突然ですが、筆者夫婦は新婚旅行をしていません。
多くの人は「結婚したら新婚旅行に行くのが当たり前」と思っているかもしれませんが、少なくとも筆者夫婦はそうではありませんでした。
今回は、そんな筆者のリアルな体験を交えながら、「幸せな結婚生活の始め方」についてお伝えします。
「新婚旅行に行かなかった」と聞くと、「お金がなかったのかな?」「夫婦仲が悪いの?」といった先入観を持つ人もいるかもしれません。
でも、実際にはさまざまな理由で新婚旅行をスキップするカップルがいます。
たとえば、どうしても仕事のスケジュールが合わなくてスキップするカップルもいるでしょう。
共働き夫婦が増えた今、「長期休暇を一緒に取れない」という声も多く聞かれます。
もちろん金銭的な理由でスキップする(あるいはスキップせざるを得ない)カップルもいるでしょう。
結婚式、引っ越し、家電購入…結婚には何かと出費がかさむものです。タイミングによっては、新婚旅行の費用を捻出できないという現実的な事情も。
夫婦揃ってそもそも旅行があまり好きでないというパターンもあります。
「混雑している時期に無理して行かなくてもいい」と考える合理派カップルもいるでしょう。
筆者夫婦も割とこれに近く、妻も私も旅行にあまり興味がありません。
筆者はとにかく、妻と一緒であればどこにいても楽しいのです。人生の第一の目的が「妻と一緒に日々を楽しむ」ですから、妻と一緒にいられさえすれば旅行に行こうが行くまいがどちらでもいい──という考え方。
なので、相対的に「旅行」というイベントにあまり価値が見出せません。
おそらく妻も同様なので、新婚旅行スキップにあっさり合意。その代わり、日々の幸福度を高めるために投資しながら今日に至ります。
筆者は、数年前に年賀状を出すのをやめました。近年はそういう人が増加傾向にあると言われています。郵便局も、年賀はがきの売上が低迷していると嘆いているとか。
筆者夫婦が新婚旅行に行かなかったのも、割とこれと似ています。
つまり「思考停止して慣習に乗るのではなく、自分たちにとって価値あるものは自分たちで選んでいく」というスタンスです。
慣習に則っておけば考えたり議論したりする必要がありませんから、確かに楽かもしれません。
でも、「より良い方法があるのではないか?」と疑問を持ったり問題提起したりするのは、これから長い時間をパートナーとして共に過ごす人が相手ならなおさら必要ではないかと、筆者は考えています。
新婚旅行に行くのは“新婚だから特別な思い出をつくる”という意図が多いようです。
もちろんそれはそれで素敵なことだし、実際に愛する人との旅行は楽しいものです。
でも、新婚旅行に出掛けるだけの時間と気力と資金があるなら、他にもいろいろな選択肢があるはずです。
仮にスケジュールや金銭的な問題など、新婚旅行の実現が難しい事情があるなら、もう少しハードルを下げて、実現可能なレベルで新婚旅行に代わるものを探すことをおすすめします。
今や多様性の時代です。
新婚旅行はもはや必須ではありませんし当たり前でもありません。
柔軟な視点で、新婚カップルの新たな門出に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。
「新婚旅行に代わるアイデアってどんなものがあるの?」と思う方もいるでしょう。
ここからは、筆者夫婦が実際に行った4つのアイデアをご紹介します。
筆者も妻もおいしいものが大好きです。おいしいものを食べ、おいしいお酒を飲みながら一緒に過ごす時間が我々夫婦の一番の楽しみです。
食事やお酒の質を上げ、日々のQOLを高めました。
たとえば新婚旅行に90万円の予算を組むなら、これから1年間、月に1回は二人で星つきのフランス料理レストランを訪れたり、週に1回は回らない寿司屋で食事を楽しんだりもできるわけです。
我々夫婦は「食事」にコミットしましたが、もちろん食事に限らず、一緒に定期的に映画やイベントを楽しんだり、スポーツを楽しんだりしてもいいわけです。
つまり「共通の趣味に長期的に投資し、夫婦の絆を深めていく」という方法です。
新婚旅行をスキップしたとしても、「いつか行こう」という気持ちを持ち続けることは、将来の楽しみにもなります。
新婚旅行には行けなくても、5周年や10周年で計画するのも良いでしょう。むしろその方がゆっくり楽しめるケースも多いはずです。
“今じゃなきゃいけない”という固定観念を手放せば、「旅行」は結婚生活の中においてより深い意味や価値を持つかもしれません。
新婚旅行に時間や労力やお金をかけない代わりに、筆者がもっともこれらを投じているのがこれです。
たとえば一緒に家庭菜園を始めてみたり、新しい料理にチャレンジしてみたり、家具をDIYしてみたり、週末にはお弁当を作ってピクニックを楽しんでみたり。
新婚旅行ほどの強烈なインパクトはないものの、こうした“日常的な思い出づくり”こそ、夫婦の本質を形づくる大切な機会だと感じます。
とはいえ、菜園をやるにも調理道具を充実させるにもDIYをするにも、最初はどうしてもある程度のお金がかかるものです。
「新婚旅行に使わなかった分をこっちに回している」と考えれば、変にケチになることもなく、どんどん新しい体験に投資できるので、夫婦関係だけでなく個人的な成長機会としてもメリットの大きいやり方だと感じています。
新婚旅行をスキップする代わりに、結婚記念日やパートナーの誕生日に少し贅沢なプレゼントを贈る──という方法もあります。
筆者の場合、美意識の高い妻に、美顔器やマッサージチェアなどを贈っていました。
でも、そもそも妻も筆者もそれほど物欲がある方ではなく、「誕生日を祝ってもらいたい」という年齢でもないので、少しリッチなプレゼントを贈っていたのは、結婚して3~4年頃までだったと思います。
新婚旅行をスキップした分をちょっと贅沢なギフトに回した──と考えれば妥当な線でしょう。
結婚は、ゴールではなくスタートです。そして、そのスタートの切り方は、カップルごとに異なって当然のこと。
「新婚旅行に行かなかった」という選択をネガティブに捉えるのではなく、むしろ「新婚旅行以上に価値あるものを二人で見出すきっかけ」として活用することで、パートナーとして真の信頼関係や絆が生まれるはずです。
打ち上げ花火のように、一発入魂で新婚旅行を派手に楽しむもよし、線香花火のように、小さな彩りを日々に添えて楽しむもよし。
大切なのは「何を選択するか」ではなく、「どんな選択肢を自分たちで用意できるか」ということ。
ぜひ自分達らしい“夫婦の形”を見つけてください。
Written by はるお