現代人にとって身近で、なくてはならないという人も多いSNS。しかし、SNSを巡るトラブルは多く、深刻なものもたくさんあるのが現状です。
さて、よくあるトラブルのひとつに「SNSでの誹謗中傷」がありますが、もし、被害を受けてしまっても適切に対処すれば、大きな悩みやトラブルに発展することなく済ませることができます。ここでは、最適な対処法についてアドバイスします。
誹謗中傷とは、悪口や陰口などの意味を持つ「誹謗」と、根拠のないことを言って他人の名誉を傷つける「中傷」という、2つの単語があわさった言葉です。
誹謗中傷とは、心を著しく傷つけるものです。まずは、自分が受けている被害の重大さを認識することが大切です。
誹謗中傷は、刑事では刑法第230条1項の「名誉毀損罪」と同法第231条の「侮辱罪」などにあたる、立派な犯罪行為です。民事では、損害賠償の対象になったり、名誉回復措置を命じられたりすることもあります。ですから、誹謗中傷の加害者は当然、逮捕されたり訴えられたりします。
法務省は2021年、刑法の侮辱罪を厳罰化するべく、公訴時効を現行の1年から3年に延ばし、法定刑を1年以下の懲役か禁錮、または30万円以下の罰金とすることを現行法に追加しました。
誹謗中傷とは、法的、社会的な制裁を受ける必要のある、重大な行為なのです。
誹謗中傷に当たるのは、具体的に以下のようなケースです。
・性格、人間性(人格)、容姿を罵倒、否定すること
・個人情報の暴露
・脅迫など
誹謗中傷と批判は違います。面と向かっていうことができないような攻撃的な表現で相手を傷つけることは、誹謗中傷に当たります。
最も簡単なのは、SNSで誹謗中傷されたとしても、無視することです。
誹謗中傷を書き込む人の多くは、相手がどのような反応をするかを楽しみにしています。そのため、相手が反論してくると面白くなり、さらに攻撃的になって、よりひどいことを書き込むようになります。
しかし無視をし続けると、誹謗中傷を書き込んだ相手は「手応え」がないために次第につまらなくなっていきます。つまり、相手にしないことが一番なのです。
SNSには、ブロック、非表示、ミュートなど、関わりを持ちたくない相手を遮断することができる機能があります。いくら誹謗中傷を無視しても止まない場合は、相手を見えなくすることでストレスを減らしましょう。
誹謗中傷を受けた時は、SNSの運営サイトに報告することも効果的な対策です。
各サイトには、問い合わせフォームや通報用のボタンなど、問題のある投稿を報告できる機能があります。発信者を退会させることができる場合があるので、積極的に利用しましょう。運営側にトラブルを知らせるためにも意味のあることです。
誹謗中傷の書き込みの削除依頼が可能な場合もあります。各サイトによって削除基準が違うため、事前に規約やガイドラインの確認が必要ですが、誹謗中傷に当たるものは削除対象になっていることが多いため、問い合わせてみてください。
「発信者情報開示請求」とは、SNSなどインターネット上で誹謗中傷を行った相手の個人情報の開示を求めるための、法律に基づいた権利です。
この手続きはまず、サイト管理者やSNS等の運営会社から発信者の情報開示を得て、それをもとにインターネットプロバイダや携帯電話会社に発信者の個人情報を開示してもらいます。
開示請求は、個人で行う場合と弁護士に頼んで行う場合の2パターンあります。
個人で請求を行う場合は「任意開示による請求」といわれ、比較的簡単な手続きでできます。しかし、確実に情報を開示してくれるかといえばそうではなく、応じてくれない場合もあるようです。
できるだけ確実に開示してほしいなら、弁護士に依頼して行うことです。コストがかかることがデメリットですが、誹謗中傷した者に対して刑事罰や慰謝料などを望む場合には、おすすめの方法です。
SNSによるトラブルが起きるのは、SNSを利用しているからです。誹謗中傷に悩み続けているのであれば、いっそのことSNSを退会し、悩みのもとを断ち切りましょう。
ただ、SNSのメッセージ機能を利用している人は多く、退会すると困るという人も多いでしょう。その場合は、投稿のみを中止し、過去の投稿についても削除してしまいましょう。
過去の投稿を残しておきたい人は、スクリーンショットや画面収録でデータとして保存しておくことがおすすめです。
インターネットが当たり前のものとして普及している現代では、SNSでの誹謗中傷によるトラブルが数え切れないほど起こっています。
よく、SNSでの誹謗中傷によってひどくダメージを受けていても「よくあるトラブルだから」を見過してしまう人がいますが、それではなんの解決にもなりません。
近年、SNSの誹謗中傷によるトラブル増加に伴い、法律が厳罰化され、行政や民間でのサポート体制も拡充しつつあります。救いの手を差し伸べてくれる機関に相談して、適切に対策しましょう。
Written by さあや