八王子で開催された世界選手権では、日本の選手が活躍していました。スポーツクライミングは、オリンピックでメダル獲得も期待できる種目でもあります。
スポーツクライミングのルールや種目別の見どころ、注目の選手を押さえておけばより楽しく観戦できるでしょう。
スポーツクライミングとは?
スポーツクライミングは、岩場でのフリークライミングを起源として生まれたスポーツです。岩場ではなく壁に設置されたホールドを使い登っていきます。
種目としては、リード、ボルダリング、スピードの3つがあります。種目ごとに争うポイントは異なりますが、どの種目も岩場でのフリークライミング同様に、自分の体のみを使って登っていきます。
W杯や国内では、ボルダリングのみ、リードのみといった形で種目別に大会が開催されることも多いです。オリンピックのように、3種目の総合を競う種目は、コンバインドや複合と呼ばれています。
シンプルに登るという行為ですが、競技が違うだけで難しさや見どころが異なり、選手によって得手不得手もあるため、競技の最後まで緊張感を持って楽しめます。
リードの見どころ
リードは、10メートルを超える壁に設置された課題を登り、どこまで登れたかという高度を競います。命の危険がある高さのため、ロープを支点にかけて安全を確保しながら登っていきます。
距離が長いため、持久力や戦略も重要になります。世界レベルの大会では、いくつかの難しいポイントを乗り越えられるかで順位が変わっていきます。一つのルートにつき6分間の競技時間となります。
高い壁を登る、ロープでの支点確保を必要とするといったところから、スポーツクライミング3種目の中では最もロッククライミング感がある種目とも言えるでしょう。
ボルダリングの見どころ
ボルダリングは高さ5m以下の壁を命綱を使用せずに登る種目です。複数の課題があり、その課題を制限時間内にいくつ登れたかで競われます。
他の2種目と違い、手が離れて落下してしまっても、制限時間内であれば何度でもチャレンジできます。そのため、難易度は高く、選手のダイナミックなムーブが一番見られる種目でもあります。
課題の完登数が同じ場合は、それぞれの課題に定められたゾーンと呼ばれる高度に達した数で順位が決まります。この数も同じ場合は、完登した課題へ何回チャレンジしたかで決まります。
オリンピックでは同日に3種目を行うため、ボルダリングを得意とする選手はいかに少ないチャレンジで課題を登り切るかというところも大事になるでしょう。
スピードの見どころ
スピードは、その名前の通り速さを競う種目です。あらかじめ決められたコースを相手より早くゴールまで登れるかどうかで競います。
コースの難易度としては、出場選手にとってはさほど難しいものではありませんが、いかに早く登るかというところでミスが生まれることも。
予選では2本登り、早いタイムが採用されます。決勝トーナメントについては、予選タイムを参考に対戦相手が組まれ、先にゴールをした方が勝ち進んでいく方式となります。
対戦相手に応じて、自己ベストは出ないけれどミスの少ない手で行くのか、自己ベストを狙わないと勝てないとミスを覚悟で行くのかといったところも、勝負を左右するポイントとなるでしょう。
注目の選手をご紹介
先に開催された世界選手権でも多くの日本人選手が活躍しました。強い選手が多いということはそれだけ国内の代表争いも熾烈ということです。
ここではオリンピックに向けて注目の選手をお伝えします。
男子
楢崎智亜選手
世界選手権でのコンバインドで優勝を飾り、オリンピック代表に内定しました。ボルダリングでも優勝しており、メダルが期待される選手の一人です。
楢崎明智選手
楢崎智亜選手の弟である明智選手も注目です。世界選手権でのコンバインドでは惜しくも5位でしたが、まだ20歳と若くこれからの成長にも期待です。
原田海選手
世界選手権コンバインドでは4位の成績を収め、昨年の世界選手権ではボルダリングで優勝もしています。明智選手と同じく20歳で、残りの代表枠を争います。
女子
野口啓代選手
世界選手権コンバインドで2位となり、オリンピック代表に内定しました。ボルダリングのW杯年間優勝を複数回飾っている日本を代表する選手です。
野中生萌選手
ボルダリングでのW杯優勝の実績と、スピード種目での日本記録を持ち、世界で戦える実力を持つ選手です。
まとめ
ハイレベルな戦いが繰り広げられること必至の東京五輪、スポーツクライミング。3種目それぞれに違った面白さがあります。
順位が各種目の掛け算で決まるため、最後の種目で順位が変わることも多く、最後まで楽しめる競技となっています。
そんな競技の終わりまで楽しめるスポーツクライミング、ぜひ観戦してみてはいかがでしょうか。