駅の改札やすれ違いざま、わざと肩をぶつけてくる人に出くわしたことがある……そんな経験を耳にすることが増えています。今回は、「ぶつかりおじさん」の心理と、狙われやすい人の特徴を紹介します。
「ぶつかりおじさん」とは、駅や繁華街などですれ違う人にわざと、あるいは無頓着に肩をぶつけておきながら、謝らずに立ち去っていく中高年男性を指すネット発の呼称です。SNS上で目撃談が拡散されたことをきっかけに広く知られるようになりました。
実際にぶつかられた経験を持つ人も多く、単なる都市伝説ではなく、日常の中でたびたび話題に上る現象です。中には無意識に体がぶつかってしまっているだけのケースも含まれますが、明らかに進路をふさぐように近づいてくる例も報告されています。
同じような経験を発信する人が後を絶たないことも、この現象への関心が高まっている理由の一つと言えるでしょう。
ぶつかりおじさんになりやすい男性は年齢を重ねるほど、自分が道を譲られて当然だという意識を強く持ちがちです。長年の役職や立場から、周囲が自分に合わせるのが当たり前だという感覚が染みついてしまうこともあります。その結果、無意識のうちに相手が避けるものだと思い込み、進路を譲らなくなってしまいます。
ぶつかった自覚があっても、謝罪の言葉をすぐに口にできない男性は少なくありません。プライドが邪魔をして、非を認めることに抵抗を感じてしまうのでしょう。ある会社員の男性は、通勤ラッシュ時に肩がぶつかった際、反射的に「相手が避けなかったせいだ」と考えてしまったと打ち明けていました。謝るという小さな行動一つが、意外と大きなハードルになっているようです。
仕事や家庭でのストレスがたまっていると、些細なことでもイライラをぶつけたくなる心理が働くことがあります。満員電車や混雑した歩道といった状況は、そうした苛立ちの矛先が向きやすい場面と言えるでしょう。本人にその自覚がないまま、体がぶつかることで無意識にストレスを発散しているケースもあるようです。本人にとっては些細なストレス発散のつもりでも、ぶつかられた側にとっては不快な出来事として記憶に残ってしまいます。
わざと強く肩をぶつけることで、相手を威圧し、優越感を得ようとする心理が働いている場合もあります。特に、自分より弱そうに見える相手を選んで接触してくるケースが目立つと言われています。日頃の不満や劣等感を、力の誇示という形で発散させているのかもしれません。
スマートフォンの画面や足元ばかりを見て歩いていると、相手の接近に気づきにくくなります。視線が下を向いている人ほど、避ける動作が遅れやすく、結果としてぶつかられやすくなってしまいます。周囲の状況を把握できていないこと自体が、標的にされやすい理由の一つと言えるでしょう。
歩きスマホをしている人は、周囲の状況への反応がどうしても遅くなりがちです。人の流れや相手との距離感をつかみにくくなるため、避けるタイミングを逃してしまうことがあります。画面に集中するあまり、すぐそばまで人が近づいていることに気づかないケースも珍しくありません。
イヤホンで音楽や動画に集中している場合も、周囲の足音や気配に気づきにくくなり、同じようにぶつかられやすくなることがあります。
体格が小柄な人や、物腰が控えめな人は、威圧しやすい相手として無意識に選ばれてしまうことがあるようです。強い態度に出られても反撃されにくいという、身勝手な思い込みが背景にあると考えられます。実際の力関係とは関係なく、見た目の印象だけで標的にされてしまうこともあるのです。
ぶつかりおじさんに遭遇しないための特効薬はありませんが、意識できることはいくつかあります。歩きスマホを控えて周囲に視線を向けておくだけでも、接近にいち早く気づきやすくなります。混雑した場所では、進路を早めに変えたり、少し立ち止まって流れをやり過ごしたりするのも一つの方法です。
相手の心理がどうであれ、自分の身を守る意識を持っておくことが、日々のちょっとしたストレスを減らす近道になるはずです。
Written by 紬(つむぎ)