付き合っている彼氏や彼女、あるいは夫や妻の携帯電話をつい覗き見したくなったことは、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
パートナーの携帯を見たくなる理由や心理はさまざまだと思いますが、そもそもその行為ってアリなのかナシなのか。
実は法律的にはアウトで、へたをすると賠償責任まで発生する可能性があるこの件について、道徳的観点と法的な観点から考察してみました。
そもそも、パートナーの携帯を覗き見してくなってしまう状況や心理状態とはどんなものなのでしょう?
「自分以外の異性と連絡をとっているのでは……」「メッセージアプリで誰かに自分の悪口を言われているんじゃないか……」
など、基本的には「パートナーへの不信感」から、携帯をこっそり見たくなるケースが多いのではないでしょうか。
筆者も、過去に交際していた女性から携帯を勝手に見られたことがありましたが、やはり原因は「他に女がいるんじゃないか」という筆者への不信感からでした。
逆に、妻から携帯を勝手に見られたことはありませんし、筆者も妻の携帯を勝手に見たことはありません。
相互への揺るぎない信頼や信用があればこそ、相手のプライバシーに干渉する必要がないのだと感じます。
「携帯を勝手に見るのはアリかナシか」というテーマは、おそらく賛否両論でしょう。
浮気疑惑がある男性の携帯を彼女が勝手に見たところで、それを咎める人は多くなさそうです。
むしろ、「彼女を不安にさせた彼氏に責任がある!」と、携帯を勝手に見られた被害者側である男性が責められる展開すらあり得ます。
しかし、逆に束縛が強い彼氏が彼女の携帯を勝手に見たら、おそらく「プライバシーの侵害だ!」「束縛しすぎ!」といった批判が生まれるに違いありません。
また、「携帯を勝手に見るのは、パートナーの浮気を疑っているから」というケースが圧倒的に多いです。
すると、浮気率が低い女性よりも、浮気率が高い男性の方が「パートナーに携帯を見られる確率が高い」ことが考えられます。
この場合、「浮気を疑われるようなことをしているのだから、携帯を勝手に見られても仕方ない」と考える人が多いのではないでしょうか。
つまり、「女性が男性の携帯を勝手に見てもあまり咎められないが、男性が女性の携帯を勝手に見た場合は批判されがち」という結果になりそうです。
男性と女性とで世間の評価が割れそうですが、これは女尊男卑的な差別ではなく、統計的事実に基づいた自然な反応なのかもしれません。
ちなみに男女の浮気率について、インターグロースが運営するWEBメディア「Lovatomy」が調査を行っています。
こちらによると、浮気経験がある男性が22.3%、浮気経験がある女性が18.86%と、男性の方がやや高い結果となっていますが、男女でそこまで大きな差がないのは意外ですね。
参考文献:【調査】死ぬまでに浮気をする人の割合は? 浮気の有無を男女800人が赤裸々回答! | Oggi.jp
さて、気になるのは「パートナーの携帯を勝手に見るのは、法的に問題があるのかないのか」ですよね。
結論から言うと、パートナーの携帯を勝手に見るのは「プライバシー侵害行為」にあたる民事上の不法行為です。
犯罪にあたるわけではありませんから刑事責任を問われることはありませんが、プライバシー侵害により賠償責任を負う可能性があります。
ただし、慰謝料の相場はおおむね50万円以下と、少額になる傾向があるようです。なお、パートナーの携帯電話を操作する行為が犯罪にあたる場合もあります。
たとえば、SNSのパスワードなどを解析して不正にログインした場合や、SNS内のメッセージを勝手に読んだり送受信したりした場合。
これらは「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(通称「不正アクセス禁止法」)といいます)」の違反となってしまいます。
すると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則が適用されます。
この法律はたとえ夫婦やカップル、親子など家族間であっても適用されるため、他人の携帯を勝手に見るのは絶対にやめましょう。
パートナーの携帯を勝手に見るのは、プライバシー侵害となり民法上の不法行為です。
また、パートナーのSNSやアプリなどに勝手にログインすると不正アクセス禁止法に抵触することになり、3年以下の懲役または100万円以下の罰則が科せられる可能性も。
パートナーへの不信感や興味本位などから、ついパートナーの携帯を勝手に見たくなっても、誘惑に負けずにパートナーのプライバシーを尊重しましょう。
もちろんそのためには自分自身の意思の強さだけでなく、パートナーとの良好な関係が大前提です。
パートナーの携帯を勝手に見る必要がないくらいの信頼関係を、しっかりと構築しましょう。
最後に付け加えておきますが、パートナーの不貞行為を証明するための証拠保全として携帯やSNS、アプリ内の情報を閲覧したり保存したりする行為。
これらは、よほどの反社会性や違法性が認められない限り、裁判では証拠として採用されるケースが多いようです。
いずれにせよ、こうした面倒な知恵や知識を頭に入れる必要がないよう、道義や倫理に則った清い生き方がしたいですね。
Written by はるお