スポーツクライミングとは? オリンピックでメダルが期待できる強化選手もご紹介

オリンピックの正式追加種目となった「スポーツクライミング」ですが、実際“何が種目なのか”分からない人も多いでしょう。

ここでは、スポーツクライミングについて分かりやすく&詳しくご紹介します。

また、気になるオリンピック強化選手について、過去の成績なども含めお伝えいたします。

これを機に、スポーツクライミングについてマスターしちゃいましょう!

スポーツクライミングとは?

スポーツクライミングは、大きく分けると①ボルダリング、②リードクライミング、③スピードクライミングの3つに分かれます。

どんな種目なのか、ひとつひとつ詳しくお伝えします!

スポーツクライミング①ボルダリング

ボルダリングとは、人口壁についている突起物(ホールド)を使いながら、決められたルートを登るスポーツです。

約3~5mの高さで、垂壁や傾斜がついている壁など、さまざまな形状の壁があります。

オリンピックの種目であるボルダリングのルールは、高さ4mくらいの壁に、極限にまで難しくされた課題をセット。

制限時間は4分間あり、時間内に登られる課題数を競い、トップ(最上部・ゴール)のホールドを両手で保持ができたら、その課題は完登となります。

課題にトライしている最中に落ちても、再度同じ課題にトライすることが可能。

傾斜が強い壁もあり、自分の能力を考えながら登らなければいけないので、頭と身体を柔軟に使うことが必要なんです。

他の選手が登っている姿を見ることができない、オンサイト方式となります。

スポーツクライミング②リードクライミング

リードクライミングは、登る人と地面で安全確保をする二人三脚で行なうスポーツです。

登る人をクライマーといい、安全確保をする人をビレイヤーといいますよ。

オリンピックの種目になったリードクライミングは、高さ15m以上の人口壁をどこまで登られるかを競います。

人口壁にはあらかじめクイックドローがついてあるので、ロープをかけながら登り、トップ(最上部のクイックドロー)にロープをかけることで完登。

完登した選手、または同じ高さまで登った選手がいた場合は、タイムのいい選手が上位となるんです。

他の選手が登っている姿を見ることができない、オンサイト方式となります。

スポーツクライミング③スピードクライミング

オリンピックのスピードクライミングは、高さ15m、95°に全傾した2つの壁に、世界共通のスピードルートに設定しています。

選手は安全確保のロープを装着し、トップロープで登りますよ!

スピードクライミングは、完登までのタイムを競うので、選手には瞬発力が必要なんです。

ただし、フライングをしてしまうと一発で失格。

スピードクライミングは、男子が完登まで約5~6秒、女子が約7~8秒と、とても速いので目が離せませんよ。

スポーツクライミング強化選手とは?

東京2020オリンピック競技大会でメダルを獲得するために、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会が最優先で強化する選手のことをいいます。

スポーツクライミング強化選手に選ばれた選手の中から、オリンピック選手が決定しますよ。

どんな選手が強化選手になれるの?

誰でも強化選手になれるわけでは、ありません。

いろいろな大会でいい成績を残さないと、強化選手になることができないんですよ。

どんな人が選手になれるのか、第4期JMSCAオリンピック強化選手の選考基準は以下になります。

決められた基準をクリアした選手の中から、基準となる実績によってランク分けが行なわれます。

Sランク

・世界選手権2018 6位以内
・アジア競技大会2018 1位
・アジア選手権2018 1位
・コンバインドジャパンカップ2019 1位

Aランク

・Sランクの選手を除き、複合ポイントの上位者男女3名ずつ

Bランク

・コンバインドジャパンカップ2019に出場した、S・Aランクの選手を除き世界選手権2019への出場権を得た選手。

2019年に開催予定の、

・第14回ボルダリングジャパンカップ
・第32回リードジャパンカップ
・第1回スピードジャパンカップ

上記大会の順位ポイントを乗算し、その複合種目の複合ポイントを使って決定します。

誰が強化選手を決めるの?

公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会が最終的な決定をいたします。

公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会は、全国47都道府県山岳連盟(協会)/山岳・スポーツクライミング連盟(協会)、及び(公財)全国高等学校体育連盟登山専門部が加盟して構成されている日本を代表する山岳・スポーツクライミング団体です。

引用:https://www.jma-sangaku.or.jp/?ca=1

強化選手になるとどうなるの?

強化選手になると、東京2020オリンピックに出場できる可能性が高いことは分かったと思います。

強化選手になると3つの義務があるんですよ!

① 当協会が定める規程やルールを遵守すること。
② 強化委員会がJMSCAオリンピック強化選手に対し指定した大会・合宿・練習会・研修会等に参加すること。
③ その他、強化委員会の指示に従うこと。

強化選手になると、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会が指定した大会や合宿などに参加する必要があります。

日本の中でも強い選手を集めて、より強化し、メダル獲得を叶えるための合宿や練習会があるんですよ。

引用:https://www.jma-climbing.org/article/2019/01/16/jmsca-olympic-athletes-lV/

強化選手の特典とは?

強化選手になると、受けられる特典があります。

すべての国際競技大会や強化合宿、強化練習会などに、強化選手はもっとも優先されて参加できます。

さらに、交通費や宿泊費等、選手が負担するのではなく、補助してもらうことができるんですよ。

※男女合計8名ないし7名が選出された場合でも補助の上限は6名分

強化選手が掲げる目標とは?

強化選手は、東京2020オリンピックで、金メダルを含む複数のメダルを獲得すること、また各大会で優勝し、最大参加人数の日本人選手を出場させることが目標です。

目標のために強化選手は、大会でいい成績を残すことはもちろん、練習会や研修会など、技術をより高める努力が必要なんですよ。

ボルダリングはメダルを期待される種目でも有名です。より多くのメダル獲得のために、選手のみなさんには、頑張ってほしいです!

男女別強化選手のご紹介

ここでは、男女別に2019年5月時点の強化選手をご紹介します。今までどんな大会で成績を残していたのかなど、詳しくご紹介します。

男子強化選手は6名!

国内外の大会で優勝をしたことのある選手や大会上位選手、あわせて6名が強化選手に登録しています。

ひとりひとりについて、お伝えしていきますよ!

楢崎 智亜(ならさき ともあ)

 

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1996年6月22日生まれ。身長169cm、栃木県出身。

成績

IFSC クライミング・ワールドカップ 呉江 2019 (ボルダリング) 1位
IFSC クライミング・ワールドカップ 重慶 2019 (ボルダリング) 2位
IFSC クライミング・ワールドカップ マイリンゲン 2019 (ボルダリング) 2位
IFSC クライミング・ワールドカップ ヴィラール 2018 (リードクライミング) 3位
IFSC クライミング・ワールドカップ ベイル 2018 (ボルダリング) 3位

フィジカルモンスターといわれている楢崎智亜選手。わずか2年で世界のトップに立つという、勢いのある選手なんですよ!

藤井 快(ふじい こころ)

 

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1992年11月30日生まれ。身長 175cm、静岡県出身。

成績

IFSC クライミング・ワールドカップ 呉江 2019 (ボルダリング) 5位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (リードクライミング) 1位
IFSC クライミング・ワールドカップ 重慶 2018 (ボルダリング) 1位
アジアカップ 万仙山 2017 (ボルダリング) 1位
アジアカップ 万仙山 2017 (リードクライミング) 2位

都内にあるジムで働く、会社員クライマー。ウエイトトレーニングを取り入れて、さらに肉体改造をしているんだとか。

原田 海(はらだ かい)

 

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1999年3月10日生まれ。身長168cm、神奈川県出身。

成績

IFSC クライミング・ワールドカップ 呉江 2019 (ボルダリング) 2位
IFSC クライミング・世界選手権 2018 (ボルダリング) 1位
IFSC 世界ユース選手権 モスクワ 2018 (リードクライミング) 3位
IFSC 世界ユース選手権 モスクワ 2018 (ボルダリング) 3位

10歳から競技を始めた原田海選手は、保持力が強いと有名。リーチの長さは180cmと身長よりもかなり長い。

緒方 良行(おがた よしゆき)

 

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1998年2月4日生まれ。身長172cm、福岡県久留米市出身。

成績

au SPEED STARS 2019 5位
IFSC クライミング・ワールドカップ モスクワ 2019 (ボルダリング) 3位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (リードクライミング) 5位
IFSC クライミング・ワールドカップ ミュンヘン 2018 (ボルダリング) 4位
ワールドゲームズ 2017 (ボルダリング) 優勝

小学5年生のときに、姉が見つけたジムでクライミングに出会う。第二のオリンピックといわれる大会で優勝と成績を残している。

是永 敬一郎(これなが けいいちろう)

 

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1996年2月16日生まれ。身長160cm、埼玉県出身。

成績

チャイナ オープン 広州 2017 (リードクライミング) 4位
IFSC クライミング・ワールドカップ 廈門 2017 (リードクライミング) 1位
IFSC クライミング・ワールドカップ アルコ 2017 (リードクライミング) 5位
ワールドゲームズ 2017 (ボルダリング) 優勝

静岡県内のジムで、アスリートスタッフとして勤務。東京オリンピックはもちろん、パリオリンピックも視野に入れ、日々活動している。

土肥 圭太(どひ けいた)

 

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2000年10月17日生まれ。身長171cm、神奈川県出身。

成績

IFSC クライミング・ワールドカップ  呉江 2019 (ボルダリング) 4位
FISE World Series Hiroshima 2018 (ボルダリング) 3位
IFSC 世界ユース選手権 インスブルック 2017 (ボルダリング) 2位
IFSC クライミング・アジアユース選手権 シンガポール 2017 (ボルダリング) 1位

今後に期待できる選手。自身で強化ポイントを見極め、トレーニングに励んでいる。

女子強化選手は6名!

女子の強化選手は6名。ボルダリング女王と呼ばれる選手から、より成長を期待される選手など勢ぞろいです。

ひとりずつご紹介します!

森 秋彩(もり あい)

2003年9月17日生まれ。身長154cm、茨城県出身。

成績

IFSC クライミング・ワールドカップ 呉江 2019 (ボルダリング) 3位
アジアユース選手権2018 (ボルダリング) 4位
アジアユース選手権2018 (リードクライミング) 2位
IFSC 世界ユース選手権 インスブルック 2017 (リードクライミング) 1位
IFSC クライミング・アジアユース選手権 シンガポール 2017 (リードクライミング) 1位

1年間で体重を8kg増やし、力強い登りに進化を遂げた。パワー系のトレーニングに力を入れていて、2024年のパリオリンピックを見据えている。

野口 啓代(のぐち あきよ)

 

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1989年5月30日生まれ。身長165cm、茨城県出身。

成績

IFSC クライミング・ワールドカップ 呉江 2019 (ボルダリング) 2位
IFSC クライミング・ワールドカップ 重慶 2019 (ボルダリング) 2位
IFSC クライミング・ワールドカップ マイリンゲン 2019 (ボルダリング) 2位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (複合) 1位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (リードクライミング) 2位

ボルダリング女王と呼ばれている。小学生のころ、中高生を抑えて優勝。現在にいたるまで、さまざまな大会で輝かしい成績を残している。

伊藤 ふたば(いとう ふたば)

 

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2002年4月25日生まれ。身長160cm、岩手県出身。

成績

au SPEED STARS 2019 (スピードクライミング) 8位
IFSC クライミング・ワールドカップ 呉江 2019 (ボルダリング) 7位
IFSC クライミング・ワールドカップ 重慶 2019 (ボルダリング) 5位
IFSC クライミング・ワールドカップ モスクワ 2019 (ボルダリング) 6位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (ボルダリング) 1位

小学校3年生からクライミングを始める。2014年から公式大会に出場するようになり、2017年のボルダリングジャパンカップで野口啓代と野中生萌を抑え優勝した。

野中 生萌(のなか みほう)

 

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1997年5月21日生まれ。身長162cm、東京都出身。

成績

au SPEED STARS 2019 (スピードクライミング) 5位
IFSC クライミング・ワールドカップ 呉江 2019 (ボルダリング) 4位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (複合) 2位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (スピードクライミング) 6位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (ボルダリング) 4位

「ただ強いクライマーになること」が目標。史上初の金メダルを獲得するために、日々奮闘している。

谷井 菜月(たにい なつき)

 

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2003年9月23日生まれ。身長154cm、奈良県出身。

成績

アジアユース選手権2018 (ボルダリング) 1位
アジアユース選手権2018 (リードクライミング) 2位
IFSC 世界ユース選手権 モスクワ 2018 (ボルダリング) 1位
IFSC 世界ユース選手権 モスクワ 2018 (リードクライミング) 1位

恥ずかしがり屋の負けず嫌い。身体づくりに重点を置いて、パワーと持久力を強化している。

小武 芽生(こたけ めい)

 

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1997年5月18日生まれ。身長154cm、北海道出身。

成績

IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (リードクライミング) 3位
IFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 2018 (ボルダリング) 3位
IFSC クライミング・ワールドカップ 廈門 2018 (リードクライミング) 5位
IFSC クライミング・世界選手権 2018 (リードクライミング) 4位

食べることが好きなことから栄養学を学ぶ。小さな体からパワフルな登りをする選手。

まずは大会で成績を残す! 日々の練習に力を入れよう!

オリンピックの追加種目にもなった「スポーツクライミング」。オリンピック出場を目標にしている選手も多いでしょう。

オリンピック出場するためには、さまざまな大会で良い成績を収めないといけません。

そのためには日々の練習に力を入れて、どんどん大会に出場し経験値&成績を上げていくことが大切ですよ。

ぜひ、オリンピック出場を目標にしている人は、日々のトレーニングを頑張ってくださいね!

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