クライミングのW杯は、ボルダリングやリード、スピードといった各種目別に開催されるものと、全ての競技を同一大会で実施するものがあります。
ボルダリングは趣味の一つとして身近なものになりつつありますが、リードやスピード種目については、なかなか目にすることはないのではないでしょうか。
今回はクライミングのW杯について、それぞれの種目のルールや見どころについてお伝えします。東京五輪へ向けた予習にもどうぞ!
クライミング ワールドカップの種目とルール
クライミングのW杯には、日本でもお馴染みのボルダリングの他にリード、スピードの各種目別の競技と、三種目総合のコンバインドがあります。
ボルダリングは「課題の完登数」、リードは「到達した高度」、スピードは「ゴールまでの速さ」をそれぞれ競います。
もう少し各種目について詳しくお伝えすると、ボルダリングは高さ5m程の壁を登り命綱を使用しませんが、リードやスピードでは高さ10mを超える壁を登るため命綱を使用します。
オリンピックではコンバインドが採用されました。三種目それぞれの成績に応じて順位が決まります。それぞれの種目の順位を掛け算し、数字が小さいほど上位になるというものです。
足し算ではないというところがポイントとなります。
例えば、三種目すべて4位だた選手と、三種目の順位が1位、6位、8位だった選手の成績は、足し算であれば前者12点、後者15点で前者が上位となりますが、掛け算では前者64点、後者48点と逆転します。
不得手がないバランスの良い選手よりも、優勝を狙える一種目がある選手が有利と言えるでしょう。
日本選手が強いボルダリング
W杯や世界選手権で、最も日本人選手が活躍しているのがボルダリングです。制限時間内で設定された複数の課題をいくつ登れたかで順位が決まります。
完登できるかどうかというところが重視されるため、課題の難易度は高いです。
フィジカル面以外にも空間把握能力も重要となります。一つのミスで登りきれなかったということもあるため、オブザベーションでどれだけ詳しい戦略を頭に描けるかが勝負を左右します。
完登数が同じ場合に、少ないアテンプト数(試技数)で成功したかどうかで順位が決まります。
体も頭もフル回転し、比較的体の小さい選手も活躍しているというところもボルダリングの面白さではないでしょうか。
思わず歓声をあげてしまうようなダイナミックなムーブが見られます。
クライミングの醍醐味がつまったリード
リードは高さ12mほどの壁を登ります。ボルダリングでは使用しないハーネスを着用し、命綱を途中の確保支点にかける操作も加わります。
ボルダリングやスピードに比べ、目の前の山を素手で攻略していくというロッククライミングの醍醐味も味わえる種目であるとも言えるでしょう。
W杯などの大会では、一つの課題を制限時間6分で挑戦しますが、6分間登り続けるには相当の持久力が必要とされます。
ボルダリング同様、オブザベーションの時間はあらかじめ決められており、他の選手の競技は見られないようになっています。
順位は到達した高度によって決められますが、高度が同じ場合はその前のラウンドでの順位が適用されます。
それでも決まらない時には、その高さに到達するまでにかかった時間が短い選手が上位となります。
僅か10秒足らずで決着がつくスピード
スポーツクライミング三種の中で、最も短い時間で勝敗が決まるのがスピードです。
高さ10mか15mの壁を登りますが、リードとは違い、トップロープスタイル(ゴールの近くに命綱の支点確保がされている状態)であるため途中の支点確保はありません。あらかじめホールドの配置は周知されています。
予選では、同じコースが配置された二つの壁をそれぞれ1回ずつ挑戦し、速いタイムが採用となります。
予選上位16名が決勝トーナメントへと進みます。決勝はトーナメント方式となり、予選順位の上位選手と下位選手が1回戦で当たるように組まれます。
一度きりのトライで、相手より早くゴールをした選手が勝ちとなりますので、誰が見ても勝敗が分かりやすい競技と言えます。
日本ではあまり取り組まれてこなかったスピードですが、オリンピックに向けてレベルも上がっています。
※男女の世界記録と日本記録※
日本男子 緒方良行選手の6秒373 世界記録5秒48
日本女子 野中生萌選手の8秒707 世界記録7秒10
世界選手権が八王子で開催されます!
オリンピック前哨戦とも言える2019年の世界選手権は、なんと日本(八王子)で開催されます。
オリンピック前年の大事な一戦を観戦できる機会ですので、近場の方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
ボルダリング女子予選が8月11日に始まり、最終種目のコンバインド男子決勝が8月21日までと開催期間も長いです。
チケット発売のスケジュールはこちらのサイトで確認できます。