室内でできるスポーツとして急速に浸透してきているボルダリング。スポーツクライミングが東京五輪の競技に選ばれたことでより注目されています。
そんなスポーツクライミングでは、ボルダリングの他にスピードクライミングという種目があります。
ボルダリングとスピードクライミングはどのように違うのか、競技の見所や自分でもやってみたい人へ向けた施設もご紹介します。
大会のルールから見る、スピードクライミングとボルダリングの違い
スピードクライミングとは、その名の通り「スピード」を競う競技です。
どの大会でも同じ条件になるように、壁の高さ(10Mか15M)や傾斜、ホールドの種類や位置も定められています。
ルートについては、一般のクライマーでも完登できる難易度です。難しいルートを早く、ではなく、プロクライマーなら当たり前に登れるルートをいかに早く攻略するか、という点がボルダリングとは大きく違うところです。
リード競技と同じく、安全確保のロープの繋がったハーネスを装着していますが、ロープはゴール地点の近くであらかじめ支点確保されており、途中の支点確保は行われません。
競技方法は、予選で同一コースが設置された2つの壁で1回ずつトライし、早い方のタイムが採用されます。
決勝は上位16名でのトーナメント方式となり、予選でのタイムが速い選手と遅い選手が当たるように組まれます。
予選1位の選手は予選16位の選手と1回戦であたります。
決勝トーナメントは1トライの一発勝負。相手より早く登った方が勝者として2回戦、準決勝、決勝と進んでいき、優勝が決まります。
準決勝は、4人の対戦となり、準決勝の勝者2名で決勝が行われます。
クライマーであってコンペティター、スピードクライミングで勝つということ
ボルダリングでは、制限時間内で複数のコースをいくつ登れたかを競うため早いタイムを記録したとしても、決勝トーナメントで相手より先に完登できなければ、優勝はできません。
ベストタイムが近い選手同士では、コンマ数秒を競うためミスが許されない状況です。トライが一度のみの決勝トーナメントではかなりのプレッシャーとなるでしょう。
タイムを競うため、他のクライミング競技にはないフライングがあります。
近年のスポーツでは、タイトなスケジュールが組まれているためか、フライング1回で失格という競技が多いですが、スピードクライミングでもフライングをすると失格になってしまいます。
観戦する側にとっては、勝ち負けが分かりやすくクライミングの経験がなくても楽しみやすい競技です。
東京五輪に向けて! スピードクライミングのランキング紹介と世界記録を比較
日本ではボルダリングやリードに比べてワールドカップへの出場経験も少なかったスピードクライミングですが、東京五輪へ向けて力を入れ始めています。
2018年11月時点での、スピードクライミングの日本ランキングは、男子が楢崎智亜選手の6秒69で、女子が野中生萌選手の8秒57です。
世界記録はさらに早いタイムとなり、男子がダニエル・ボルディヤフ選手の5秒60、女子がユリア・カプリナ選手の7秒53で、男女ともに1秒ほど差があります。
2018年のIFSCクライミングワールドカップツアーでは、ボルダリング競技では野中選手、野口選手が1位、2位を独占しています。
しかし、女子スピード競技のランキングではトップ30以内に日本選手は入っていません。
同じクライミング競技でもそれぞれに特徴があり、オールラウンドに好成績を残すことがいかに難しいのかがよく分かります。
スピードクライミングに必要な道具とは? ボルダリングシューズと兼用できる?
スピードクライミングで必要な道具は、ボルダリングでも使うシューズ、チョークの他にハーネスがあります。
ハーネスはロープと繋いで安全を確保する大事な役割があります。ボルダリングより高い壁を登る分危険が増しますので、道具の使い方や安全にはよく注意を払いましょう。
シューズについては、ボルダリングとリードでシューズを変えている選手もいますが、使い慣れたクライミングシューズで問題ありません。
服装については、上はボルダリング同様で問題ありませんが、下は股上が深く作られていてハーネスに合わせやすいものを選ぶとストレスなく動けます。
怖いけどやってみたい! スピードクライミングが体験できる施設
スピードクライミングの施設は今まであまりありませんでしたが、最近になって少しずつ増えてきています。
クライミングジムを多数展開しているグラビティリサーチが大阪府岸和田市の岸和田カンカンベイサイドモールに高さ15Mの壁を設置しました。
スピードクライミングだけではなく、本格的なリードクライミングも楽しめます。
23区近郊では、東京都昭島市のモリパーク アウトドアヴィレッジに国際競技基準に準拠した壁が設置されました。
こちらの壁は角度が変えられる可変式ということです。プログラムが用意されており、詳細はPLAYクライミングジム&ヨガスタジオのサイトで確認できます。
▶ グラビティリサーチ岸和田
▶ PLAYクライミングジム&ヨガスタジオ
まとめ オリンピック気分を味わえる!? スピードクライミングにも挑戦しよう
今後も施設が増えていき、ますますスピードクライミングという競技が身近になっていくことと思います。
ボルダリングジムほどは気軽に行けませんが、友人やご家族と一緒に休日のレジャーとして試してみてはいかがでしょうか?