ボルダリングとは違い、命綱のロープを使用するロープクライミング。高度があり、万が一転落してしまうと命に関わる怪我を負う可能性が高いです。
そんなクライマーの安全確保を行う人をビレイヤーと呼びます。クライマーの身を守るビレイについて、ビレイヤーに求められる技術や使用する道具についてもご紹介します。
そもそもビレイとは何だろう?
ボルダリングは一人で出来ますが、ロープクライミングは一人では出来ません。その理由は、ロープクライミングではビレイが必要となるからです。
ビレイは安全確保という意味であり、登っていく高度が10mを超え、岩場によっては数十mになることもあるロープクライミングでは、命綱を使ったビレイは必須となります。
ビレイに必要な道具を用いて、クライマーの安全を確保する役割を担う人がビレイヤーと呼ばれます。
ビレイヤーはただクライマーの命綱を預かっているだけではなく、クライマーが負担を感じることなく登れるように配慮することも求められます。
ロープクライミングにはトップロープクライミングとリードクライミングがあり、トップロープクライミングは、ロープがゴール地点にかかっている(命綱の支点がゴールにある)スタイルです。
安全性が高く、初心者はまずこちらから始めていきます。
リードクライミングは、クライマー自身がロープを支点にかけながら登るスタイルです。難易度が高く、支点をかける動作の途中で落下してしまう可能性もあるため、クライミングのレベルがある程度上達した人向けと言えます。
確認の不備やビレイヤーの不注意で起こりうること
ビレイヤーとクライマーの双方で装着した道具に不備がないかを確認することは、基本中の基本とも言えますが、忘れてはいけない大事なことです。
装備不良でのクライミングは命綱無しでビル数階分の高さに挑んでいるようなものです。ビレイヤーは万が一に備えて、常にクライマーの様子に気を配らなければいけません。
ビレイヤーの不注意で、クライマーの落下時に対応が遅れてしまえば、クライマーの命に関わる問題ともなり得ます。
リードクライミングにおいて、特に注意が必要と言われるのが、最初の2〜3クリップ目の間です。
この間で落下をするとグラウンドフォール(地面への直接落下)する可能性が高くなります。グラウンドフォール以外にも、落下の際には岩壁へ衝突する危険性もあります。
ビレイに必要な技術
ビレイヤーが習得すべき技術として、クライマーの安全を守ることと、クライマーがストレスを感じることなく安心して登ることができるエスコートの役割の2つが挙げられます。
一つ目の安全については、ビレイ本来の意味からも何より必要とされるものですが、ビレイヤーの技術によって大きく変わります。
先にお伝えしたグラウンドフォールの可能性が高い場面での落下と、ゴール近くの高度のある地点での落下では用いられる技術も変わっていきます。
具体的な技術として、ダイナミックビレイとスタティックビレイの2つがあります。
ダイナミックビレイは、ビレイヤーがロープを流すことでロープや支点、クライマーに急激な負荷がかからないようにする方法です。
スタティックビレイはロープを流さないため、視点やロープに大きな負荷がかかり、クライマーの体も大きく揺れて岩壁に衝突する可能性もあります。
どのように安全を確保するかというところは、知識だけではなくビレイヤーとしての経験を積むことが必要です。
ダイナミックビレイの方が安全性は高いですが、グラウンドフォールを回避するにはスタティックビレイを用いなければいけないという状況もあるでしょう。
ビレイに必要な道具
ビレイに必要な道具は、腰と足に装着して体とロープを繋ぐ役割を持つハーネス、穴にロープを通して使用するビレイデバイス、ビレイデバイスとハーネスを繋げるカラビナが基本となります。
これらの道具については、ロープクライミングを実施しているクライミングジムでレンタルできますので、持っていないと体験できないということはありません。
この他に、ビレイグローブはロープの摩擦から手を守り確実にビレイを操作するために持っておいた方が良いでしょう。
クライミングジムでのビレイには必要ありませんが、外岩でビレイを行う際には寒さをしのぐために防寒性の高いビレイヤーパーカーを着用することもあります。
まとめ クライマーのレベルが上がることでもビレイ技術は向上する
ビレイヤーを任されるということは、クライマーの命を預かることとも言え、初心者だからと言い訳がきかないものでもあります。
リードクライミングを自分自身で経験することで、どのようにしたらクライマーが登りやすいか、安心して登れるかというイメージがつきやすくなります。
ロープクライミングに興味がある方はぜひ、ビレイ技術の習得も合わせて体験してみてはいかがでしょうか。