世の中には「常識がないおじさん」がたくさんいます。性別や年齢を問わず、そんな迷惑なおじさんにうんざりしている人はたくさんいるのではないでしょうか。
今回は、常識がないおじさんにどうやって対処すればいいのか、いくつかの対処法をご提案します。
あらかじめ宣言しておきますが、筆者も常識がないおじさんが大嫌いです(筆者自身もおじさんですが…… )。
特に周囲の迷惑を顧みず自分勝手な行動をするタイプが苦手で、ほとんど反射的にイラついてしまいます。
しかし、ある時「なぜ自分はこうも傍迷惑な人間が嫌いなのだろう?」と考えてみました。すると、いくつかの自分自身の傾向が見えてきました。
まずは「常識がないおじさんが嫌い!」と感じる心理について考察してみましょう。
最初に思い当たったのが、幼少時代に筆者自身が、学校の先生や周囲の大人たちから「人に迷惑をかけるな」と厳しく教えられてきたということです。
だからこそ、人に迷惑をかける人間が嫌いなのです。
逆に、「人に迷惑をかけるのは当たり前」という感覚を常識として持っている人は、筆者のように他人に厳しくありません。
たとえば、「人に迷惑をかけてはいけません」と教えられる日本と対称的に、インドでは「人に迷惑をかけられても許してあげなさい」と教えるといいます。
さて、どちらがおおからで寛容な生き方ができそうでしょうか?
筆者は後者のように思います。
そこで、ある時から自分の常識にすがるのをやめて、色々な常識を参考にしながら生きてみようと思いました。
それから数年が経ちますが、自分の常識を完全に捨てるのはなかなか難しいものです。
とはいえ、かつての自分よりも人に対しておおらかになれた実感があります。
迷惑なおじさんを目の当たりにしたら、脊髄反射的に嫌悪するのではなく、まずは「この人は自分と違う常識を持っている人種なのだな」とワンクッション置いてみるのがおすすめです。
迷惑な人をたくさん観察してきて感じるのが「知能の差」です。
筆者は特別知能が高いわけではありませんが、それにしても人に迷惑をかける人には、知能的に問題があるタイプが多いように見えます。
たとえば、
・自分が人に迷惑をかけているという事実を認識できない
・自分の行動がどのような因果関係で他人の迷惑になっているのかを想像できない
・迷惑を被っている人の気持ちに寄り添えない
など。
こういう現実を観察していると、
「人に迷惑をかけない行動」
を避けたり、ましてや
「人にかかりそうな迷惑をあらかじめ予測し、それを避けるために準備する」
という動作は、ある程度の知能レベルに達していなければ実行できない「意外と高度なニッション」なのかもしれません。
迷惑なおじさんと遭遇したら、「この人はこの程度の知能なのだろう」と、半ば同情的に解釈することで、嫌悪感を軽減しやすくなります。
他人を見下しているように感じられて抵抗を覚える人もいるかもしれませんが、この思考法は「相手の脅威に動じないメンタル」を培うのに役立ちます。
小さな子の迷惑行為はさほど気にならないのに、いい歳のおじさんの迷惑行為が気になるのは、「子ども」と「おじさん」という属性の違いが原因ではないでしょうか。
特に上司や先輩、顧客など、社会的に自分よりも目上の人間からの迷惑行為は、防ぐのが難しいのが現実です。
こうした「自分ではコントロールできない領域の問題」や「自分にはどうしようもない属性の相手からの迷惑行為」は、実際の被害以上に嫌悪感が強くなる傾向があります。
逆に言うと、相手が自分に逆らえないのをわかった上で迷惑行為をしてくるおじさんは、かなり卑怯で悪質なタイプといえます。
常識がない迷惑おじさんには、どのように対処すればいいのでしょうか。ここまでの考察を踏まえ、常識がないおじさんへの具体的な対処法について考えてみましょう。
非常識な行動をするおじさんは、「常識はあるが自分勝手なおじさん」か「本当に常識がないおじさん」かのどちらかです。
常識はあるが自分勝手なおじさんは、対話を試みてみる価値があります。少なくとも話が通じるなら、真摯に抗議することで態度を改めてくれる可能性があるからです。
ただし、おじさんは基本的にめんどくさい人が多いので、言い方には要注意。
子どもをなだめる要領で、相手の長所を認めてこちらの話を受け入れてもらいやすい状態を作ってから、本題に切り込むのがいいでしょう。
本当に常識がないおじさんの場合は、距離を置いたり関わらないようにしたりするか、頼れる人に相談して取り持ってもらったりするがおすすめです。
職場なら上司や総務、人事部、産業カウンセラーなどに相談したり、ご近所さんなら自治体の管理組合や、場合によっては市役所などに相談してみましょう。
世の中には、知的障害や発達障害、精神障害など、さまざまな障害や疾患を抱えている人がいます。中には診断がなく、症状を自覚していない人も。
このようなタイプの中には、確かに無自覚で周りに迷惑をかける人もいます。しかし、実は一番困っているのは、当のご本人だったりします。
ですから、
「会話が成立しない」「こちらの意見や主張を理解してもらえない」「行動に脈絡がない」
などの様子が見られる場合は、「もしかして障害をお持ちの方かもしれない」という視野を持って、ひとまず合理的に配慮するのがいいでしょう。
たとえば、「これをされると迷惑なのでやめてくださいね」と、率直に指摘されないと理解できない人も中にはいます。
ただし、人間は基本的に他人から否定されたり拒否されたりすると傷ついたり感情的になったりしやすい生き物です。
なので、指摘したり意見したりする際は、「でも、これなら迷惑ではないのでOKですよ」というふうに、代案を提案するなど工夫しましょう。
立場を利用して迷惑行為をしてくるおじさんは、組織に属しているケースが大半かと思います。
その場合は、そのおじさんよりも上の立場の人に相談するのが正攻法です。あるいは組合や弁護士でも構いません。
少なくとも「いざとなったら然るべきところに訴えてやる」という覚悟と気概があれば、精神的にも余裕が生まれます。
なので、迷惑行為をされても大人の対応で上手に受け流したり、要領よくかわしたりしやすくなるはずです。
ここまで読んでいただけばわかるように、傍迷惑なおじさんは「子ども」と大して変わりません。
なんなら3歳児の方がまだ理解力が高かったり、人の気持ちに寄り添えたりするレベルです。
ですから、対処法も基本的には「幼児をたしなめる方法」とさほど変わりません。
とはいえ、おじさんは責任ある立派な社会人です。子どものように甘やかしたり、我慢して目をつむったりする必要はありません。
迷惑行為で被害を被ったなら、その被害を主張して賠償を求める権利があなたにはあります。
もちろん、波風を立てず穏便に毎日を過ごしたいと思っている方が大半でしょう。
だからこそ、「いざという時はしっかり償ってもらうぞ」という気構えと準備をし、最悪の事態をあらかじめ想定しておきましょう。
そうすることで気持ちに余裕が生まれ、常識がないおじさんの迷惑な行動に心がヒリヒリすることも少なくなるはずです。
世の中には、多くの理不尽や不条理があります。それらと直面すると、不満や不安や怒りや失望を覚えることもあるでしょう。
ですが、そういうときこそ自分の能力を試すチャンスです。
理不尽な相手をいかに攻略するか、理不尽な出来事をいかに解決するか。あるいは、自分自身の感情や考え方をどう調整するか。
人間誰しも弱気になってしまうことがありますし、悲観に暮れることもあります。そういうときは弱音を吐いたり愚痴を言ったりしましょう。
そして心の膿を吐き出したら、再び「自分育てゲーム」を再開すればいいのです。
「我以外皆我師也(われいがいみなわがしなリ)」の心で、世の中の理不尽も不条理も、酸いも甘いもすべて食らい、己の血肉にしてしまいましょう!
Written by はるお