「小賢しい」という言葉は、どういう意味のものなのでしょうか。意味を知らず使ってしまうと、人間関係が悪くなる可能性があります。
そこで、「小賢しい」という言葉の意味を探りながら、「小賢しい人」の特徴や「小賢しい」と思われないための方法をご紹介します。
「小賢しい」とは、goo国語辞書によると「利口ぶっていて差し出がましい」「生意気である」「何かにつけて要領よく振舞っている」「悪賢くて抜け目がない」という意味があります。
いずれの意味も、あまり良い印象ではないようです。また、小賢しい女の特徴として「小利口でなまいき」「ちょっと上から目線」こんなものがあげられます。
それでは、同じ「賢」という漢字が使われている「小賢しい」「賢い」「賢しい」の違いは何でしょうか。
小賢しいは要領よくふるまっていること、賢いは頭の働きが鋭く知能にすぐれていること、賢しいは才知がすぐれ判断力がある・才知があるように見せかけるなどの意味があります。
「賢い」は良いイメージで使われますが、「小賢しい」と「賢しい」はあまり良いイメージの少ない言葉です。そして、「賢しい」よりも「小賢しい」のほうが悪いイメージが強くなります。
「小賢しい」の「小」には「侮る、卑しめる」という意味があり、より批判性の強い表現になります。
「小賢しい」の意味を紹介しましたが、正直あまり良い印象ではないでしょう。「賢い」と言えば褒め言葉になるところを、わざわざ「小」とつけるところに刺々しさも感じられます。
では、「小賢しい人」とはどのような人のことを言うのでしょうか。「小賢しい」行動をすることで、結果的にどのようなデメリットが発生するのかについても紹介します。
「小賢しい」と「賢い」は、似ているようでまったく違うものです。どんなに頭がよくても、相手を不快にさせるようでは心地の良い人間関係を育んでいくことは難しいでしょう。
ここからは、小賢しい人に共通する特徴を紹介していきます。
「小」に「侮る、卑しい」という意味があるように、相手を見下したような上から目線の話し方や態度を取ってくることがあります。
表面には出ていなくても、上から目線の話し方や振る舞いから心の中で周囲を見下していることが自然と出ている人や、自分を大きく見せるために上から目線になる人もいます。
そのような態度をとられた人は不快ですし、対等に協力していく関係が築きにくくなります。
小賢しい人は、自分にとても自信を持っています。
自分に自信を持つということは、決して悪いことではありません。しかし、自信過剰になることによって、現実を受け入れずに自分を過信したり、傲慢な態度をとったりすることがあります。これでは、人間関係にも影響が出てきてしまいます。
小賢しい人は前述の通り、頭が良い人でもあります。
人より一歩先を想定して行動できる、頭の回転の速さがあります。それが故に、自分が損をしないように、常に計算しながら次の行動を考えることができてしまうのです。
小賢しい人の多くは、第一印象が良いのも特徴です。
なぜなら、媚を売るのが得意で、躊躇せず相手を褒めることができるからです。相手の長所を見つけられるような良い目を持っているということでもあります。
そのため、初対面では感じがよく、相手に嫌な印象を与えません。しかし、自分よりも上か下かを判断することによって態度が急変してしまうことがあります。
小賢しい人は、自分をよく見せようとする人が多いです。周りの人よりも自分の方が知識が深い、人より優位に立ちたいという思い、よりよく見せようとしてしまうのでしょう。
そのため、深い知識がないことも知ったかぶりをします。他で聞いたような内容でも、自分が学んできたかのように話してしまうこともあります。しかし、浅い知恵だけではいつかボロが出てしまいます。付焼刃な知識は、使い道によっては不利益を被ることもあります。
小賢しい人は、時に他の人を貶すことがあります。
自分に自信があるため、相手の意見や存在を貶すことで自分を正当化する傾向にあります。また、一歩先を想定しているので今の立場や環境が脅かされるのを恐れ、他の人を貶して自分よりも下に置くことで、体裁を保とうとしている場合もあります。
小賢しい人は、常に正しいのは自分だと思っている人がいます。
自分の意見をきちんと伝えることは、悪いことではありません。議論することで、よりお互いの理解が深まることがあります。
小賢しい人の特徴として、異なる意見と出会ったときに自分の意見が正しいと考えてしまう傾向があります。そのため、よかれと思って相手の説得にかかり、結果的に価値観を押し付ける形になってしまいます。
小賢しい人は、肩書で相手を判断する傾向にあります。
自分にとってプラスかマイナスかという基準に肩書を重要視するのです。肩書はその人の一部ではありますが、あまり気にしすぎると本質を見落としてしまうことにつながります。立場の上の人間が好きなのだと周囲に思われてしまう懸念もあります。
媚びる人を嫌う傾向がありますが、小賢しい人は媚を売るという行動がよく見られます。
自分よりも上の立場の人や、好かれることで自分が得をすると思う人には、周囲の視線もお構いなしに媚を売ります。媚を売る一方で、下の立場の人や自分にとって得ではない人の場合、見下した態度をとりがちです。
結果的に「人によって態度を変える人」と見られ、ネガティブな印象になるでしょう。
小賢しい人は、打算的で常に自分にとって損得を重要視しています。
自分に得があれば積極的に行動しますが、損だとわかっていることには関わろうとしません。会社での関係だけでなく友人関係や恋愛関係など様々な場面で損得勘定をしているため、周囲から見ると自己中心的な人と思われることも少なくありません。
これでは、いざ自分がピンチの時に手を差し伸べてくれる人は減ってしまうでしょう。
小賢しい人は、とにかく自分が損することを嫌います。そのため、ケチな人が多いです。
なんとかしてお金を払わない方法を見つけようとしたり、1円でも損をしたりしないように行動するのです。「絶対に損したくない」という考え方から、頼まれたことに対して交換条件を出してくることも、ケチくさいと思われてしまう要因です。
小賢しい人は、自分が可愛くて自分をいかに良く見せるかということを考えがちです。自分をよく見せ、相手よりも優位に立ちたがるあまり、見栄を張る傾向があります。
見栄を張ることが悪いわけではありませんが、度が過ぎてしまうと周囲から哀れに思われるでしょう。また、見栄を張るために嘘をついたり、大きく見せるために行動したりしなくてはならず、結果的に自分の首を絞めることになる可能性もあります。
小賢しい人は、自分の意見が正しいという考えを持ち、人よりも自分が上でないと気が済まないという面が非常に強いです。そのため、自分を守るために言い訳する人が多いです。
言い訳することで、自分を正当化し時には誰かを盾にして非難を逃れ、自分の立場が悪くならないようにしています。自分を守るために必死になりやすいのです。が、結果的に自分の評価を下げてしまうことになるのです。
平気で嘘をつくことも、小賢しい人の特徴です。その場を取り繕うために、出まかせやその場しのぎの嘘をつく傾向があります。
その場しのぎの嘘は、いずればれてしまいます。しかし、自分では上手くその場を乗り切ったと思っている場合があります。加えて、嘘がばれてしまっても懲りることはなく、反省することもまれです。
その場しのぎで反省する振りをすることはあるかもしれませんが、心から反省しているわけではありません。嘘をつくことに罪悪感がないため、結局同じことを繰り返してしまうのです。
小賢しい人の中には、涙を武器にする人もいます。
自分をよくみせよう、大きくみせようとする小賢しい人ですが、失敗することもあります。失敗しても、言い訳や言い逃れをして、誰かのせいにすることも平気な人です。しかし、どうにも逃げ場がなくなった場合は、泣いてごまかそうとします。
自分が小賢しいからこそ、どんなことでも裏をかいてしまうため、非常に疑い深くなります。
自分の損になるのは絶対に嫌ですので、常に自分が嫌な状況にならないか疑っているのです。
また、自分が持っているような小賢しい考えを相手もしているのではないかと、疑うこともあるでしょう。結果的に、仕事や恋愛関係、様々な面においてなかなか安心感が持つことができません。
さて、今まで「小賢しい人」の16個の特徴を見てきました。読者の方の中には、当てはまると感じた方もいるでしょう。
「小賢しいと思われないためにはどうしたらいいのだろう……」と頭を抱える方もいるでしょう。
小賢しい人には、悪い部分だけでなく良い部分もあります。以下のことに気を付けながら、良い部分を伸ばしていくことでより魅力が増すでしょう。
小賢しい人はついつい損得を考え、自分が得をするなら相手の損はおかまいないという考え方になってしまいがちです。それでは周囲からの評価は悪くなりますし、いざ自分がピンチの時に助けてもらえない可能性もあります。
自分が少しでも得するために、やる必要のない駆け引きはしないように心がけてみましょう。最初は難しいかもしれませんが、他人は味方になりうる存在だと考えるようにしてみましょう。
自分をよく見せるため、頭の中が自分のことでいっぱいな人もいます。まずは、相手の気持ちを考える癖をつけてみましょう。頭の回転が速いという長所を持っている小賢しい人は、本当は人の気持ちを推測するのも上手なはずです。
行動する前に、自分のためより人のためになる行動を優先するよう意識することで、小賢しい性格が改善していくでしょう。
自分一人だけが得をすればいいという考え方を少しでも変えるために、チームワークを意識してみましょう。他の人をライバル視するのではなく、協調・共存する対象として意識するようにします。
例えば、チームを組んで楽しむスポーツやゲームをやってみて、チーム一丸となって勝利や達成することが、どれほど価値があるのかを実感してみることも一つの方法です。
自分の意見や考えは大切ですし、なくしてはいけないものです。小賢しい人は頭の良さから、自分で考えたことは何よりもよい方法だと考えがちです。しかし、自分の意見だけが正しいと思っていては、小賢しさはなかなか改善されません。
頭の回転や情報回収が速いのが小賢しい人の特徴です。その特徴を生かし、自分の考え以外の様々な視点や別の選択肢を情報収集し、物事を判断する癖をつけてみましょう。
小賢しい人は、自分の考えが正しいと思っており、つい良かれと思って周りに自分の意見や価値観を押し付けてしまいます。しかし、考えや価値観は人それぞれです。
周りの意見をしっかりと聞いてみましょう。自分の意見と異なる際は、相手がなぜそのような考えなのか理由を尋ねてみると良いでしょう。
大切なのは、一歩引いて相手の考えや価値観を尊重する態度を示すことです。
自分の非を認めるのは、なかなか難しいことでもあります。失敗をどうごまかすか、どうしたら損をせずにいられるかという思考になりがちです。上手い言い訳や責任転嫁できても、それでは小賢しいと思われてしまいます。
自分の失敗を受け入れて素直に謝ることはとても大切です。失敗をどうごまかすかより、その失敗にどう対応してその後どう生かすかが重要なのです。
他人を下に見がちであると、心から感謝する気持ちがあまり起こりません。
小さなことでも、何かをしてもらったり優しくしてもらったりしたら、「ありがとう」「~してくれて助かったよ」など、素直に感謝の気持ちを伝えましょう。
お礼を言われて嫌な人はほとんどいません。身の回りの人に感謝する気持ちを大切にすることで、周りとの関係を少しずつ変えることができるでしょう。
ここまでは、小賢しいとは何なのか、小賢しい人の特徴はどういったものなのかということを紹介してきました。
では「小賢しい」という言葉はどのような時に使えば良いのでしょうか。使い方を間違えると、相手を傷つけたり、不快に感じさせたりすることになりかねません。
ここからは「小賢しい」という言葉の使い方について見ていきましょう。
「小賢しい」という言葉は、主に人間が対象となるもので、人間の行動や作ったものに対して使用できます。
この言葉は女性にも男性にも使える言葉です。どちらを対象に使うとしても、良い意味の言葉ではないので気を付けましょう。
意味の項目でも述べたように「小賢しい」は必ずしも賢い人を指すわけではありません。決して良い意味での使い方をする言葉とは言えないため、誉め言葉としては使えません。
では、具体的に「小賢しい」を使った例文を見ていきましょう。
例えば、「あの人は、小賢しい口をきく人だ」「彼は、小賢しいやり方で自分の成績を上げようとしている」「お金を払おうとしないなんて、小賢しいやつだなあ」などの使い方があります。
次に「小賢しい」の類語を見ていきましょう。
似ている言葉でも少しずつニュアンスは異なります。「小賢しい」と直接的に言うよりも、やわらかい表現を選んで伝えることも、コミュニケーションにおいては大切でしょう。
「あざとい」という言葉は「やり方があくどい」「ずうずうしく抜け目がない」「小利口である」「思慮が浅い」「あさはかだ」という意味があります。「小賢しい」同様、あまり良い意味ではありません。
しかし、近年では、わざと考えが浅い振りをしたり、子どもっぽい仕草をしたりして、相手の庇護欲をくすぐることに対しても使われています。あざとい仕草だと分かった上で、その仕草を可愛らしいと思ってしまう現象に「あざと可愛い」という表現が使われることもあります。
そのため、決して悪い意味だけで使われるわけではありません。
「小利口」とは「目先のことによく気が付き抜けめがないさま」という意味です。
小利口な人は、目先の判断や分別はできるものの、大事なこと・大局を考えられない人を指す言葉であり、あまりいい意味ではありません。「小賢しい」との違いは、結果的に大局を見失うかどうかというところにあります。
「小賢しい」の意味や「小賢しい人」の特徴を紹介してきました。
どんなに頭が良くても、一緒にいる相手を不快にさせるようでは、お互いが心地良い人間関係を作ることは難しいです。まず大切なことは、小賢しい人の特徴を理解することです。
周りに小賢しい人がいる場合は、振り回されすぎないように付き合っていきましょう。また、自分が小賢しい人だと思った方は、紹介した方法で少しずつ改善することで、心地良い人間関係を築くことができます。
小賢しさによってデメリットが発生する場合もありますが、改善することで持っている強みをより生かすこともできるのです。
Written by 七尾なお