いざ好きな異性と付き合っても、すぐに飽きてしまう。そこから持ち直すわけでもなく、なんとなく別れる。いつまで経っても、その繰り返し……。本当はずっとときめいていたいのに、なぜ一度好きになった人を飽きてしまうのか? 今回はそのメカニズムをお話します。
一度異性と付き合うと、そこには安定感のニーズが発生します。そして同時に、そこには不安定感のニーズも存在します。つまり「安定的にこの人といたい」という気持ちと「ドキドキも味わいたい」という気持ちです。
通常、お互いのことをまだあまり知らず、これから知っていくという段階の時は不安定感のニーズは満たされます。しかし、付き合っていくにつれ「ああ、この人は簡単に自分から離れることはないな」とか「大体この人のことは分かってきたな」と人は思うもの。そうすると、今度は安定感のニーズは満たされたとしても不安定感のニーズが満たされないという形になります。
本来、安定と不安定はお互いに正反対の性質であるため、同時に存在することはできません。しかし、「安定的に不安定を感じる」ということはできます。具体的には、パートナーとの関係性を進めることにフォーカスするのです。
通常、付き合って飽きるということはお互いの浅い部分しか見ていません。こんなに多くの異性がいるなかで、たったひとりの異性と巡り合わせ、惹かれたのです。そこには、何かしら深い魅力や学びを感じてのこと。それは意識的だったり無意識的だったりもしますが、人ひとりの内面を「飽きる」というのは、実にもったいないことです。
すぐに飽きてしまうという人は、もっと深くコミュニケーションを取ってみましょう。将来的にお互いどうしたいのか。どういうパートナーシップをお互いに築きたいのか。もっとも、飽きる人はこういうコミュニケーションを無意識で避けています。ですから、意識的にこの手法を取るようにしましょう。
パートナーがいる人は、シングルの人よりも素晴らしいことができます。それは、自分の鏡となってくれている異性と「新しい世界観」を創造するということです。友人や知り合いで、うまくいっているカップルを思い出してみてください。そのカップルしか分からないような、独特の世界や時間が流れていると思いませんか?
それはいわば、意識的に努力することで築かれたものです。カップルは共同体であるため、一方が怠けていたり、任せきりだったりするとこうした世界観を築くことはできません。お互いに、ひとつの新しい家を作っていると考えてみても良いでしょう。
ひとりで家を作るのは大変ですが、パートナーがいればそれは比較的簡単にできると思いませんか? 材料を運ぶのも、休憩でランチを食べるのも、ひとりよりふたりの方が楽しいはずです。パートナーシップは、そうした楽しく新しいものを作る作業ともいえます。
ここまで読んでいただいて、何となくコツが掴めたかと思います。とにかく「飽きている」という状態は、停滞していると同義です。自分が本当は、パートナーとどんな関係を築きたいのか。一度ゼロベースで考えてみてください。
今の飽きている状態というのは、そんな自分を見つめ直す良いきっかけとなってくれています。相手に何か変化があったから、飽きているということではありません。あなたに変化があれば、飽きるということはないのです。
あなたが気づかないだけで、パートナーもあなたも変化し続けています。そしてそれは、相手も感じていることなのです。今日は、ふたりの新しい関係が始まる日と考えてみましょう。
(Text/今井翔)
Written by 今井 翔