セクハラに対する人々の意識が高まり、意図しない形で伝わった発言がトラブルの火種となるケースが増えている昨今。
円滑なコミュニケーションを図るつもりが、実は相手を不快にさせていた――そんな事態はできるかぎり避けたいものです。
そこで今回は、セクハラと受け取られやすい「褒め言葉」の具体例を一挙ご紹介。ぜひ、今後のコミュニケーションの参考にしてくださいね!
「可愛いね」「モテそうだね」――このように外見を誉める言葉は、言い方や関係性によってはセクハラになる可能性が高いため要注意。
たとえ発言した人自身に悪意がなくとも、相手が「評価されている」と感じるか「品定めされている」と感じるか、その差は大きいのです。
特に職場や取引先との打ち合わせなどの公的な場では、こういった発言は不適切とされ、大きな問題となるケースも多いため注意しましょう。
褒め言葉を贈るなら、能力や行動など“中身”にフォーカスしたほうが、お互いにとって心地よいコミュニケーションにつながります。
「やっぱり女の子はこうでなくっちゃ」「女性らしくていいね」。
このように性別による固定観念を押しつけるような誉め方は、相手にプレッシャーや違和感を与えやすい傾向にあります。
特に「女の子なんだから」「男はこうあるべき」といった限定的な言い回しや表現は要注意。
知らず知らずのうちに相手を追い詰めてしまう可能性が高いため、使うのは避けるべきです。
たとえ率直に誉めたつもりでも、相手が「自分らしくいられない」と感じたら、それはもう立派なハラスメントになりかねません。
誉めるときは「あなたらしくて素敵ですね」「その考え方いいですね」など、性別ではなく相手の個性や行動に注目するほうが断然スマート。相手のアイデンティティを尊重した誉め方を意識しましょう。
「若いっていいなあ」「年の割に若く見えるよ」。
このように相手の年齢や若さにフォーカスした誉め言葉や言い回しも、セクハラと捉えられやすいため避けたほうがよいでしょう。
年齢や世代を引き合いに出した発言は無遠慮な印象を与えやすく、受け取る側からすると「どういう意味?」と戸惑うことも。
特に、上下関係を意識させるような言い方は絶対にNG。
言い方や関係性によっては「見下されてる」と感じさせてしまうこともあるため注意しましょう。
会話のきっかけや雑談として、恋人の有無をなにげなく聞く人って結構多いですよね。
しかし、実はこういった質問も相手を不快にさせてしまいやすいため要注意。
そもそも恋愛や異性との関わりはデリケートな話題ですから、答えたくない人もいれば、触れられたくない理由がある人もいます。
特に職場やあまり親しくない間柄で聞くと、「詮索されてる?」「下心があるのかな?」と警戒されてしまうことも。
軽い気持ちで聞いた一言が信頼関係を壊すきっかけにならないよう、プライベートな話題には慎重に向き合いたいですね。
「そのスカート、すごく似合ってるね!」「脚がキレイだからかな」。
このように相手の服装や体型などに言及する誉め言葉も、セクハラと捉えられやすいため注意が必要です。
こちらが善意から口にした言葉だったとしても、相手がどう受け取るかは別問題。
たとえ同性同士でも、言い方によっては「見られている」「評価されている」と感じさせてしまい、相手を不快にさせてしまうことがあるのです。
ファッションや服装を誉めたい場合は「その色、明るくて素敵だね」など、相手を傷つけない無難な表現を心がけましょう。
独身の人に対し、「もったいない」「結婚しないの?」なんて言葉を悪気なく口にしてしまう人、結構いますよね。
中には相手が独身だと知った途端、「いい人紹介しようか」なんて勧めるお節介な人も……。
しかしこれ、相手にとってはグサッとくる一言かもしれません。
言い方や関係性によっては、こうした発言がセクハラと受け取られ大きな問題になるケースもあります。
結婚は人それぞれの価値観やタイミングがあるもの。相手の人生観や結婚観に土足で踏み込むような発言は絶対に避けるべきでしょう。
家事や子どもの相手が得意な人に対して、「いい奥さん(旦那さん)になりそうだね」と、誉め言葉のつもりで声をかける人も結構多いようです。
しかし実はこれも、相手に結婚観や性別による役割の固定観念を押しつけてしまう危険なフレーズの一つ。
このように相手の私生活や将来設計にズカズカ入り込むような発言は極力避けるべき。
相手を不快にさせるばかりでなく、セクハラと受け取られることもあります。
なにげない一言でも、言われた側には重く感じるケースは結構多いもの。誉めるなら性別やプライベートな部分に言及せず、相手の行動そのものを素直に評価しましょう。
相手を傷つけるつもりは全くなくても、ふとした一言がセクハラと受け取られてしまうことは案外多いものです。
何より大切なのは、発言者である自分自身の意図ではなく、相手がどう受け取るかということ。
たとえ誉めているつもりでも、一方的な価値観の押しつけになってしまうと台無しです。
無意識のうちにセクハラ発言をしないためには、相手の外見や年齢、性別、将来の生き方といった“個人の領域”に踏み込むような言葉は口にしないことが大切。
信頼関係が壊れるのは一瞬です。なにげない一言こそ慎重に、常に相手の立場を考慮した言葉選びを心がけましょう。
Written by 糸野旬