男にとって思わせぶりな女とは、たとえばLINE(ライン)の返信がはやい女子のことです。男って、LINEの返信がはやく来ると「脈あり」と思っちゃうんですね。だからLINEの返信がはやい女子は、男にとって思わせぶりな女なのです。
その女子に思わず恋しちゃって、「好きです」なんてLINEしたら「勘違いしないでよね」と怒られたことがある、というのは「男子あるある」です。
さて今回は、男はホンネでは、思わせぶりな女子のことを好きなのか、きらいなのか、について見ていきたいと思います。あなたはどっちだと思いますか?
LINEの返信がいつもはやく来る女子に、男子は恋します。
がしかし、じつは男はバカではないので、「この子、もしかしたら俺のことが好きなのかな? でも、いや、待てよ。この子、この前の合コンで彼氏がいるとかいないとか、なんか言ってたなあ、彼氏いたっけ? いなかったっけ?」と思います。
そう思っても、彼は「彼氏がいない」ほうに賭けるんですね。LINEの返信がはやい、俺のことが好きそうなこの女子には、きっと彼氏はいないだろうと勝手読みするのが男です。
で、そういうときって、ハッキリと「彼氏いる?」なんて聞けないから、つい曖昧にしたまま「飲みに行こうよ」なんて彼女をLINEで誘って……ということになるんですよね。
相手は思わせぶりな女だから、彼女は「ちょっと溜めて」から、飲みに出てきます。で、居酒屋のカウンターに座って、彼の腕の血管を指でなぞったりしながら一緒にお酒を飲みます。彼は完全にコロッといってます。
お酒が回ってきた頃、彼は彼女に言います。「これからラブホに行って飲もうよ」と。それを聞いた彼女は言います。「わたし、終電で帰らないといけないの」
帰らないと「いけない」……「いけない」とはなんぞ! 彼は焦ります。
彼女は思わせぶりな女です。「ちょっと用事があってね」と言い残して帰っていきます。彼氏と同棲している部屋に帰って、彼氏とエッチしないといけないので、彼女は急いでタクシーをつかまえて帰ります。
うすうす夢とわかっていても、夢を見たい。現実を見たくない。男はこう思っているのです。つまり、詐欺師に上手に騙してもらいたいのです(と言うと言いすぎか)。
なぜ男が詐欺とわかっていて上手に騙してほしいと思うのかといえば、女子からモテる、つまり女子に「いい男ね」と言われないと、生きるのが困難だからです。男の自己評価は、女子が思っている以上に低いからです。
今日も上司のYESマンをやるしかない俺……まちがっていることに「それはまちがっている」と言えない俺……上司の顔色をうかがいつつ定年まで働くしかない俺……そんな俺のどこに、自己評価が高まる要因がありましょう。
だから男たちは、女子に褒めてもらうことで、ホッとしたいし、自分に自信をもちたいし、「モテる俺」を自分で眺めながら「俺もまだイケるやん」と思いたいのです。
だから、思わせぶりな女とわかっていて、みずから進んでその女子とLINEをし、飲みに誘い、飲み代を全額払い、ラブホに誘い、撃沈するのです。
つまり、男は思わせぶりな女のことが好きだけどきらいなんです。きらいだけど好きなんです。そういう、どっちつかずの曖昧な存在が、男にとって思わせぶりな女なのです。
思わせぶりをいかんなく発揮して売上を伸ばす商売に、たとえばキャバクラがあります。キャバクラは、キャバ嬢の思わせぶりなふるまいを勝手読みした男が夜ごと集う場所なのです。
キャバ嬢は、お客さんに好きとも付き合ってあげるとも言わないんですね。ただ「高そうなスーツを着ていますね」とか「おしゃれですね」「優しそうですね」とかと言うだけです。にもかかわらず、男たちはそのキャバ嬢を指名します。「あわよくば」と思うから。
なぜ「あわよくば」と思うのかといえば、先に言ったように、男の自己評価は、女子が思っている以上に低いからです。
こんな俺に興味をもってくれるかわいい女子がいるんだ! 俺に興味をもってくれたということは、食事までは誘ってもOKかな。いや、もう酔いにまかせて、来週ラブホに行かない? と聞いてみようかな――彼はこう思っているのです。
その隣で、キャバ嬢が「男ってバカね」と思っているにもかかわらず。はい、男はバカなのです、ではなく、男って、自己評価が低い、つまり淋しいから、思わせぶりな女子のことが好きだしきらいなのです。
あるいは、きらいだけど好きなのです。そして、好きときらいの間を行ったり来たりしつつ、歳をとります。
知らない人もいるかもしれないけど、高齢者が集うスナックでも、若い男女が集うキャバクラでも、どちらにおいても、男女で似たようなことを繰り広げているのです。それが、この日本における男女の現実なのです。
Written by ひとみしょう