「なんとなく話しづらい」と部下から思われている上司は、実は少なくないようです。本人に悪気はなくても、ちょっとした言動の積み重ねが原因になっていることがあります。
部下と話しているつもりが、気づけば自分の話ばかりになっている上司は少なくありません。経験や意見を伝えることで距離を縮められると感じがちですが、部下からすると「聞いてもらえていない」と感じてしまうことのほうが多いようです。会話を振ったつもりが、いつの間にか一方的な報告会になっている……なんてケースも珍しくありません。
機嫌が良い時と悪い時で部下への対応がガラッと変わる上司も要注意です。ある30代の男性社員は、上司の顔色をうかがいながら相談内容を選んでいたと苦笑いしていました。対応にムラがあると、部下は「今日は話しかけていい日かどうか」を無意識に判断するようになり、それ自体がすでに距離ができている証拠なのかもしれません。
部下が意見を言うと、まず「いや、それは」と否定から入ってしまう上司もいます。本人としては議論のつもりでも、部下からすれば意見を言うこと自体が億劫になってしまうもの。人前で否定された経験が積み重なると、そもそも何も言わなくなるという悪循環に陥りがちです。
褒めるときはあっさり、注意するときだけ熱が入る上司も、合わないと思われやすい典型です。温度差が大きいほど部下は次の対応を予測できず、常に気を張り続けることになりますし、褒め言葉の軽さと注意の重さのギャップが、余計に印象を悪くしていることもあるでしょう。
何かにつけて「昔はこうだった」を基準にする上司も、部下からすると距離を感じやすい相手です。今のやり方を否定されているように聞こえてしまい、素直に話を聞く気持ちが薄れていく……悪気のない思い出話のつもりでも、繰り返されれば説教のように受け取られてしまうのです。
会話のスピードや距離感を自分基準ではなく相手基準に合わせるだけで、部下が話しやすいと感じる場面は確実に増えていきます。話す量を減らして聞く時間を増やすくらいの意識で、ちょうどいいのかもしれません。
意見が違うと感じても、まずは最後まで聞く姿勢を持つこと。それだけで話しかけやすい上司になれますし、「まず聞く」を徹底するだけで、部下の口数は自然と増えていくはずです。
「普通はこうするものだ」という感覚を部下にそのまま当てはめないことも大切です。世代や環境によって当たり前は変わるものだと理解しておくだけで、部下への言葉は自然と柔らかくなっていくでしょう。
合わないと思われがちな上司には、悪気のない言動が積み重なっているケースが多いようです。会話のペースや、否定から入らない聞き方を意識するだけで、部下が感じる距離感はきっと変わっていきます。上司自身が変わろうとする姿勢そのものが、部下にとって何よりの安心材料になるのかもしれません。
Written by 早瀬ゆず