ボルダリングに行ってみたいけれど、腕の力だけで自分の体重を支えられるか不安……。
そんな悩み、まったくのお門違いです!
テレビなどで見かけるボルダリング選手が腕力に頼っているように見えがちですが、彼らを支えているのは腕の筋肉ではなく、バランス感覚なのです。
体重が重くても、体重移動のコツさえ押さえておけば、はじめてのジムでも腕に負担をかけず登ることができます。今回は、ボルダリングと体重にまつわる素朴な疑問を解消していきましょう。
体重が重かったら、ボルダリングに向いていないの?
「ボルダリングって、自分の体重を支えるんだよね……。体重が重い私には無理かも……。」というあなた。体重に不安があっても体を上手に使えば大丈夫。
ボルダリングは「はしごが登れるならできるスポーツ」といわれるくらい、簡単なスポーツ。
ボルダリングでは腕力ももちろん使いますが、腕力が重要になってくるのは傾斜が厳しい壁のみです。「垂壁(90度の垂直に立った壁)」「スラブ(90度以下の奥に倒れている壁)」と呼ばれる壁では、腕力よりも握力や体重の使い方が肝心な要素です。
ボルダリングに必要な体重移動のポイント
まずはこちらの動画をご覧ください。
https://www.instagram.com/p/Bery2rZHuv7/
とある100°以上の傾斜の壁で、3級を登っているこの男性。体重を器用に移動させるなどした登り方がとても上手ですね。
初心者でも真似できる体重移動のポイントは主に3つ。
(1)足の真上に重心を置く
(2)対角線にある手足でバランスをとる
(3)常に腕を伸ばす
ここでは、それぞれの体重移動のポイントを解説していきます。
(1)体重が乗る足の真上に重心を置く
体重を支えている足の上に重心が来るようにホールドに乗りましょう。例えば右足に踏み込んだとき、お尻の位置を少し右に動かし、右脚に体重を載せるようにしましょう。
重心の置き方を練習してみよう!
重心の置き方を練習するためには、ボルダリングの基本ムーブである「右手右足の法則」を実践することが効果的です。
右手右足の法則は、右手を動かしたら右足を動かす、左手を動かしたら左足を動かすというムーブのことを言います。
腕の力や足の力を無理に使って体勢を変えると、左右の重心がブレてしまい無駄な体力を消耗し、力ずくのクライミングになってしまいます。
右手右足の法則を意識すると重心が右か左に一定になるため、重心を安定して置くことができるようになります。
課題の中で実践することで身体にムーブが身につき、どのような動きをした時に重心が安定するかバランスが崩れるかを理解することができるでしょう。
レベルアップに欠かせないムーブの基礎となる部分でもあるため、重心の置き方の練習と兼ねて右手右足の法則を練習してみましょう。
(2)対角線にある手足でバランスをとる
取りたいホールドの対角線上に体重をかけることで、バランスが取りやすくなります。
例えば右上のホールドを右手で取りたいとき、右足を左上にあげることで、カウンターバランスが発生。左腕に大きな負荷をかけないまま、登ることができます。
バランスの取り方を練習してみよう!
腕を伸ばすという意識を持つと腕だけの動きに注目しがちです。
腕を伸ばすことができているということは、足も含めた身体全体の動き、フォームが適切であるということです。
腕だけでホールドを取りにいくと腕に力が入り、腕が曲がってしまいます。
腕だけでなく足も上のホールドへと動かし、身体全体で登る意識付けをすると腕や足に偏ることなく自然な体勢で腕と足が伸びている体勢をとることができます。
身体全体で登ること、足も一緒に上のホールドに乗せることを課題で意識して腕を伸ばす練習をしてみましょう。
(3)常に腕を伸ばす
初めのうちは、壁から剥がれないように腕に思いっきり曲げて力を込めがちですが、そうすることで腕の筋力が大きく消耗します。上半身をリラックスさせ、柔軟に体重を移動させましょう。ポイントは、足先、手先、お尻で三角形を作ること。3点に均等に体重がかかることで、腕の負担を軽減します。
また、腕をしっかりと伸ばすことで、体を自由に動かしやすくなります。頭上にあるホールドを取りたいとき、まずは腕をしっかり伸ばし、お尻を下に下げ、ホールドに載ったまま膝を曲げます。そこから手を起点に立ち上がり、一気に体を壁に近づけ、頭上のホールドを掴みます。
このような動きを繰り返すことで、なるべく疲労を少なくした状態で課題を登りきることができるのです。
ボルダリングで体重は落ちるの?
ボルダリングだけで劇的に体重が落ちることはありません。なぜならボルダリングは無酸素運動。体重を減らすのに直接寄与するのは、ランニングなどの有酸素運動です。しかし、日常的にボルダリングを行うことで、痩せやすい体を手に入れることができます。
筋肉量が増えて脂肪が燃えやすくなる
ボルダリングは、重力に逆らって自分の体重を持ち上げます。登った回数だけ、ウェイトトレーニングをしていることになるのです。しかも腕だけで自分の体重を支えるというよりは、四肢を使って、時には体幹を使って登っていくため、腕を中心に、お腹周り、背中、脚、など、全身の筋肉をバランスよく使います。
筋肉量が増えると、ランニングや水泳をした時に脂肪を燃焼しやすくなり、体重が減ります。
ボルダリングによる体づくりが、有酸素運動の効率をアップさせるのです。
引き締まった見た目になる
ボルダリングによって全身の筋肉が鍛えられることで、見た目が引き締まります。例えば、ボルダリングを始める前にはプルプルと揺れていた二の腕にハリが与えられシャープに見えたり、脂肪にまとわれていたアキレス腱が浮き出てきて後ろ姿に緊張感が生まれたり。
背筋がつくことで背筋が伸び、立ち姿そのものが美しくなることもあります。
体重減に止まらない美容効果が期待されるボルダリング、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
体重を気にせずボルダリングを楽しもう!
ボルダリングは腕や足など筋力に特化したスポーツではなく、身体全体でバランスを取って登っていくスポーツです。体重があるからといってデメリットになることはありません。
身体全体を使うことを意識して登ることで、体重が軽い、重いに関わらず課題をクリアすることができます。
ボルダリングには、ダイエットやフィットネス効果も期待できます。
「身体を鍛えたいけど、そもそも体重が……」と諦めている方は、一度ボルダリングをやってみることをおすすめします。
体重を気にせず登っていける感覚にやみつきになること間違いなしです。ボルダリングを楽しんでいるうちに、スリムな身体や美しい筋肉が備わっていることでしょう。
体重を気にしてボルダリングに挑戦できていない方はまずやってみましょう。やってみた先でボルダリングの楽しさや効果を実感していることを願っています!