頑張っているつもりなのに、なぜか仕事でうまく噛み合わない……そんな感覚が続くことはありませんか。特性によって、職場でつまずきやすい場面には共通するパターンがあるようです。今回は、発達障害グレーゾーンの人が仕事で「詰む」と感じやすい場面と、負担を減らすためにできる工夫を紹介します。
複数の作業を口頭でまとめて指示されると、途中の工程を覚えていられなくなることがあります。「さっきの件、どうなった?」と聞かれてから初めて漏れに気づく、というケースも珍しくありません。
メモを取る余裕がないまま次の話に移ってしまうと、抜け漏れはさらに起きやすくなるものです。指示を受けたその場では分かったつもりでも、実際に手を動かす段階で記憶があいまいになっていることに気づきます。
「これもお願い」「あれも急ぎで」と次々に依頼が重なると、どれから手をつければよいか判断できず、手が止まってしまうことがあります。頭の中では整理しようとしていても、締め切りや重要度を瞬時に比較する作業自体に時間がかかりやすいのです。
結果的に、周囲からは「動きが遅い」と見られてしまうこともある一方で、本人としては全力で考え込んでいる最中だったりします。
明文化されていない社内のルールや、その場の空気を読んで動くことを求められる場面で、何をすべきか分からず立ち尽くしてしまうことがあります。
ある女性は、先輩が飲み物を配っているのを見ても手伝うべきか判断できず、後から「気が利かない」と言われて落ち込んだと話していました。悪気があるわけではなく、暗黙のルールを読み取る能力が、他の人よりも低いのです。
決まっていた予定が急に変わると、頭を切り替えるまでに時間がかかり、その場で固まってしまうことがあります。会議の時間が前倒しになった、担当が変わったといった小さな変更でも、心の準備ができていた分だけ動揺は大きくなりがちです。切り替えの早い人には理解しにくい戸惑いですが、本人にとっては小さな出来事ではありません。
「今聞いてもいいのかな」と様子をうかがっているうちに時間が過ぎてしまい、結果的に報告や相談が後回しになることがあります。忙しそうな相手に声をかける踏ん切りがつかず、一人で抱え込んでしまう場面も少なくありません。早めに聞けば数分で済んだはずの話が、後になるほど言い出しにくくなるのです。
指示を受けたらメモを取りながら、最後に「〇〇と〇〇をやればいいですね」と復唱して確認する習慣をつけてみましょう。その場で認識のズレを確認できれば、後から抜け漏れに気づいて焦る場面を減らせます。復唱を挟むひと手間が、後の手戻りを防ぐ一番の近道です。
頭の中だけで優先順位を組み立てようとせず、依頼された内容を付箋やメモアプリに書き出してみましょう。並べて見比べられる状態にするだけで、締め切りの近いものから選びやすくなります。頭の中で抱え込まないことが、判断の速さにつながります。
予定が変わったと感じたら、すぐに動こうとせず一度手を止めて「今何をすべきか」を書き出してみましょう。数十秒でも整理する時間を挟むことで、混乱したまま動き出してしまうことを防げるはずです。落ち着いてから動き出す方が、結果的に早く終わることも多いものです。
「声をかけるかどうか」を毎回その場で判断するのではなく、「作業の区切りごとに報告する」など、あらかじめタイミングを決めておくと動きやすくなります。相手の様子をうかがう時間そのものを減らせるのが利点です。ルール化してしまえば、迷う場面自体が減っていきます。
発達障害グレーゾーンという言葉だけでは、一人ひとりの困りごとの中身までは説明しきれません。ただ、仕事でつまずきやすい場面には共通するパターンがあり、それに合わせた工夫を重ねることで負担は少しずつ減らせます。
大切なのは、自分を責めることではなく、自分がつまずきやすい場面を知り、そこに合った対処法を試していくことだと思います。うまくいかない日があっても、それは工夫の途中経過にすぎません。焦らず、自分に合うやり方を見つけていってください。
Written by Sara