近年は、結婚しても子どもがいない夫婦も増えてきました。
これまでは、結婚して子どもを授かるケースが多かったため、子なし夫婦に必要な備えや老後の過ごし方について知らない方もいるでしょう。
ここでは、子なし夫婦が老後をどのように過ごすか、そのリスクや備えておきたいことを中心にご紹介します。
現在、日本の出生率は年々減少しています。
厚生労働省「妻の平均初婚年齢・母の出生時平均年齢・出生までの平均期間」のデータを見てみると、第一子出産時の平均年齢が昭和50年では25.7歳ですが、令和元年では30.7歳となっています。
この結果から、第一子出産時の平均年齢が約5歳上がっていることがわかりました。
一般的に35歳以上で初めて妊娠、出産する場合を高齢出産と定義していますが、出産には年齢以外にもリスクが存在しています。
年齢、キャリア、体調などの面を考慮して出産を選択しない、または、育児にかかる費用、待機児童問題などの改善が期待できないことなどを理由に子どもを持たない選択をする夫婦もいるのです。
これは社会全体の問題でもありますが、夫婦=子どもがいるという定義が崩れていることも要因のひとつでしょう。
参考:厚生労働省「妻の平均初婚年齢・母の出生時平均年齢・出生までの平均期間」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo07/dl/gaikyou.pdf
子なし夫婦は、老後にどのようなリスクを抱える可能性があるでしょうか?
実は子なし夫婦では、相続問題が起こりやすいやすいことをご存知でしょうか。
遺産相続が必要な場合、遺産の半分は配偶者に相続され、子どもがいる場合は、残りの半分を子どもが相続することになります。
しかし子なし夫婦の場合、親族、兄弟間で遺産を分配することになるため、義理の親族などを含めて相続の相談が必要になるのです。
親族と連絡が付かない、生前折り合いが悪かったという場合は、遺産相続がスムーズに進まないことも多く、時間を要するケースも少なくありません。
特に不動産を所有している場合、預金とは異なって厳密な分割が難しくなります。
子なし夫婦に限らず、老後に直面するリスクとして介護問題が挙げられます。
子どもがいる場合は、いざという時に子どもやその家族に頼れる可能性がありますが、子なしとなると突如介護問題が発生した際に頼れたり相談したりする相手がおらず、問題を抱え込んでしまいがちです。
家族に介護を頼めない場合は、介護施設や在宅サービスを受けることになりますが、それには資金が必要です。
配偶者がおらず介護も頼めない場合、自分でサービスを受けるための手続きをしなければなりませんが、急なこととなれば何をどこに依頼するか混乱してしまうでしょう。
子なし夫婦は、老後に向けてどのようなことを備えておくべきでしょうか? 次の内容を参考にして、早い段階から準備を進めておきましょう。
子なし夫婦が安心して老後の生活を送るために必要なことは、資金準備です。
目的別に口座を分ける、先取り貯金をする、生活コストを見直すなど、できる範囲から始めていきましょう。
どちらかに何かがあった場合でも、資金を理由に諦めることがないように早めに準備することが大切です。
老後のために、早いうちから生命保険に加入しましょう。
生命保険は、病気やケガなどが原因で働けなくなった場合の保障があるものを選択してください。
収入や援助がなくて困窮する可能性も視野に入れ、死亡保障や医療保障などが手厚いものに加入しましょう。
生命保険だけでは不安な場合は、公的年金に加えて個別で個人年金保険に加入したり、就業不能保険で働けない期間の収入を補ったりするのもおすすめです。
子なし夫婦の相続問題で親族間のトラブルを避けるためには、遺言書を作って遺言執行者を選んでおきましょう。
遺言執行者は、遺言書に記載されていることを実行するために動く人のことで、司法書士や弁護士を選ぶケースが多く見られます。
法的効力がある遺言書になるように、専門家に依頼するのがおすすめです。
子なし夫婦は、将来的に頼れる人がいなかったり、遺産相続などの問題を抱えたりするリスクがあります。老後に大きな問題に直面した場合、さまざまな手続きや煩雑な作業の多さに頭を抱えるかもしれません。
いざという時に困らないように、少しでも早くリスクを理解し、対策することが大切です。
現在は、いろいろなサービスによって老後のリスクを軽減できる方法や選択肢が増えました。老後に安心して生活するために、早めの備えをおすすめします。
Written by 早紀