「結婚しない人が増えている」と言われる反面、離婚は珍しいものではなくなってきています。しかし一般化してきたとはいえ、離婚が大きなエネルギーを消費し、自分だけではなく周りにも大きな影響を及ぼす一大事であることには変わりません。
そこで目指したいのが、その影響を少なくする「円満離婚」です。「円満離婚」とはどのようなもので、どんなメリットがあるのか、まとめてみました。
「円満離婚」とは、夫婦が著しくもめることなく、お互いの話し合いのみで納得し、離婚を成立させることです。
一般的に離婚には「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」がありますが、このうち夫婦間の話し合いのみで完結するものが「協議離婚」。一方「調停離婚」や「裁判離婚」は裁判所を介入させる方法なので、「協議離婚」とは離婚の進め方が大きく異なります。
「円満離婚」というと、ほとんどが「協議離婚」となるでしょう。
せっかく結婚して夫婦になったのに、離婚という結末を選ぶ。その過程にはさまざまな問題や葛藤がありますが、最後くらいはなるべく綺麗に「円満に」お別れしたいものですよね。
ここでは、円満離婚できる夫婦の特徴を紹介します。
喧嘩のはずみでカッとなって「離婚よ!」なんて言い出したが最後、夫もすっかりその気になって、夫婦関係に絶対的な亀裂が生じてしまった…… こんなケースでは円満離婚は難しいです。
円満離婚を成立させるには、お互い冷静に話し合い、着地点を探していく必要があります。この際、相手への不満や文句を延々と訴えるのはNG。相手も言い返してくる可能性がありますし、そこから話し合いがこじれてしまうかもしれません。
日頃から日常会話ができている夫婦なら、離婚に向けての話し合いもしやすいでしょう。しかしもう会話がない、口を開けば喧嘩ばかり…… という夫婦だと、少しハードルが上がります。
離婚にあたり、相手に条件を求める場合があります。
子どものいる夫婦であれば、養育費が筆頭にあげられますし、もしパートナーに不倫などの有責行為があれば、慰謝料請求もあるでしょう。
離婚後の生活のことを思えば、つい「もらえるものはもらいたい」という気持ちになります。しかしあまりに無理な条件を突きつけた結果、話し合いがこじれて先に進まないなんてことも少なくありません。
円満離婚を目指す話し合いでは、パートナーの主張にもしっかり耳を傾けましょう。そのうえで、お互いが納得できる結論を出すことが重要です。
条件を一方的に押しつけるのはNGですが、早く離婚したいからと焦って、養育費や慰謝料、財産分与などの権利をすべて放棄してしまうのも考えものです。
例えば、養育費については子どもがいれば当然の権利です。しかし離婚を決める時にきちんと話し合っておかないと、離婚後年数が経ってからではもらえなくなる可能性もあります。
あまりに現実味のない要求をするのはいただけませんが、離婚後の生活をすこやかに保つためにも、「もらうべきものはもらう」精神も必要です。
子どもがいる夫婦が離婚する場合、子どもの親権をどちらが持つかという問題が生じます。
この際、よほどパートナーに問題がないのであれば、面会を認める方が円満離婚はしやすくなります。
子どもにとってはあくまで大好きなパパとママですから、親が離婚したからといってそこで関わりを断ってしまうのは酷なこと。離婚後にまで元パートナーに会いたくない、連絡を取りたくないという気持ちがあるかもしれませんが、そこは子どものためにもぐっと堪えましょう。
また「会えない側の親」としては、定期的に子どもと面会をしている方が、養育費を払い続けるモチベーションに繋がるようです。毎月きちんと養育費を払ってもらうためにも、面会を認め良い親子関係をキープしてもらう方が良いでしょう。
離婚をするなら、できるだけ目指したい円満離婚。具体的にどのようなメリットがあるでしょうか。
離婚は大きなストレスになります。よく結婚するときの何倍もエネルギーが必要だ、なんて言われますね。
ただでさえ大変な状況なのですから、なるべくストレスを減らすように準備したり立ち回ったりすることが大切です。
円満離婚であれば、毎回いがみ合うように言い合いをし、裁判所に足を運び、離婚のために余計なお金を払い、離婚前の別居でまたお金を使い…… なんて必要がありません。これらのことにかかるストレスを軽減できます。
そして晴れて離婚後は、すっきり晴れやかな気持ちで新しい人生をスタートできるでしょう。
夫婦間にどんな問題があり、どんなに仲が悪くても、子どもにとって親は親。離婚の際はできるだけ子どもへの悪影響を減らしてあげたいですよね。
円満離婚であれば、まず離婚を進めている段階での家庭内のピリピリ度合いが違うはずです。裁判所が介入するような離婚であれば、それはそれは居たたまれない空気が漂っているでしょう。
子どもはこうした空気を敏感に察しますから、心に大きな傷を負ってしまいます。
また円満離婚の場合は、比較的離婚後も子どもの親として良い関係を築けるケースが多いです。「定期的に面会をさせる」「運動会や卒業式などのイベントには父母で参加する」こうした良い関係が築けると、子どもも安心するでしょう。
離婚は、避けられるなら絶対に避けたいもの。が、さまざまな理由からそうもいかない場合もあるでしょう。であればせめて、円満離婚ができるよう努力することをおすすめします。
それでなくとも大きなストレスのかかる離婚ですから、少しでも自分、そして周りの人への影響が少ない、より良い離婚を目指したいものですね。
Written by 七尾なお