ボルダリング体験に行ってみると、「登れると思っていたのに、登れない!」そんなふうに思った人が多いと思います。
楽しいから続けたいけど、どうしたら上手に登れるの? そんな悩みを持っている人へ。今回は、ボルダリングを上手に登れるように、基本的なムーブや登りのテクニックをご紹介します。
基本的なムーブを理解するだけで、登っているレベルが上がっていきますよ。ぜひご参考にしてくださいね。
ムーブとは?
ボルダリングで壁を登っていく動き全般を指し、「ムーブ」と言います。ムーブには、いくつかの種類があり、課題の難易度によって難しくなる壁の傾斜やホールドの位置などに合わせて駆使する必要があります。
ボルダリングの課題は、難易度に分けて設定されており、ホールドにテープなどで印がつけられ登っていくコースが大まかに分かるようになっています。
課題の難易度が低い場合は、力任せに登っていくこともできますが、難易度が上がるとムーブや技術が必要になってきます。
ホールドとホールドの距離が離れていたり、掴みにくい形状のホールドが増えたりするなど傾斜などといった壁全体の難易度だけでなく、ホールド一つとっても難しくなっていきます。
そこで必要になるのがムーブです。ムーブは力に任せて登り方ではなく、身体の動きを駆使して、より効率的に登る動きです。
重心を保つムーブ、重心移動により推進力を得るムーブなど、課題で直面する様々な場面で役に立つものばかりです。
初心者から中級者になるためには、ムーブをしっかりと身に付ける必要があります。
ボルダリングの基本は「よく見ること」=オブザべが大事!
ボルダリングがもっと上手くなりたい! そう思う人もいるでしょう。そんなボルダリング初心者の人にアドバイスするのは、「登る前にしっかりとホールドを確認すること」です。
「登る前にしっかりとホールドを確認すること」を専門用語で「オブザベーション」と言います。
オブザベーションをするときは、漠然と壁を観察するのでは、いざ登った時にホールドを見失ってしまいます。
壁を観察することと合わせて、登っていくための戦略を立てましょう。
戦略を立てるためには、スタートとゴールをまず確認します。目指すゴールを確認したら、ゴールまでにたどっていくホールドの形や位置、ホールドとホールドの距離などに注目です。
ゴールまでの道筋やホールドの持ち方などをイメージできて、初めてオブザベーションと言えます。
「まず壁に挑戦することが大切だ」と初心者の方は思いがちですが、闇雲に挑戦することは上達へ遠回りになります。
焦らずに、オブザベーションをしっかりとすることで、課題を見極める力も身についていきます。
登っているときに、「あれ? 次どのホールド? 分からない!」となりませんでしたか? そうなった人は、ホールド位置の確認不足が原因で登れなかったと言えるでしょう。
また、ホールドをよく見て確認するのはもちろんですが、そこで「どんな動き(ムーブ)でホールドを取りにいくのか」という部分までしっかりと考える“オブザべ”が大事です。
「どのホールドを使ってどんなムーブで次の手を出すのか」というオブザべをすることで、よりスムーズに登りやすくなりますよ。
ホールドに乗るときはつま先で!
初心者の人にありがちなムーブが、ホールドに乗るときに足裏全体で乗ってしまうことです。上級者の人を見ると分かるのですが、ほとんどの人がつま先でホールドに乗っています。
足裏全体で乗ってしまうと、足裏の感覚が鈍くなるのと、うまく力を入れられないようになるのです。
足の置き方をあまり意識していない人も多いと思いますが、よりボルダリングがうまくなりたい! という人は、ホールドに乗るときはつま先で乗るようにしてみると良いでしょう。
足の入れ替えも重要!
課題を登っているときに、「足を置くホールドがない!」そんなことはありませんでしたか? 実はこういうとき、足の入れ替えで解決することがあります。
足の入れ替えというのは、ホールドに乗っている足を入れ替えしてあげることです。例えば右足でホールドに乗っていた場合は、スッと左足に変える、左足で乗っていた場合は、右足に変えるという感じです。
初めは難しいかもしれませんが、慣れると入れ替えは簡単になっていきますよ!
フリーの足でバランスをとろう!
登っているときに「どうしても身体がグラグラしてバランスが取れない……」というときは、ホールドに置いていない足でバランスをとってあげると良いです。
足を上げたり下げたり、また広げたりすることで、バランスが保ちやすくなります。
いつもバランスを崩して落ちてしまう……という人は、一度フリーの足を動かして、バランスをとってみてくださいね。
ボルダリングのテクニックを知ろう!
ボルダリングは上級者になればなるほど、テクニックが多くなっていきます。ここではどんなテクニックがあるのか、少しご紹介します。
テクニック①ダイアゴナル
ダイアゴナルは基本的ムーブのテクニック。ダイアゴナルというのは“対角”という意味があり、その意味の通り腕を伸ばす方向と逆の脚を流して、バランスをとるムーブです。
例えば、左手でホールドを持っていて、その一直線上の下のホールドに右足が乗っているとします。
次は右上のホールドを取りにいきたいけど、どうしてもバランスが崩れてしまう……そういうときにダイアゴナルです。右手を伸ばしてホールドを取りにいくに合わせて、左足を少しずつ右手とは対角に流していきましょう。そうするとバランスが取りやすくなるのです。
ダイアゴナルの練習方法
ダイアゴナルを使えるようになるためには、まずダイアゴナルの動きを身体に慣れさせることが必要です。
実際に課題に取り組む前に、伸ばした腕と逆の足を伸ばしてバランスをとる練習をしましょう。
動きを確認できたら、壁での実践で積極的に使っていくことが一番の練習になります。
右手右足の法則で登ることができる場面でも、足を入れ替えてダイアゴナルを使って、動きを確かめながら登って行きます。
この時、伸ばした手とが逆脚を流すことと合わせて腰を壁に近づけることを意識しましょう。
身体を引き上げる力を軽減することができ、より効率的なダイアゴナルとなります。地上での動きの確認と実践で敢えて使うという2つが効果的な練習です。
テクニック②ランジ
ボルダリングのムーブの中でもダイナミックなムーブがランジです。ランジは次の手のホールドが、遠い場合いに壁面でジャンプをして、次のホールドを取りにいくムーブ。
上級者などに多いムーブでランジが決まると、とても気持ちが良いムーブです。
ランジの練習方法
ランジは壁面でジャンプするダイナミックなムーブであるため、腕力やジャンプ力に大切に感じますが、ムーブを一つ一つの動きに切り取って練習することでできるようになります。
ランジの動きは大きく3つに分けられます。ホールドに乗ってジャンプのタメを作る動作、次のホールドへとジャンプする動作、ホールドを掴む動作の3つです。
ジャンプへのタメを作るためには、ホールドにバランスよく立つことが大切です。ジャンプ時には手をホールドから離すため、足だけでバランスをとる練習をしましょう。
ホールドへとジャンプする動作は、ジャンプの方向、手首・足首の使い方によって、安定したジャンプや飛距離のあるジャンプを可能にします。
最後にホールドを掴む動作を確認しましょう。体幹を意識して身体を引き付けることが重要です。
それぞれの動きを練習し、実践で一つ一つ組み合わせて反復することでランジをものにすることができます。
テクニック③キョン
スタティックなムーブのキョン。どんなムーブかというと、掴みたいホールドの方向に合わせて身体をひねるのです。
例えば右上のホールドを右手で取りにいきたいときに、右側の腰部分をウォールに近づけるようにしながらひねります。このときに、重心を落とすことで、右足と左足でホールドを突っ張るように踏ん張れるようになります。そうするとすんなり右手が出しやすくなるのです。
さまざまなウォールで対応できるので、初心者の人も取り入れてほしいムーブの一つです。
キョンの練習方法
キョンのコツには、ホールドにつま先で立つというコツがあります。
つま先で立つことにより、キョンのひねる動きがしやすくなり、しっかりとムーブができるようになります。
つま先でホールドに立つことは、ボルダリングの基本でもあるため、初心者の方はまずつま先でホールドに立って、バランスをとる練習が必要です。
キョンは足だけでなく、手の動きも重要です。つま先で立って身体をひねった後の手も意識して、しっかりと身体全体を引きつけましょう。
ひねる動きの反復と手足の連動を意識して、繰り返し練習してみましょう。
ムーブを理解すると動きがスムーズになる!
ボルダリングの基本的なムーブやテクニックを理解すると、登り方のバリエーションが増えて、対応しやすくなります。よりレベルアップを考えている人は、ムーブやテクニックを理解して、実践してみてくださいね。