先日、厚生省から発表された2023年度の合計特殊出生率が1.2%と過去最低を記録しました。
少し前までは、結婚して子どもを持つことが自然な流れとされてきましたが、近年、家族や夫婦の形や結婚に対する意識が変化し、多様化してきています。
共働きが一般的になりつつある中で、あえて子どもをつくらない「子なし夫婦」を選択する人も増えているようです。
また、共働きが少子化の要因とされがちですが、専業主婦世帯よりも共働き世帯の方が子どもの数が多いという意外な結果が出ています。
この記事では、子なし夫婦が増加傾向する理由や共働き世帯に子どもが多いとされる理由について解説します。
将来、子なし夫婦を選択するか考えている方はぜひ参考にしてください。
近年、あえて子どもを持たない「子なし夫婦」を選択する人が増えています。
子どもができない、欲しくない、など理由は様々ですが、根本的な背景にはどのようなことが考えられるでしょうか。
子育てには、お金がかかるだけでなく、時間も体力も必要です。
自分のことだけではなく、受験や就職など育てる過程で悩みはつきないでしょう。
また、教育費だけではなく、自分たちの老後資金など金銭面で将来に不安がある場合もあえて子なし夫婦を選択する傾向があります。
子どもが生まれると、どうしても子ども中心の生活になります。
手のかかる時期は、趣味や仕事の時間を削って子どもに付き添わなければなりません。
おしゃれなレストランなど子連れNGの場所や週末1人時間を楽しみたい人にとって、「今の自分の生活を変えてまで子どもが欲しいのか」と考える夫婦も多いでしょう。
夫婦2人であれば、子どもがいない分余裕のある生活が送れるからです。
多くの場合、女性は出産、育児でフルタイムの仕事から離れるケースが多いです。
周りのサポートがあったとしても、子育てがメインとなるため、仕事にフルベットできないでしょう。
正社員で働き続けることが難しい場合、キャリアを諦めなければなりません。
一度退職してしまうと、時間が経つほど正社員へのハードルが高くなるでしょう。
その点、子なし夫婦であれば、生活が大きく変わるわけではないので、お互いキャリアを形成しやすいのです。
すべての人が子どもを欲しいとは限りません。
単純に子どもはいらない、必要性を感じない、好きではない、などお互いに子どもを必要としない夫婦もいます。
子どもを持つことのデメリットを強く感じている場合、自然と子なしを選択する傾向があります。
2人の時間を大切にしている夫婦の場合、子なしでいる方が快適と考えています。共通の趣味や旅行など、子どもがいなくても2人で楽しめる時間に満足しているのです。
育児に時間やお金をかけず、2人きりの生活に時間を割くことに魅力を感じているということですね。
仕事と育児を両立する負担がないため、専業主婦世帯の方が子どもの数が多くなるのではないかと想定されてきました。
しかし、直近のデータによると専業主婦世帯の約4割が子なしであり、その割合は共働き世帯を上回っています。
ではなぜ、共働き世帯の方が子どもの数が多いのでしょうか。
まず、理由の1つとして挙げられるのが、世帯年収の違いでしょう。
夫の年収が高いほど、妻が専業主婦になる傾向が高いです。
しかし、共働き夫婦の世帯年収の平均値は、専業主婦世帯よりも多くなっています。
夫婦で安定した収入が確保できるため、専業主婦世帯よりも多くの子どもを持てる可能性が高いのです。
世帯年収が高いほど、子どもにかかる費用を捻出できる傾向があるため、2人目、3人目の割合も共働き世帯の方が多くなっています。
共働き世帯が増加していますが、フルタイムの仕事は横ばい傾向にあり、パートで働く女性の割合が急増しています。
休みや仕事に融通の利くパートという形で、仕事と家事、育児を何とか両立させているのかもしれません。
データの結果だけを見ると、共働き世帯のほうが多くの子どもを育てる余力があるように感じられるかもしれません。
国も女性の社会進出を後押して、子育ても両立して欲しいという願いもあるでしょう。
しかし、実際の所、共働き世帯といっても、正社員で所得に余裕があるからではなく、育児に専念したくても、子どもにお金がかかるため、仕方なく非正規で働きに出ている割合が多いとも読み取れます。
専業主婦でも介護などでサポートがなく子なしを選択せざるを得ない人も多いです。
専業主婦世帯の出生率の低さだけを指摘するのではなく、どういうスタイルであっても子どもを育てやすい環境を作り出すことが重要なのかもしれません。
あえて子どもを持たない子なし夫婦の選択は、これからの時代珍しいものではなくなってくるでしょう。
将来に対して不安が多く、子どもをリスクと捉える層も増えています。
子どもがいることで得られる幸せもあれば、子なし夫婦で2人だけの生活に幸せを感じる場合もあります。
幸せは人それぞれです。周りの目に流されず、一度きりの人生、後悔しない選択をしていきましょう。
Written by 早紀