今や共働き家庭が主流となり、子どもができたら保育園に預けるという選択肢はごく当たり前になっています。
正直、今時「保育園に預ける=悪いこと・かわいそうなこと」という認識を持っているなんて、どんな時代遅れの考えなんだ? 思ってしまいますが、事実そう思う人がいるのも確かです。
また、子どもを預ける保護者自身が罪悪感をもってしまっている場合も多いと感じます。
なぜ未だにその認識が抜けないのか、保育士歴10年以上の筆者が解説していきたいと思います。
昔から『三つ子の魂百まで』という有名な言葉がありますよね。
「3歳までに得た気質は100歳になっても変わらない」という意味をもち、「3歳までの教育が大切、3歳までの親との安定的な関わりが大切」と言われています。確かにその考え自体は間違いではありません。
「保育園に預ける=悪」と思われるのは、その言葉の意味を飛躍させ、「3歳までは絶対に親の手で育てるのがベスト」という理想を掲げる人が今も一定数いるからです。
人それぞれ考え方は自由なのですが、「保育園に通うと親との関係性が希薄になり発達に影響があるのでは」という極端な考えが、偏見に繋がっていると言えるでしょう。
「保育園に預ける=悪」と思われる大きな原因は、預かり時間の長さだろうと思います。
保育園の多くは、早朝の7時から夜の7時まで開園しています。稀ですが、中にはその間フルで保育園で過ごしている子どももいるのが事実。
保護者の仕事の都合で土曜日も登園すると、6日連続保育園に通うこともあります。
そういった背景から、「そんなに長く預けるなんてかわいそう」「いつ子どもの相手してるの?」と思われてしまい、保育園に預けることが悪いというイメージがついてしまっているのでしょう。
「保育園に預ける=悪」と思われる理由の一つとして、「保育園出身よりも幼稚園出身の方が良い」というイメージをもつ人がいるということが挙げられます。
有名幼稚園のお受験だとか、子どもがどこの幼稚園に行っているだとか、そういうことで優越感を感じる人もいるのが事実。
確かに幼稚園は、教育機関という位置付けなので「幼稚園の方が教育的にしっかりしている」というイメージがあるのかもしれません。
しかし現在は、保育園の機能と幼稚園の教育を合わせた「認定子ども園」が増えたり、預かり保育のサービスがある幼稚園がほとんどになったりと、保育園と幼稚園の違いは少なくなってきています。
保育園に通う子どもたちは、家庭で過ごす時間よりも保育園で過ごす時間の方が長いことは事実です。
しかし一緒に過ごす時間と愛情は、決してイコールではありません。お互いに離れている時間が多いからこそ得られるものがあるのです。
子どもを保育園に預けながら、より良い時間を過ごすためにできることをお伝えしていきます。
子どもを保育園に預ける際、泣かれてしまうとどうしても罪悪感を感じてしまい、「ごめんね……」と子どもに言ってしまう保護者の方は多いです。
しかし、保護者の方が不安そうにしていたり、謝ったりしてなかなか離れられないことで、子どもは余計に不安を感じ、長泣きにつながってしまいます。
「ママ(パパ)もお仕事頑張るから〇〇もたくさん遊んでおいでね! 終わったら絶対迎えに行くからね」と言って笑顔でサッと離れましょう!
保護者の方が見えなくなると、意外とケロッとする子どもは多いです。子どもが切り替えられるように、罪悪感はもたずドンと構えることが大切ですよ。
あまりにも連日続くようなら、園の先生に伝えて連携をとることも忘れずに。
保育園から帰っても、夕ご飯の支度にお風呂に寝かしつけ……タスクをこなすだけで精一杯。余裕もないから口調もキツくなってしまったりと、ゆったり関わりたくてもできないジレンマがありますよね。
忙しい中、新たな時間を生み出すのは至難の技。
家ではどうしても用事をしながらの関わりになりがちですから、必然的に一緒に過ごす帰り道を、最大のコミュニケーションの時間にしましょう!
一緒に帰りながら今日あった出来事を聞いたり、帰り道に何か楽しみを見つけたり。大切なのは一緒にいる時間の長さではなく質です。
ほんの10分、15分でも集中して向き合うことで、子どもにとっては満足できるひとときになるのです。
親からの言葉ほど、子どもに影響を与えるものはありません。
愛情はわかりやすい言葉にして伝えてあげましょう。「大好きだよ」「愛してるよ」の言葉は、子どもの宝物であり支えになります。
また、子どものステキだなと思うところも口に出してほめることで、自己肯定感が育まれて強く生きていくための基盤となります。
寝る前に、ポジティブな気持ちになれる言葉をプレゼントしてあげるのがおすすめですよ。
保育園に預けることに良くないイメージをもつ人は、どの世代においても一定数いるかもしれません。
しかしそれは、実際に保育園のことを何も知らない人からの意見ではないでしょうか?
筆者は保育園でも幼稚園でも勤務経験がありますし、身近に0歳から保育園生活を送っている子もいますが、そこに発達や愛情の差を感じることはありません。
むしろ、小さい頃から親以外の人から愛情を受ける経験や、思い切り遊んで仲間づくりをする楽しさは、家庭だけでは得られないことです。
0歳から保育園に通っても、3歳まで家庭で育っても、そこに親なりの愛情があれば、何一つ問題はありません。
子どもたちは、毎日保育園で力いっぱい楽しんで過ごしていますから、自信をもって預ける選択をしてくださいね!
Written by 花山こころ