最近、「〇〇界隈(かいわい)」という言葉をよく目や耳にしませんか?
TikTokやXを中心に、特にZ世代を中心に使われている「〇〇界隈」という言葉。
「確かに聞いたことはあるけど、ぶっちゃけ意味はわかってない」という人は、意外と多いのではないでしょうか。
今回は、SNSを中心によく使われている「〇〇界隈」という言葉の意味について解説します。
ネット辞典の「Weblio」によると、「界隈」という言葉は次のように記されています。
読み方:かいわい
そのあたり一帯。付近。近辺。「銀剤─」
最近、ネット上やSNSなどで頻繁に目にするようになった「界隈」という言葉。
これは主にZ世代が中心となって発信しているようですが、原則的に本来の言葉の意味の通りに使われています。
もともと「〇〇界隈」は、アニメなどのいわゆるオタク文化から生じたスラングといわれており、「ジャニオタ界隈」や「V系界隈」などといった界隈が自然発生的に誕生。
やがて「風呂キャンセル界隈」や「地雷界隈」など、オタク文化に留まらないあらゆる属性に対して使われるようになりました。
特徴的なのが、ネットやSNS上にはさまざまな界隈があり、かなり細分化されているということ。
たとえば「アニメファン」が集まるコミュニティを「アニメ界隈」と呼ぶことはできます。
ですが、実際にはもっと細かく「声優界隈」「推し活界隈」「3D界隈」といった具合に細かく分かれています。
また、個々の属性や趣味嗜好により鋭く特化した小さなコミュニティが形成されているのです。
もちろんどこか一つの界隈に属したら他の界隈に属してはいけないというルールはありません。
むしろいくつもの界隈に属しつつ、その時の気分によって好きな界隈で情報収集をしたり交流を楽しんだり──といった傾向があります。
以下に、実際にZ世代が発信している界隈の一部をご紹介します。
・二次元オタク界隈
・三次元オタク界隈
・JK界隈
・美容界隈
・自撮り界隈
・地雷界隈
・トー横界隈
・ガーリー界隈
・Y2K界隈
・ダンサー界隈
・JK界隈
・風呂キャンセル界隈
・ごはんキャンセル界隈
・片目界隈
・自然界隈
・回転界隈
・水色界隈など
こうした形でさまざまな界隈が生まれる背景には、Z世代の価値観やライフスタイル、時代などが影響しているようです。
参考文献:「界隈(カイワイ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
気になる界隈があったらフラッと覗きにいき、気分が乗らなくなったらフワッと離脱する──そんな気軽さでSNSを運用するZ世代。
彼らには世代的な特徴として「流動的」であったり「ストレスと向き合わたがらない」といった傾向があるようです。
Z世代をはじめ、X世代やY世代など各世代には、その世代なりの傾向や特徴があります。
たとえば1960~1980年代生まれのX世代は、野心的でステイタス性を重んじ、人との情緒的な関係性を大切にするといった傾向があります。
一方で精神論や根性論に傾きがちで、ハラスメントに対するコンプライアンス意識が他の世代と比べてやや低いといった特徴も。
1980~1995年生まれのY世代は、経験や実力重視のミレニアル世代で、デジタルネイティブが多い傾向があります。個人主義である一方、保守的になりやすい傾向も。
さて、1990~2010年生まれのZ世代は、いわゆる「生まれたときからスマートフォンが当たり前に存在した世代」で、ソーシャルメディアでコミュニティを形成する傾向があります。
さらに、不景気の日本しか知らないためか現実主義的で、リスクを回避したがる傾向も。
こうした性格から、
・出会いや恋愛はすべてマッチングアプリ
・バイトをするにも面接や履歴書が不要なサービス
・会社の飲み会など催し物は時間とお金がもったいないので出席しない
といった行動指針がイメージできます。
「〇〇界隈」も同様、同じ趣味を持つ仲間同士で交流を深めるよりも、人間関係を浅く広く維持することで、人間関係に伴うストレスを避けたがる傾向があるようです。
また、Z世代は多様性の世代でもあり、個々の多様性を尊重する意識がベースにあります。
「〇〇界隈」は、そんな彼らが暗黙に他者の趣味や属性を尊重しつつ、自分のアイデンティティをそれとなく主張できる場所でもあるのかもしれません。
良いか悪いかはさておき、とにかくZ世代は「そういう世代である」と理解することで、「〇〇界隈」という言葉もまた最初とは違ったニュアンスに感じられるのではないでしょうか。
今でこそ誰もが気軽に「オタク」という言葉を使っていますが、実は「オタク」という言葉が差別的な蔑視語として認識されていた時代があったことをご存知でしょうか。
当時の「オタク」は、言うなれば「アニメやゲームなど子どもの遊びに夢中になっている気持ち悪いダメ大人」を指す言葉だったのです。
もちろん、当時はオタクのレッテルを貼られるのは不名誉なことでした。
しかしオタクもいつしか市民権を得、今では蔑視的なニュアンスもなくごく自然に使われています。
もし当時に「〇〇界隈」の概念があれば、当時のオタク戦士たちは不遇な目に遭わずに済んだかもしれませんね。
趣味が多いのは良いことです。趣味は日々の活力を生みますし、心身のコンディションを整えるのにも効果的です。
いろいろな界隈と接触して、新しい趣味を探してみるのもいいかもしれませんね。
あなたは何界隈ですか?
Written by はるお