長期間にわたる過度なストレスにより心身が疲弊し、何をしても楽しいと感じられなくなる「燃え尽き症候群」。
重要なのは、早期に気づき適切な休息やサポートを得ることです。
自分自身の限界を知り、無理をしない生き方を心がけることが、燃え尽き症候群の予防と回復の鍵となります。
そこで今回は、燃え尽き症候群になりやすい人の特徴や行動パターンについて、具体的なエピソードを交えながらお伝えします。
「頑張らなくてもいい」「無理しなくていい」と自分に言えるようになるためのヒントを、一緒に見つけていきましょう!
燃え尽き症候群とは、長期間にわたる過度なストレスや過労、感情的な消耗などにより心身が極度に疲弊し、やる気や活力を失った状態を指します。
燃え尽き症候群の症状の出方は、人によってそれぞれ異なります。
「教師として働いていた時、授業準備や生徒指導に追われ、休む暇もなく過ごしていました。毎日遅くまで仕事をしても、次々にやるべきことが増えるばかり……。
しだいに意欲が湧かなくなり、仕事中に無力感を感じるようになってしまいました」(男性/30代/教師)
「介護の現場では、過度な労働と精神的なプレッシャーが原因で心身の不調が続きました。
利用者さんのケアを最優先にして、休憩もほぼ取らずに働き続ける日々。これ以上は無理だと思い、最終的には休養を取る決断をしました」(女性/20代/介護士)
上記のように、燃え尽き症候群は自分の限界を超えて他人のために尽くすタイプの人が陥りやすい症状といえます。
それでは、燃え尽き症候群になりやすい人の特徴5つについて詳しくみていきましょう。
完璧主義な人は「物事を自分一人で完璧になしとげたい」という思いが人一倍強いです。
失敗を恐れるあまり人に頼ることがなかなかできず、一人で頑張りすぎた結果、燃え尽き症候群に陥ってしまうというケースも多いのだそう。
このタイプの人は、誰もがするような小さなミス一つでも、自分をひたすら責めてしまう傾向にあります。
燃え尽き症候群に陥らないためには、普段から「完璧でなくても大丈夫」と意識することが大切。
完璧でなくても、誰かに頼ることでバランスを取っていくのが社会人のたしなみです。
もともと自己肯定感が低い人は、自分の働きに対して「もっとやれるはず」「こんな程度で満足してはいけない」と感じることが多いんですよね。
たとえば、実際に燃え尽き症候群に陥ったAさんは、同僚や上司から褒められても、「本心ではないのでは」と疑ってしまい、何をしても自分に満足できなかったといいます。
さらに、「もっと良い結果を出せたのでは」「あのときもっとこうすべきだった」と過去の反省にとらわれ、仕事が終わっても気持ちが休まらない日々が続いたそう。
真面目で責任感が強いのは日本人の美徳ですが、自分で自分を追い詰めた結果、身体を壊してしまっては元も子もありません。
まずは、自分を受け入れてくれる友人や家族、同僚と積極的に関わりましょう。
自分に対して「お疲れさま」「よく頑張ったね」と声をかける習慣をつけるのも効果的ですよ。
一つのことにのめりこむと周囲が見えなくなるタイプの人も、知らず知らずのうちに自分自身を消耗させてしまうため要注意。
たとえば、かつて恋愛をきっかけに燃え尽き症候群に陥ったことのあるBさんは、恋人との関係維持に全力を尽くすタイプの女性でした。
付き合っていた彼との関係が深まるにつれ、彼のために尽くすことが自分の役目だと感じていたといいます。
最初は楽しくデートを重ね、彼の喜ぶ顔を見て幸せを感じていたBさん。
しかし、しだいに「自分が彼にとって必要不可欠な存在でなければならない」というプレッシャーを感じるようになったのだそう。
加えて、彼から期待していた反応が返ってこないことが続くと、だんだん気力を失っていきました。
最終的には、無理に彼との関係を続けるのではなく、自分を大切にすることを選んだBさん。
このように、仕事だけでなく、恋愛や友情においても自分のペースと心の余裕は何より大切です。
普段から人付き合いが少ない人も、燃え尽き症候群に陥るリスクが高いといわれています。
一例として、フリーランスのWebデザイナーとして働くCさんのケースをみてみましょう。
Cさんは長きにわたり、在宅で一人作業を続ける生活を送っていました。仕事の依頼はすべてメールやオンラインミーティングで完結。
一人きりで仕事に集中できる環境は快適でしたが、気づけば誰とも直接会話をしない日が何週間も続くこともあったといいます。
そんな中、大きなプロジェクトの納期が重なり、クライアントからの厳しい要望が相次いだときのこと。
相談相手もおらず、一人で抱え込んで作業を続けた結果、仕事を完成させた途端に強い虚無感に襲われたそう。その後、しばらくは何もする気力が湧かない日々が続きました。
Cさんは「誰にも話せない孤独感が思った以上に自分を追い詰めていた」と当時をふり返ります。
このように、人との交流の機会が少ない人は無意識にストレスをため込むことがあるため要注意です。
普段から仕事量が過剰でオーバーワークに陥りがちな人も、言うまでもなく注意が必要です。
休息やプライベートの時間が思うように取れず、しだいにその状況が当たり前になっていませんか?
「長時間働くことが当たり前だ」という意識が根付いてしまうと、だんだんと自分でも自分の疲れ具合がわからなくなってくるんですよね。
しかし、そんな状態で仕事を続けていると、体調に変調をきたすようになり、集中力も自然と下がってしまいます。
オーバーワークの生活が体や心に与える影響は、想像以上に大きいもの。
自分のペースで無理なく働けるよう、仕事量の調整と休養を意識することが大切です。
燃え尽き症候群は、頑張りすぎる人ほど陥りやすいもの。
心のバランスを保つには、自分の限界を知り、適度に休むことが大切です。
時には立ち止まって、好きなことをしてリフレッシュしたり、自分の気持ちに素直になる時間を設けたりすることで、心にも身体にも余裕が生まれますよ。
より健康的な毎日を過ごすために、自分自身をいたわる習慣を身につけてみては?
Written by 糸野旬