手はありますが、背の低い女性クライマーにとってはリーチが足りず、攻略に苦労したという経験も多いのではないでしょうか。
男性が普通に手を伸ばせば届いているホールドが、どうしても届かない。オブザベーションをしっかりしても解決できる気がしない。
物理的に届かないんだからどうしようもないと諦めたくなる気持ちが出てくるかもしれません。
しかし、手足の長さは変えることは現実的ではありませんが、リーチという面では伸ばすことができます。
リーチとはそもそもの腕の長さに加えて、肩関節の柔軟性や腕の動かし方、ムーブのテクニックも重要になるからです。
具体的にはどうやってリーチを伸ばしていくのか、具体的な方法をお伝えしていきます。
骨は伸びないけど、リーチは伸ばせる! あと少しを届かせるために
リーチが伸びるといっても、当たり前ですが150センチの人が170センチの腕の長さになる訳ではありません。
身長以外でリーチ不足を感じる原因はいくつかありますが、クライマーのレベルに関係なく言えるのは、肩周りの柔軟性です。
柔軟性のチェックは、背中側で手を合掌できるかどうか、左右どちらを上にしても背面で握手できるかで確認できます。
左右どちらかだけでも握手ができない場合は、柔軟性に改善の余地ありです。
柔軟性は一朝一夕で変えられるものではありませんが、リーチの面だけではなく怪我の防止という観点からも重要です。
タオルを使った肩周りのストレッチは、時間もかからずできますのでクライミング前後にやってみては。
やり方は色々ありますが、簡単に行える一例を挙げます。
①タオルの両端を持つ。
②しっかり両足全体で地面を捉えるように立ち、タオルを上に持ち上げる。
③タオルを左右に倒し、脇腹全体の伸びを感じる。
④持ち上げたタオルを後ろに回す。頭よりタオルが後ろに来るようにする。
リーチ不足を補うために必要なもの
柔軟性という観点からリーチ不足についてお伝えしましたが、テクニックもリーチ不足を補うためには重要なものです。
初級の課題で苦戦する場合は、ムーブを覚えていないことや、足をホールドにべったりと置いてしまっている、ホールドの持ち手が逆といったことが、次のホールドに手が届かない原因になっている可能性があります。
基礎的なテクニックやムーブを覚えることが解決への一歩です。
中級レベル以上になると、テクニック云々というよりはテクニックの深め方で次の一手が出るかが変わっていきます。
膝の向きや、どこを重心として足を置くのかというポイントの一つ一つや、自分の頭でイメージしている登りと体の動きの誤差を減らしていくことで、リーチ不足は少しずつ補えるでしょう。
小さくても大活躍! 世界で戦う日本人女子クライマー
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地道に色々取り組んでみても、やっぱり生まれ持ったリーチの長さで決まるんでしょ! と難しい課題を前に言いたくなることもあるかもしれません。
しかし、世界で活躍する日本人クライマーは、世界平均で見ると決して体格に恵まれている訳ではありません。
現役高校生でもある伊藤ふたば選手は、身長160センチ、白石阿島選手も150センチ台と日本人の平均とほぼ変わらない身長です。
二人とも身長によるリーチ不足を感じさせない登りで、好成績を収めています。共通して言えるのは、やはり柔軟性と体幹の強さに優れていてバランス感覚が高いところでしょう。
同じスポーツクライミングでも、スピードの場合は苦労せずにホールドが掴めるという体格的な要素が重要になるかもしれません。
しかし、ボルダリングでは全身の使い方や頭を使って攻略方法を組み立てていくことで体格の差を補えます。これが他のスポーツにはない魅力の一つです。
まとめ リーチにとらわれすぎず、でも意識してボルダリングに取り組もう
どうしてもあと少しが届かない、そういう時ほどリーチに囚われやすくなります。
リーチは伸ばせるとお伝えしてきましたが、あまりリーチのことを考えない方が体の力みが取れて、可動域が広がることもあるでしょう。
ストレッチも大事ですが、ボルダリングで大きく肩を動かして次のホールドを掴みにいくという動き自体も柔軟性の向上に役立っています。
足りない部分にばかり目を向けると苦しくなってしまいがちですので、リーチ不足を解消するとともに、自分の得意分野を伸ばすという気持ちを持って、ボルダリングライフを満喫しましょう!