ある調査によると、結納をおこなったカップルは3割だそうです。10組のカップルのなかで3組だけが結納をおこなっており、あとの7組は結納をしないということにしてしまっているそうです。
結納って、釣書とおなじくらいマイナーなものになっているのかもしれません。
釣書って「つりしょ」とか「つりがき」と読みます。関東では身上書(しんじょうしょ)と呼ばれることもあるそうです。じぶんの本籍や学歴、職歴、家族構成、場合によっては身長・体重まで書かなくてはならないそうです。体重を書くのって、ちょっとイヤですよね? 「リンゴ3個分」と書くわけにもいかないし。それに本籍なんて、いまどき運転免許証にも記載しないはずで……釣書ってヤなものですよね。
いまどき釣書を交わす人はいるのか? お見合い結婚の場合は、仲人さんが釣書を交わしましょうと言えば交わすこともあるそうです。でも仲人経験者に聞くと「いまどき釣書なんてw」とも言います。釣書はおおむねマイナーなものになってしまっているのかもしれません。
さて婚約。両家の顔合わせの食事会をもって婚約とします、という家庭もあるそうです。女性側にお金を渡すのもちょっと生々しいので、高級腕時計を贈った、という人もいます。もちろん婚約指輪を買ったという人もいますが、指輪は結婚指輪しか買っていないという人のほうが、話を聞いていたら圧倒的に多い。
正式には、結納とは儀式なんだそうです。古くは平安の時代から、最近では江戸時代のお金持ちの商人たちが、儀式として結納をとりおこなっていたそうです。高価な帯や着物地、それにいわゆる縁起物をなどを贈っていたそうです。着物を着なくなったわたしたちは、高価な着物に相当するお金を贈るということ。
結納って、なにをすればいいのか、どうすればいいのか、というのは、すでにネットにたくさん書かれています。あるいはホテルの結婚のコーナーに行くと、担当者が結納プランを紹介してくれます。そういうところでお話を聞かせていただきつつ、「じぶんたちの場合は、結納をするのか、しないのか。するのであればどのような形でやるのか」を決めるといいのでは?
ただし、あまりネットに書かれていない情報として、「結納の本質は儀式である」ということがあります。これは知っておいたほうがいいでしょう。
結納など、結婚前におこなうべき儀式の歴史については諸説ありますが、たとえば中国の「礼記」に納采(のうさい)や納吉(のうきつ)などの記述が確認できるそうです。納采とは、結婚の話がまとまると男性側の親が女性側の親に挨拶にうかがい贈り物をする儀式のこと。納吉とは、結婚を占った結果、吉と出たことを男性側の家から女性側の家へ知らせる儀式のこと。
なぜこのような儀式があったのか? ご縁をくださったのは神様のおかげ、という思想があったからでしょう。あるいは山あり谷ありの結婚生活のしあわせは、神様抜きに成り立たないという思想が昔からあったからでしょう。
現代もおなじはずです。ご縁は結婚するふたりの意思だけのおかげではないはずです。しあわせは意思ある人為的努力だけでは得られないはず。だから結婚前になんらかの儀式が必要で、それが結納ということでしょう。
つまり結納金は1本(100万円)から、とか、どこかの高級料亭でやらなければならないということは「枝葉の話」であり、結納の本質は儀式、つまり神様に御礼を(心のなかで)申し上げつつ……というところにあると解釈するのが妥当ではないかと思います。
つまり簡素でもいいから、神に感謝する「儀式(のような場をもうける)」というのが、コトの本質では?
Written by ひとみしょう