「毅然」という言葉の意味は「信念を強く持って貫き通すこと」を言い、その姿勢をどんな状況でもしっかり持ち合わせている状態を指します。
今回はこの毅然とした態度とはどういうものか、またどんな時に取るべきか、などについてじっくり確認してみましょう。
「毅然(きぜん)」という言葉の意味には、厳しく対処する、揺るがない姿勢や態度、強い意志を持って、何らかの対象に向けて強い姿勢で臨むというニュアンスが込められます。
goo辞書によると、毅然(きぜん)とは意志が強くしっかりしていて、物事に動じないさま。「何を言われても毅然としている」「毅然たる態度を失わない」とあります。
そして毅然とした人、態度、対応といった、人やその人が示す行動に対する形容動詞として使われます。
世間一般でもよくこの「毅然」という言葉が使われますが、場合によっては間違って使われていることもあるので、その意味が正しく使われているかどうかを判断するためにも正確に知っておきましょう。
「毅然とした態度」という言葉の意味は、先でご紹介しましたように「強い信念をもって揺るがない態度を示すこと」にあり、どんな事が身の回りで起きても目的を達成する心や、他人の意見に惑わされずに自分の意思をはっきり持つ姿勢を指します。
揺るがない態度、自分にも他人にも厳しく接するといった堅固な姿勢を指す場合が多く、その人のあり方を「毅然」という言葉で形容する場合は、その人の信念・志が高いというイメージが伴います。
「毅然とした態度の持ち主」と言われる場合、その持ち主である人の特徴はやはり強い意志をもって行動する事や、何事にも揺るがない姿勢で対処するなど、凛とした筋の通った人だというイメージがあります。
ではこの言葉にはどんな特徴があるのか、どんな言葉のニュアンスが含まれているのかを具体的に解説していきます。
「毅然とした態度で物事に当たる」と言われる時、その人の行動には信念があると見て取られ、ちょっとやそっとの事では揺るがない、姿勢が備わっていることが伺えます。
goo辞書では「信念」の1番目の意味として、正しいと信じる自分の考え。「信念を貫き通す」があげられています。「固い信念」という言葉の意味は、正しいと信じる自分の考えがあり、強い心の持ち主であることを指していますので、毅然とした態度にはこの「信念」というニュアンスが含まれていると言えます。
「毅然とした理念や態度」「毅然とした意志」と言われるその背景には、芯の通ったあり方が見て取れます。
「筋が通っている」という言葉の意味は、道理にかなっている事、筋道が通る事を指しており、goo辞書によると「筋」とは、物事の道理。すじみち。「―の通った話」と解説されています。
「毅然とした態度」という言葉の中にこの筋が通っているというニュアンスも含まれています。
本来の「冷静」という言葉の意味は、何事にも落ち着いていて、その場で得られる様々な刺激に感情を揺らされないことを指します。
goo辞書では「冷静」の解説として感情に左右されず、落ち着いていること。また、そのさま。「冷静な判断」「冷静に処理する」と書かれています。
つまりこの場合も「感情を揺さぶられない事」が「毅然とした態度」が持つ物事に動じないさまと近いニュアンスを持っていることが分かります。
さてここからは、「毅然とした態度」を取るべき状況を5つの観点から簡単に見ていきましょう。
毅然とした態度というのは先述のように、何事にもブレず、自分が正しいと思ったことを遂行していく姿勢を指します。
色々な場面で、毅然とした態度を示さなくてはならない状況が発生するでしょう。
曖昧な態度では状況が好転しません。言いにくくても時には毅然とした態度できっぱりと自分の意見を言えるといいですね。
自分が確信を持っているのに、はっきりと言えない状況があるかもしれません。
しかしそのままでは間違ったことをそのまま行わなければならず、自分の信念と矛盾していることに罪悪感や理不尽さを感じてしまうでしょう。
自分が正しいと確信している時には、あとで間違いだったとしても毅然とした態度ではっきりと行動しましょう。あいまいな態度では良い状況になりません。
他人から何か要求されてそれを断る時にも、毅然とした態度で断りましょう。「どっちにしようかなぁ」や「どうしよう」などという優柔不断さを見せるとかえって断れなくなってしまいます。
嫌なときや、理不尽な要求には、断固とした態度で断ることが必要になります。そうでなければ、その人はあなたに対して繰り返し同じような要求をしてくるでしょう。
何らかのテーマで学術論文を発表する場合、または日常で自分の意見を主張する時などでも、毅然とした態度をもって発表しましょう。
誰かに発表をするのに、自分が優柔不断ではその発表内容がいくらすばらしくてもきちんと評価してもらえないということも起こり得ます。
確信がある内容を発表するのですから、自信を持って毅然とした態度で臨みましょう。
他人から嫌な言動を取られた時や、会社や公共の場で理不尽な態度を取られた場合でも、毅然とした態度をもって自分が正しいと思うことを述べるようにしましょう。
その場で指摘しなければ、その理不尽な扱いを受け入れたと捉えかねられません。自分の価値を下げるような扱いをされて黙っていれば相手の思うツボです。
二度とそのような扱いをされないためにも、毅然とした態度を取りましょう。
特にサービス業を営む会社などで、いろいろなクレーム対応に従事する場面が見られます。顧客のクレームに対応するのは難しい業務です。
明らかに理不尽なクレーマーの場合は、同情・同調するのではなく自分の意見をきっぱりとその相手に告げ、堂々とした姿勢でいることが求められます。
そうしたクレーマーに対する意見をしっかり伝える場合などでも、毅然とした態度をもって相手に向かえば、その相手も諦めるかもしれません。
毅然とした態度は常にはっきりと物事を言える人にとっては何も難しいことはないかもしれませんが、実際にそのような状況になったら毅然とした態度がとれるか不安ですよね。
いつ毅然とした態度を取らなければいけないのかは先述しましたが、いつくるか分からない状況のためにどんな心構えが必要なのかをご紹介します。
「毅然とした態度」をとると言っても、どのようにとっていいか分かりませんよね。あらかじめどんな状況が自分に起こりそうなのかを想定しておくということが大切かもしれません。
クレーマー対応かもしれませんし、理不尽な事を言われるなど、自分の身近で起こりそうなことを想像してみましょう。
トラブルやハプニングを予測しておき、その場面においてどのように対応するべきかをあらかじめ考えておけばもしもの時に役立つでしょう。
どのくらいのレベルまでいったら「毅然とした態度」をとるのか、自分の中で基準やルールをある程度設けておくとよいでしょう。
いくら自分が正しいと思う事でも相手にとってはそうならない場合もありますし、コミュニケーションの中では柔軟な対応が必要なことも多いでしょう。
最初から毅然とした態度をとるのではなく、自分の中で基準を決めて毅然とした態度をとるようにしましょう。
相手の要求を呑む場合、またクレーマーからの苦情に対応する場合などでも、譲れる許容範囲というものを先に決めておき、それに従って自分の行動基準を決めることも必要です。
そのように相手の要求に対するボーダーラインを事前に決めておくことにより、自ずと自分がその場その場で取るべき行動のあり方・選択肢も変わってきます。
「自分がその場面においてなぜそうするのか」とした、自分の行動に対する理由を1つ1つ付けておくことで、相手にも納得がいく行動を取れるようになります。
毅然とした態度をもって自分の言動を決めていこうとする場合、得てしてその姿勢は相手にとって「自己本位な行動のあり方」に映ってしまうこともあるので、その場合に自分がどうしてそのような行動をするのか理由を説明することによって、相手に理解してもらえることもあるでしょう
この場合は「感情的にならない事」が前提です。他人から何か言われた際に、怒って意見を主張したり、悲しみから言葉を投げ掛けてしまう場合には、「感情によってあの人は言う内容が変わる」と言われかねません。
また相手も感情的になってしまっては喧嘩になってしまいます。冷静に事実を述べることで、毅然とした態度が取れるようになります。
これは他人とコミュニケーションを取る時の基本的なルールになりますが、相手の目を見て話しをするということは、自分が自信を持って話をしているという態度を示すことになります。
逆に相手の目を見ずに話す場合は、自分の意見や考えに自信を持てず、おどおどした様子で会話している様子が相手にもそのまま伝わります。
そのため相手の目をしっかり見て話す事は、毅然とした態度をもって自分の意見を云う場合の鉄則となり、相手の納得も得やすくなります。
下手にまごついたり、どもってしまったり、会話の途中でその都度相手の意見に同調したりしていると、それだけで正しい事を言っていてもその相手や周囲には「自分の意見を持っていない」という印象を与えることがあります。
「淡々と話す」というのは冷静に話す事や必要な事だけを相手に伝えるという、余計な言い回しをしないことから要点のみを伝えやすく、また感情的になって自分の意見のごり押しをしないことにも繋がります。
自分の意見は自分の意見、他人の意見は他人の意見などと、はっきり割り切って物を話す人の口調や態度は、どんな場合でも毅然とした態度をもって自分の意見を主張しているように映るものです。
また毅然とした態度をとることが苦手な人は、曖昧な態度をとらないように、強い口調ではっきりと言いましょう。その際にはくよくよせずに、相手にどう思われるかなど考えず、割り切ることが大切です。
あまり細かく考えすぎてしまうことで、結局、結論として何が言いたかったのかわからなくなる事がよくあります。
そのため、毅然とした態度で自分の考えを相手に示すことが出来なくなり、周囲からは優柔不断や整然さが無いように取られてしまいます。あまり細かく考えることなく、自分の意見を述べましょう。
正しい事を言っている時でさえ、他人と図るコミュニケーションが苦手な場合や、人前に出て意見を言うことが苦手な人は何も言えなくなり、結局、損をしてしまうことがよくあります。
そのため、どんな場合でもコミュニケーション・発表に慣れておく必要もあり、特に「自分はこう思う」という考えがしっかりある場合には、とにかくその思いを相手に伝える事だけに意識を集中させ、そのための自信をつける訓練が大切になるでしょう。
さてここでは、「毅然」という言葉と同じような言葉を類義語の中から探し出し、さらに「毅然」の意味合い・使い方の理解を深めておきましょう。
日本語にはこのような類義語や反対語がそれぞれの言葉にあるため、1つ1つの言葉の意味・使い方をきちんと理解し、どんな場面でどの言葉が使われるのかなど、用法を学んでおく必要があります。
まず「断然(だんぜん)」という言葉の意味ですが、goo辞書によると、態度のきっぱりとしているさま。また、最後まで押しきって物事をやり遂げるさま。と書かれています。
「断然」という言葉が使われる場面はたいてい自分の意思をきっぱり主張する時が多く、「私は断然こっちがいい」や「断然断る」など、自分の心がどんな場合でもブレない信念を持っている事を相手に伝えます。
次に「決然(けつぜん)」ですが、goo辞書によると「きっぱりと決心したさま。思い切ったさま。「決然たる語調」と書かれています。
やはり「毅然」の意味合いと同じような場面で使われることが多く見受けられます。特に思いきって1つの物事を決断する場合などに使われ、きっぱりと断行すること、強い決心の下で行動がなされる事などに使われます。
goo辞書によると「断固」とは、周囲の状況や意見に左右されないさま。態度などがきっぱりとしているさま。「―として反対する」「―たる決意」と書かれています。
「断固(だんこ)」という言葉の意味合いは、何があってもそれを必ずする・強い覚悟をもってそれを完遂するという、先述の「断然」や「決然」の意味合いに比べてさらに強い信念を含む言葉となります。
「きっぱり」という言葉は一般によく使われる慣用句でもあり、goo辞書によると、「きっぱり」とは態度をはっきりと決めるさま。「きっぱり(と)あきらめる」「きっぱり(と)した態度」と書かれています。
やはり「毅然」の意味合いと同じく強い信念を持った行動になり、何があっても自分がこうするとした強い決意を相手に示します。その物事への自分の態度をすでに決定している場合などに使われやすいでしょう。
次は「泰然(たいぜん)」ですが、この言葉はgoo辞書によると、落ち着いていて物事に驚かないさま。「泰然として構える」「泰然たる態度」と書かれています。
周囲の環境や人々がどんな状態にあろうとも、自分は必ず信念に沿って落ち着いて行動することを示す言葉です。
いかがでしたか?「毅然とした態度」をとる必要のある場面が必ずやってくるでしょう。その際にきっぱりとした態度を示すことで、自分を守ったり、信念を貫いたりすることができます。
周りを気にして毅然とした態度がとれないと悩む方は、毅然とした態度が必要な場面で受け身になってしまわないよう、事前に場面を想定してシミュレーションをしておくといざとなった時に役立つでしょう。
毅然とした態度がとれる、筋の通った信念のある人になりたいですね!
Written by KOIGAKU