「別居婚って実際どうなの?」メリット・デメリットや必要な手続きを徹底解説!

入籍後も同居せず、別々に暮らす夫婦の形『別居婚』。

多様性の時代の新しいスタイルだと前向きにとらえる声が聞こえる一方で、「一緒に暮らしていなくても夫婦として認められるの?」「離婚しやすくならない?」「手続きが面倒なのでは?」など、疑問の声も少なくありません。

そこで本記事では、別居婚のメリット・デメリットや離婚率、法的見解など、別居婚について知っておきたい情報をまとめて紹介しています。ぜひチェックしてくださいね。

【別居婚】決断する理由と離婚率|法的見解は?

【別居婚】決断する理由と離婚率|法的見解は?

別居婚を選ぶカップルについて、「せっかく結婚するのに、別居を選ぶのはなぜ?」と疑問に感じたことはありませんか?

まずは、カップルが別居婚を選ぶ理由や離婚率・法的見解など、別居婚の基本を整理していきましょう。

別居婚はなんのためにするの?

カップルが別居婚を選ぶ理由は千差万別で、それぞれの性格や環境によって変わります。ここでは、別居婚を選ぶ理由の中でも特に多くのカップルに共通するポイントを紹介します。

仕事の都合で離れて暮らすしかないから
適度な距離が欲しいから
・いつまでも恋人同士でいたいから
・一緒に暮らす必要性を感じないから

お互いを大切に思う気持ちは、別居婚のカップルも同居婚のカップルも違いはありません。

どうしようもない事情や、「2人の関係を良好に保ちたい」との思いから別居婚を選ぶカップルが多いようです。

別居婚は違法?

別居婚が話題になると、しばしば一緒に言及されるのが、次に挙げる民法752条の条文です。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

出典:民法752条 | e-Gov法令検索

この条文によって「夫婦が別居をするのは違法なのでは」と考える人もいますが、心配はいりません。

というのもこの条文は、『夫婦のうちどちらかが一方的に別居を望んでいる』ケースを想定したものだからです。

お互いの合意のもとの別居であれば、何ら法的な問題はありません。

別居婚の離婚率は?

中には、別居婚について「すぐに離婚しそう」というイメージを持つ人もいます。実際のところ、別居婚の離婚率はどれくらいなのでしょうか。

結論からいうと、別居婚の離婚率に関する公的なデータはありません。

参考までに、厚生労働省が公表している「令和4年度 離婚に関する統計の概況」を見ると、令和2年度の「年齢別婚姻率の合計(平均して一生の間に結婚する回数)」に対する「年齢別離婚率の合計(平均して一生の間に離婚する回数)」の割合は、男女ともに0.32でした。

この数字は、結婚したカップルのうち、3組に1組が離婚していることを意味するものです。

仮に、別居婚のカップルが同居婚のカップルよりも離婚しやすかった場合、3組に1組以上の割合で離婚すると考える必要がありそうです。

参考:令和4年度 離婚に関する統計の概況|厚生労働省

別居婚のメリット

別居婚のメリット

別居婚のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

いつまでも新鮮な気持ちでいられる

別居婚のカップルは、同居婚のカップルに比べてマンネリ化しにくい傾向にあります。

毎日顔を合わせないため、お互いの存在があたりまえになることなく、いつまでも新鮮な気持ちを保てるのです。

「結婚しても恋人同士のドキドキ感を失わずにいたい」というカップルにとって、別居婚は理想的な選択肢なのかもしれません。

自由に生活ができる

同居婚では、多かれ少なかれ相手に合わせた生活を余儀なくされます。

食事のタイミングを合わせたり、友人と出かける際に報告をしたりなど、1人暮らしであれば必要のない気遣いをあたりまえにしなければなりません。

しかし別居婚であれば、1人暮らしの気楽さをそのままキープできます。

お互いの自由を尊重できるのは、別居婚ならではのメリットです。

家庭に縛られずにすむ

家庭に縛られることなく、仕事や趣味に没頭できるのも、別居婚の大きなメリットのひとつです。

大切な人との結婚を考えたとしても、仕事や趣味に没頭する時間を制限されてしまう不安から結婚に踏み切れない人もいます。

一方別居婚の場合、お互いのライフスタイルを崩す必要がありません。

別居婚は、必要以上に家庭に縛られることなく大切な人と夫婦になれる、まさにいいとこどりの夫婦の形といえるでしょう。

同居前の心の準備ができる

「結婚はしたいし、いずれは同居を考えているけれど、今すぐは不安……」そんな心理の受け皿としても、別居婚は有効です。

環境の変化が苦手な人にとって、結婚は人一倍大きな決断です。そこへ同居という環境の変化が加われば、精神的に追い詰められてしまう可能性が否定できません。

別居婚という期間を設けることで、心理的な負荷を軽減し、無理なく環境の変化を受け入れられるでしょう。

別居婚のデメリット

別居婚のデメリット

メリットが盛りだくさんの別居婚ですが、デメリットもいくつか存在します。別居婚について公平な視点から考えるためにも、ぜひ確認していきましょう。

浮気のリスクがある

別居婚では、お互いの目が届きにくいだけに浮気のリスクが高まります。

配偶者の顔を直接見ないために罪悪感を覚えにくく、浮気へのハードルが下がってしまうのです。

配偶者の心がほかの異性に傾いたとしても、同居していなければ気付くこともできません。気が付いたときには、配偶者の気持ちは浮気から本気に代わり、修復不可能な状態になっていた……そんな事態も十分考えられるのです。

生活費がかさむ

別居婚のカップルは、同居婚のカップルに比べて生活費の負担が大きくなります。

家賃や光熱費がほぼ倍になったり、食材を使い切れずに廃棄したりが積み重なって、生活水準を維持できなくなるケースもゼロではありません。

お互いに十分な収入がある場合を除き、生活費の増加は別居婚の深刻なデメリットといえそうです。

子どもができた時に悩んでしまう

別居婚を選択したカップルの多くに共通する悩みに、『子どもができたときの対応』があります。

カップル同士はお互いに納得して別居婚を選んでいますが、子どもはそうではありません。親の都合に付き合わせ、両親のどちらかがほとんど不在の状態で育てることに、迷いや罪悪感を覚えるカップルもいます。

いざ子どもができたらどうするか、事前に話し合いをしておくことが大切です。

家族の絆を深めにくい

家族の絆は、時間と共にゆっくりと育まれていくものです。

お互いに激しい恋愛感情が失われてもなお、お互いの気持ちが離れないのは、恋愛感情の代わりに家族愛が育まれているからにほかなりません。

しかし別居婚の場合、気持ちが恋人から家族へと変わりにくく、家族としての絆を深めにくい傾向にあります。恋愛感情の終わりと共に、2人の関係が終わってしまう可能性も十分考えられるのです。

別居婚の主なパターン

実際に別居婚をしているカップルは、どのような距離感で暮らし、どんな頻度で顔を合わせているのでしょうか。

以下、別居婚の主なパターンを紹介します。

①お互いが好きな場所に住む
仕事の都合で別居婚になったパターンや、お互いが住む場所にこだわりが強いパターン。遠距離になりやすいため、会う頻度は低くなりやすい

②同じマンションなど、近場に住む
1人の時間を大切にしたいカップルが選ぶことの多いパターン。夕食や週末には一緒に過ごすなど、会う頻度は高くなりやすい

③お互い、もしくは片方が実家に住む
両親や祖父母の介護など、実家にサポートが必要なときに選ぶことの多いパターン。実家との距離にもよるが、家族に手がかかるため会う頻度は低くなりやすい

ひと口に『別居婚』といっても、住む場所の距離感や会う頻度はカップルによってまちまちです。

2人の望むライフスタイルはもちろんのこと、別居婚を選択した理由も大きく関わるため、一概にパターン化はできません。

ここで紹介しているパターンは、あくまでも一例として参考程度に留めておきましょう。

別居婚に必要な手続き

別居婚に必要な手続き

別居婚を選ぶ場合、同居婚と手続きに違いはあるのでしょうか。別居婚で必要な手続きについて、結婚にまつわるトピックごとに紹介します。

婚姻届

婚姻届の記入・提出について、別居婚だからといって特別な手続きは必要ありません。

『住所』はお互いの現住所を記入し、『同居を始めたとき』は空欄でOKです。

『本籍地』のみ夫婦で共通のものにする必要がありますが、本籍地は現住所に関係なくどこでも自由に選べるため、別居婚だから困るということはありません。

ただし、戸籍謄本を取得できるのは本籍地の役所のみです。のちのち不便のないよう、近場に決めるのがおすすめです。

住民票

住民票の変更は、基本的に引っ越しをしたときに行うものです。結婚後も住所が変わらない場合、住民票の異動手続きは必要ありません。

もしもカップルのどちらか、もしくは2人ともが結婚を機に引っ越しをするのであれば、市内なら『転居届』・市外なら『転出届』と『転入届』の提出が必要です。

社会保険

夫婦が共に会社員で、それぞれが勤務先の社会保険に加入している場合、結婚をしたからといって特別な手続きは必要ありません。

一方、どちらかが社会保険に加入していて、かつもう片方の年間収入が130万円未満など扶養の条件をクリアしている場合、別居婚でも扶養に入ることができます。

その場合、扶養に入れる側が勤務先へ新たに『扶養控除等(異動)申告書』を提出する必要があります。

子どもが生まれたら?

子どもが生まれたら『出生届』を提出します。この際の届け先は、『夫婦の本籍地』『夫婦どちらかの住所地(住民票のある自治体)』『出生地』のいずれかから選べます。

ただし、予防接種や乳幼児検診は、住民票のある自治体で行うため、子どもを主に世話する側の住所地に提出するのが一般的です。

勤務先への報告はどうする?

別居婚の事実を勤務先へ報告するかどうかですが、するもしないも基本的には自由です。結婚によって扶養等に変化がないのであれば、あえて「別居婚をしました」と勤務先へ報告する必要はありません。

とはいえ、中には注意が必要なケースもあります。

例えば、お互いに1人暮らしで勤務先から家賃補助を受けていた場合、勤務先の支給条件によってはどちらかの家賃補助が停止される可能性があります。

このケースで別居婚であることを黙っていた場合、本来受けるべきではない補助を受けたとしてペナルティを課される可能性が否定できません。

就業規則の確認をしっかりと行っておきましょう。

別居婚を成功させるためのポイント

別居婚を成功させるためのポイント

別居婚を成功させるには、事前に知っておきたいいくつかのポイントがあります。中でも特に大切なものをチェックしていきましょう。

事前に大切なことを決めておく

別居婚では、同居婚に比べてお互いに顔を合わせる機会が少ないだけに、思いがけないすれ違いが起こりがちです。

トラブルの芽を事前に刈り取るためにも、大切なことは事前に決めておきましょう。

具体的には、以下に挙げるテーマについて話し合っておくことがおすすめです。

・生活費の支出割合について
連絡頻度について
・会う頻度について
・別居婚を続ける期間について
・子どもについて(持つ持たないやタイミング、育てる場所など)

夫婦として信頼し合う

どんなに愛し合うカップルだったとしても、物理的な距離が開くことで心の距離も開いてしまうことがあります。

場合によっては、お互いを大切に思っているからこそ、相手への不信感に苛まれることがあるかもしれません。

円満な関係を維持するには、何よりもまず相手を信じることが必要です。同時に、相手を不安にさせることのないように、信頼できる言動を心がけましょう。

世間体を気にしない

多様性が認められ、個人が自由に生き方を選べるようになりつつある現代ですが、みんながみんな新しい価値観を受け入れられるワケではありません。

時には、別居婚という選択を理解できず、ネガティブな言葉を投げかけられたり、偏見を持たれたりすることもあるでしょう。

しかし、愛する人と2人で選んだ夫婦の形が別居婚なのであれば、周囲に何と言われようと迷う必要はありません。

夫婦の幸せを守るため、世間体を気にしない強さを持つことが大切です。

おわりに

『別居婚』は、正式な夫婦でありながら同居はしない、新しい夫婦の形です。

『浮気のリスクがある』『生活費がかさむ』などのデメリットもありますが、『いつまでも新鮮な気持ちでいられる』『自由に生活できる』『家庭に縛られずにすむ』などは、別居婚ならではのメリットといえるでしょう。

2人の理想の夫婦関係を探す中で、別居婚も選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

Written by 早紀

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