結婚すれば、自動的に「妻」と呼ばれるようになります。しかし、呼び名だけでなく「妻」という言葉には、秘められた意味がいくつかあるのです。
今回は、知らないと困る「妻」になるということ、結婚する前と後の違いについて、お話します。
結婚すると女性は「妻」と呼ばれ、男性は「夫」と呼ばれるようになります。妻と似た意味を持つ言葉は「奥さん」や「家内」などもありますが、共通していることは「矢面に立つ立場ではない」ということではないでしょうか。
奥さんは、字のごとく表ではなく「奥にいる人」です。家内も「家の内の人」になります。妻といえば、刺身の下や横についている「つま」を連想する人も多いでしょう。
しかし、実際に結婚して妻となったにもかかわらず、夫の添え物になっているようではいけません。
刺身を夫に例えるならば、妻は大根の千切りやワサビなどの「つま」になるのかもしれません。「つま」は、ただ添えられている飾りではなく、きちんとした役割を持っています。刺身の臭みを消したり、食中毒を予防したりする立派な役割があるのです。
結婚して「妻」になると、夫の添え物や飾りのように立っているだけで役割を果たしていると思う人もいるかもしれません。
しかし、「妻」はいつもそばにいるからこそ、夫に降りかかってくる火の粉を払いのけることができるのです。そして、その役割を自覚することが、結婚して「妻」になるということではないでしょうか。
恋人から妻になったら自覚すべきことがもう1つあります。それは「公的なパートナーになった」ということです。
恋人でも立派なパートナーですが、恋人である以上、終わりがきたとしても文句は言えません。自分よりも魅力的な女性があらわれたら、恋人でなくなってしまう可能性もあります。
ただ、恋人は知人よりも大切にされているはずです。知人は、重さがない砂粒だとしたら、恋人は、重さのある石に例えることができます。石になれば、多少の風が吹いてきても持ちこたえることができるでしょう。
さらに「妻」になれば重さが増します。恋人が石ならば、妻は岩になるのです。岩は、多少の風が吹いても動じません。妻になるということは、岩のような落ち着きが求められるようになるのです。
恋人だったときには、パートナーの前に魅力的な女性があらわれるたびに不安になっていたかもしれません。結婚した後も、パートナーの前に魅力的な女性があらわれないとは言い切れないのです。
しかし、どんなに自分よりも魅力的な女性があらわれたとしても、「妻」となったからには岩のように動じない心を持ちましょう。
「妻」と呼ばれることは、公私ともにパートナーとして認められた証です。「妻」とは、結婚したからこそもらえる証明書のようなものかもしれません。
「妻」になると、外からの見られ方が変わります。恋人だったときには、彼女と彼氏としてみられるため、「彼女はかわいいね」と個別で評価されることが多かったのではないでしょうか。
しかし、結婚して「妻」になると、周囲の人は、夫一人を評価するのではなく、妻とセットにして評価する傾向があります。とくに会社など年配の人が多い場所では、「妻がどういう人か」をチェックされます。
「気が利く妻か」や「社交的な妻か」が、夫の配属先に影響を与えることもあるのです。
例えば、能力が全く同じ二人の男性社員から一人の海外赴任者を決めるとき、一方の妻は海外経験がなく内向的な性格で、もう一方の妻は留学経験があり社交的な性格だったとします。
海外赴任者は、慣れない土地で心身ともに大きなストレスにさらされるため、しっかりと支えることができる家族の役割は大きいのです。この例では、海外経験を活かし、社交的な性格で夫を支えることができそうな妻をもっている人が、選ばれる可能性が高いのではないでしょうか。
結婚前は、個としてみられることがあたり前でしたが、結婚後は、夫と妻がセットで見られる機会が増えてきます。「妻」と呼ばれる立場になれば、自分だけの責任ではなく、パートナーに与える影響まで考えることが求められるのです。
Written by 幸寿